自民党税制調査会が来年の税制改正に向けて本格的に始動しました。
自民税調と政府税調
税制調査会には二つあります。1つは内閣総理大臣の諮問機関としての政府税制調査会(略称:政府税調)、もう1つは自民党税制調査会(略称:自民税調または党税調)です。税に関する制度、税率の変更はすべてこの2つの調査会の決定・答申の形を経て政府により具体化されています。というのは表向きの話だけで、実質的な改正案は基本的に自民税調がすべて決定します。政府税調は抽象的な問題に取り組むだけで、実質的な力はありません。
11月22日の日経新聞によると、つみたてNISAとiDeCoの改正を検討する様です。
① つみたてNISA
現行のつみたてNISAを一般NISAと比較した表です。
つみたてNISA | 一般NISA | |
対象者 | 日本に住む20歳以上 | 同左 |
投資方法 | 積立方式 | 通常買付・積立方式 |
年間投資上限額 | 40万円 | 120万円 |
非課税となる期間 | 最長20年 | 最長5年 |
対象商品 | 国が定めた基準を満たした投資信託 | 国内株式・海外株式・投資信託 |
非課税対象 | 対象商品にかかる配当金・分配金、売却益 | 同左 |
口座開設期間 | 2037年開始分まで | 2023年開始分まで |
金融機関変更 | 隔年ごとに変更可能 | 同左 |
積立方式と通常買付
つみたてNISAは積立方式だけですが、一般NISAは積立方式に加えて、通常買付をすることができます。
一般NISAからつみたてNISAに変更
一般NISAは、2014年1月からスタートした、投資によって得られた収益が非課税となる制度です。私は2015年から3年間1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)を、一般NISAで100万円ずつ購入しました。本当は、外国ETFを買いたかったのですが、野村證券では買うことができませんでした。2018年に、つみたてNISAがスタートし、野村證券から「野村つみたて外国株投信」というファンドが発売されたので、一般NISAからつみたてNISAに変更しました。
積立金額は600万円と800万円
つみたてNISAの年間の投資上限額は40万円ですから、20年間積み立てると800万円になります。一方、一般NISAは年間投資上限額が120万円で5年間購入すると600万円になります。
つみたてNISAの商品は低コスト
つみたてNISAの対象商品は、国の定めた基準が非常に厳しいとともに、金融庁が各証券会社に低コストの商品を発売するように、かなり強制的に働きかけました。その結果、野村證券も「野村つみたて外国株投信」という低コストの商品を発売することになりました。この点で、金融庁は非常に良い仕事をしたと思います。
数百万円の非課税
両制度とも、対象商品にかかる配当金・分配金、売却益には課税がされません。具体的に言うと、私は2018年1月から積み立てを始め、現在の積立金額は812,035円です。現在の評価益は、 +52,965円です。この52,965円には外国株式の分配金が含まれていますが、この分配金に課税はされません。また、このお金を引き出せば、特定口座であれば20.315%の税金がかかります。つまり
52,965円✖20.315%=10,759円
が税金として取られるのですが、つみたてNISAであれば取られないで済むということです。現在は、この制度が始まったばかりですから1万円強に過ぎませんが、20年間積み立てていると、通常は数百万円の節税になるはずです。
つみたてNISAは、いつ始めても20年へ
つみたてNISAの制度は2017年に始まり、20年間の制度としてスタートしたので、2037年までの制度ですが、これを、いつ始めても20年間有効にしようということが、今回の自民党税調で議論されようとしているのです。
期間無期限と年間限度を60万円に
私としては、20年間の期間限定を無期限にしてほしいと思っています。また、年間投資上限額を現在の40万円から60万円にしてほしいと思っています。積立方式では、毎月積み立てることになりますから、40万円を12か月で割った金額を毎月積み立てることになります。野村證券では1000円単位の積み立てですから、毎月33000円ずつ積み立てると合計で396,000になり、40万円の枠を使いきれません。従って、毎月の積立額を50,000円にすれば切りの良い数字になります。
② 確定拠出年金
掛ける期間の延長
確定拠出年金制度も拡充することを検討しています。原則60歳までの掛け金の拠出期間について企業型は70歳、個人型(イデコ:iDeCo)は65歳まで延ばすという内容です。
拠出額増加
確定拠出年金の掛け金は個人の場合、所得控除の対象になるので、是非とも利用したい制度です。イデコは会社員なら原則として、最大年27.6万円(毎月2.3万円)まで拠出できます。拠出期間が5年延びれば138万円を追加で出せる計算になります。運用益は非課税で、受け取り時は退職所得控除の対象にもなります。
iDeCoは使えない
現状、企業型に入ると、労使間の協定がなければイデコが使えないのです。私の子供も、企業の確定拠出年金に入っているため、iDeCoを使えません。誰でもiDeCoを利用できるようにして、分かりやすい制度にしてほしいものです。
ネット証券で低コスト商品を使うべき
なお、私の確定拠出年金は、野村証券口座で「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI」を利用しています。また、私の子供がiDeCoを利用できるようになれば、SBI証券口座で「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」を勧めるつもりです。この商品は、この分野の商品の中では、コストが最低で、純資産総額が最大だからです。