なぜインデックスファンドか?

アクティブファンドは持たない

私の家族は全員インデックスファンドを利用し、アクティブファンドは持っていません。

証券マンからのアドバイス

1980年代に、知り合いの証券マンから受けたアドバイスは、「投資信託だけは買ってはいけない。あれは、証券会社だけ儲かって、投資家は損をするから。」と言われました。

すべてアクティブファンドだった時代

当時はインデックスファンドが存在せず、すべてアクティブファンドでした。信託報酬は3%、売買手数料は2%、そして数年間で買替をしつこく勧められます。株価が10%も上昇していれば、高い手数料を払っても、表面上は個人投資家が儲かっていた時代でした。

ETFと低コストインデックスファンド

しかし、アメリカで株式ETFが1990年代に登場し、日本でも2000年に入るとTOPIXや日経平均のETFが登場しました。2010年代に入ると低コストインデックスファンドが成長し、現在、NISAやiDeCoの主力銘柄は超低コストインデックスファンドになりました。

それを理論的に裏付ける記事を読んで見ましょう。東証マネ部の2016年12月8日の記事です。


インデックスファンドの流儀

近年、ETFやインデックスファンドを資産形成の手段の一つとして活用する人が増えていることもあり、世界中の様々な国でETFやインデックスファンドの残高が拡大しています。個別銘柄投資やアクティブファンドを選ぶという方法もある中で、なぜ今、インデックスファンドが注目されているのでしょうか。

ノーベル経済学賞を実践するインデックス運用

投資対象としてインデックスファンドが選ばれる理由のひとつに、ベンチマークに連動するという「わかりやすさ」が挙げられます。でも実は、インデックスファンドのわかりやすさが、ノーベル経済学賞の受賞対象となった理論に裏打ちされていることはあまり知られていないのかもしれません。

投資の世界には「すべての卵を1つのかごに入れてはいけない」という格言があります。これはすべての卵を1つのかごに入れると、かごを落とした時にすべて割れてしまうことのたとえで、分散投資の大切さを説明したものです。米国の経済学者、ハリー・マーコウィッツは、分散投資の有効性を理論的に示しました。複数の銘柄に分散して投資することを「ポートフォリオを組む」と言いますが、マーコウィッツは、ポートフォリオのリスクとリターンを分析した「ポートフォリオ選択理論」を提唱し、現代ポートフォリオ理論の礎を築いた功績が認められノーベル経済学賞を受賞しました。

さらに、米国の経済学者ウィリアム・F・シャープは、マーコウィッツの理論が経済全体に与える意味について研究を進めることで「資本資産価格モデル」(Capital Asset Pricing Model;CAPM)を構築し、マーコウィッツと同年にノーベル経済学賞を受賞しました。

ノーベル経済学賞の受賞対象となったこれらの考え方は、非常に高度な理論なのですが、投資に関して示唆していることはとてもシンプルなものです。それは、「全ての投資家は、世界全体の株式や債券等あらゆる資産で構成されたポートフォリオ(マーケット・ポートフォリオ)の時価総額と同じ比率で各資産を保有すればよい」ということに集約されます。

しかし実際には、あらゆる資産を時価総額比率で保有することは至難の業です。そこで、誰もが簡単にマーケット・ポートフォリオのリターンを近似的に受けられるように開発された運用手法の一つが、「インデックス運用」なのです。

インデックス運用VS アクティブ運用

さらにシャープは、マーケット・ポートフォリオの構成を考えれば、アクティブファンド全体として期待される投資収益はインデックスファンドと同じになることを示した上で、期待される投資収益が同じならば、コストの差分だけインデックスファンドの投資効果が高まることを指摘しました。

下の図は、世界全体のあらゆる資産(資産全体)を、インデックスファンドでは各資産を時価総額比率で、アクティブファンドではアクティブ・マネジャーが各々の投資方針に基づき、各資産を任意で決めた比率で保有した場合のイメージ(概念)図です。ここでのポイントは、例え各々のアクティブ・マネジャーが各資産を任意で決めた比率で保有したとしても、全てのアクティブファンドを合計するとインデックスファンドの資産構成比率と同じになる点にあります。

各資産を任意で決めた比率で保有した場合のイメージ

全体としての構成比率が同じであれば期待される投資収益も全体としては同じとなります。そこで重要となるのがコストです。インデックスファンドとアクティブファンドのコスト平均を比較すると、アクティブファンドの運用管理費用(信託報酬率)<年約1.2%(税抜き)>に対してインデックスファンドは<年約0.5%(税抜き)>と、<年約0.7%(税抜き)>の開きがあります(2016年10月末時点の国内公募株式投信(ETFを含む)、野村アセットマネジメント調べ)。また、信託報酬率だけでなく、販売手数料にも差があり、これらのコスト差分だけインデックスファンドの投資効果が高まる可能性がある、ともいえるでしょう。

また、現代ポートフォリオ理論では、投資家は通常、リスク(投資収益のバラつき)を嫌うと想定します。つまり、一般的な投資家は、特定のアクティブファンドに比べてリタ―ンが低くなる可能性はあるけれど、リスク分散され市場平均リターンが狙えるインデックスファンドを選好するということも示唆しているのです。

ノーベル経済学賞に裏打ちされた高度な英知を結集した運用手法を、手軽に実践できるETFやインデックスファンド。ぜひ個人の資産運用に活用されてみてはいかがでしょうか。

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