個人のお金に関する指針20か条 2

<昨日の続き>

昨日に続いて、FORTUNEの2020年12月8日の記事をもとに、個人のお金について考えてみましょう。以下は拙訳です。

11.必ずマッチング拠出をする

401(k)プランで貯蓄を十分にしていない人に、経営者のマッチングを利用することを、口が酸っぱくなるほど行ってきました。自由になるお金をほったらかしにしておかないように、少なくとも、マッチングを獲得できるだけの金額は、いつも貯蓄に回すべきです。

12.毎年少しずつ貯蓄を増やす

長年にわたってより多くのお金を貯蓄するには、まず最初に、お金が増えたことすら気が付かないように、昇給するたびに貯蓄率を増やすことです。そして、貯蓄を早く始めるほど、当座預金口座から支出されることに気が付くことにならないでしょう。

13.友人、隣人、配偶者を賢く選ぶ

浪費的な友人や隣人に付き合っていると、いつまでも勝者のいないゲームをするようなものだ。お金に関して、自分と同じような見方をして生活できる人を探せば、不必要なストレス、妬み、浪費をせずに済むことができます。

14.お金のことをもっとたくさん話す

最近どんな会話をする場合にも、政治について聞く前には丸々5分間が必要ですが、ともかくもお金の話題はタブーです。配偶者にお金のことを話しましょう。他の人に助言を求めましょう。お金の問題をそのままにしたり悪化させてはいけません。お金は人生のほとんどの局面でも、何らかの点で影響を及ぼすテーマなのです。とても大事なのですから、無視したり、隠すことはいけません。

15.ものを買っても、長い目で見れば幸せにはなれません

本当の富とは、お金を浪費するようなものではないのですから、ものを買っても幸せになったり、富むことはできません。経験をすると資産にいい影響があり、愛する人と一緒に過ごす時間は自分でできる最高の投資の一つです。

16.1冊でも10冊でも本を読む

個人資産に関する無数の本が出ています。その内容は高校か大学で教えるべきものですが、教えてくれません。お金の決定に関して自分以上に心配してくれる人はいません。自分自身にある程度、お金、時間、精力を投資しなさい。それが自分でできる最良の投資です。

17.現状を知る

誰でも自分の正味財産を簡単に計算できる方法が必要です。つまり資産をすべて合計し、借金を差し引くのです。こうすれば、貯蓄率、市場リターン、ポートフォリオの成長に関してある程度一般的な予想を設定でき、将来の目標が分かるようになります。

18.税金は重要

税控除できる優遇税制措置をできるだけ利用し、自分の税制に関する状況を理解することです。税に関して、貯蓄を最大にする方法は、税の繰り延べによる貯蓄手段をできるだけ利用することで、短期の譲渡利益に課される税の支払いを避けるために、課税口座に投資しているものの売買をできるだけ少なくすることです。

19.もっと稼ぐ

貯蓄し、節約することは成功するための良い方法ですが、もし出世によって収入を増やそうとしないなら、それは不完全な戦略です。より良い仕事に就いたり、大きな責任を引き受けたり、あるいは、より高い給料を稼ぐために、やれることは無いと思い込んでしまっている人があまりに多いのです。それはばかげたことです。時間をかけて自分を売り込んだり、技術を磨いたり、昇給を交渉したりしなければなりません。

20.退職ではなく金銭面の独立を考える

ゴールは、車で夕日の中へと去っていく年齢に到達することではなく、むしろ、お金のことを心配しなくても良いようになることです。引退とは未だ進化している概念であり、その年齢に達したらどんな風に感じるかは分かりません。金銭面で独立できれば、自分の時間を思うがままに使う決定を、できるようになるのです。

以上が拙訳でした。

この20か条を抜き出します。

  1. クレジットカードの借金を疫病のように避ける
  2. 信用度を高めることが重要
  3. 収入は貯蓄と同じでない
  4. 貯蓄は投資よりも重要
  5. 収入の範囲内でなく、収入より少ない生活をする
  6. もし自分の優先順位を知りたいのであれば、毎月何にお金を使っているかを見る
  7. すべてを自動化する
  8. 大きな買い物を正しくする
  9. 流動性のある貯蓄口座を作る
  10. 必要な保険をかける
  11. 必ずマッチング拠出をする
  12. 毎年少しずつ貯蓄を増やす
  13. 友人、隣人、配偶者を賢く選ぶ
  14. お金のことをもっとたくさん話す
  15. ものを買っても、長い目で見れば幸せにはなれません
  16. 1冊でも10冊でも本を読む
  17. 現状を知る
  18. 税金は重要
  19. もっと稼ぐ
  20. 退職ではなく金銭面の独立を考える

マッチング拠出

この20か条の中で、11番のマッチング拠出は日米で違いがあります。マーサ―ジャパンの説明を見てみましょう。

日本のDC制度では、2012年1月から「マッチング拠出」が導入され、従業員がDCの法定上限を超えない範囲で、任意に拠出を行う事が可能となりました。この拠出は所得控除の対象となりますので、拠出時に税制優遇を受けることから、従業員にとっては大きな節税効果のある貯蓄の手段と言えます。

この従業員の任意拠出が「マッチング」と呼ばれる理由ですが、事業主と従業員の掛金の合計が法定上限(月額ベースで換算すると55,000円)を超えない範囲、ということ以外に、事業主掛金を超えない、という縛りがあるからです。例えば、事業主掛金が20,000円だったとすると、従業員は0円~20,000円の範囲で拠出する金額を決められます。(規約によって、例えば1,000円単位で、等の縛りがあります)文字通り、事業主掛金に対して従業員がいくら「マッチ」するかを決めることが出来るため、このように呼ばれています。

このマッチングという言葉、本場401kにも昔からずっとあるのですが、日本のそれとは意味合いが大きく違う、というよりむしろ逆です。米国のマッチング拠出とは、従業員が拠出した額に対して、事業主がマッチしてあげる制度です。例えば、従業員が給与の3%を任意で拠出した場合、事業主も同様に3%「マッチ」して拠出するという感じです。

このような場合は「100%マッチ」などと呼ばれ、同様に、従業員拠出の半分を会社が出すような「50% マッチ」などもあります。通常はマッチする金額に上限が設定されており、例えば上限6%の50%マッチだと、従業員が10%拠出したとしても、そのうち6%までがマッチの対象となり、その50%なので、会社は3%出す、という仕組みです。

日本のDC法上は、事業主が何らかの拠出をまず行う事が求められますが、米国のDCにはそのような拠出義務は有りませんので、あくまで従業員の貯蓄のための器、という位置付けです。マッチングがある場合でも、従業員が何も拠出しなければ、会社も1円たりとも出すことは有りません。