アクティブファンドとインデックスファンドでは、インデックスファンドのほうが良いということは、最近では常識です。しかし、それで困るのはアクティブファンドを運用している会社や、そこから広告料をもらっている新聞、雑誌です。そこで、これらの会社は、最近、コア・サテライト方式と言う新しい言い方をしています。コアをインデックスファンドに投資して、サテライトとしてアクティブファンドや個別株式に投資するという方法です。
しかし、個別株式なら多少のリスクがあっても低コストで投資できますが、アクティブファンドだと、コストもリスクもかかるので、意味がないでしょう。
アクティブとインデックスの実績について確認します。
The Motley Fool 2023年7月24日 以下は拙訳です。
アクティブ投資とパッシブ投資について知っておくべきこと
投資家はパッシブファンドとアクティブファンドのどちらを選ぶべきか?
アクティブ投資とパッシブ投資という、投資界を二分する大きな議論が何年も続いている。
アクティブ投資とは、S&P500やラッセル2000のようなインデックスを長期的にアウトパフォームしようとする投資マネージャーによって運営されるファンドである。パッシブ投資とは、インデックスのパフォーマンスに勝つのではなく、それに合わせることを目的としたファンドである。
どちらの戦略にも利点と欠点があるが、投資家はアクティブ投資信託からパッシブ投資信託やパッシブ上場投資信託(ETF)に資金をシフトし始めている。なぜか?グループとして、手数料を考慮した後のアクティブ運用ファンドは、パッシブ運用の同業他社を下回る傾向がある。
この変化は比較的最近のことである。トムソン・ロイター・リッパーによると、2013年、アクティブ運用の株式ファンドには2983億ドルの資金が集まったが、パッシブ・インデックス株式ファンドには2774億ドルの資金が流入した。しかし、モーニングスターによると、2019年、投資家はアクティブ運用の米国株式ファンドから正味2,041億ドルを引き揚げ、パッシブ運用のファンドには1,627億ドルの資金が流入した。
アクティブ投資とパッシブ投資
アクティブ投資ファンドとパッシブ投資ファンドの主な違いは以下の通り:
アクティブ・ファンド :
- ベンチマークと呼ばれる特定のインデックスをアウトパフォームすることを目的とする。
- 人間のポートフォリオ・マネージャーやアナリストがいる
- コストが高くなる傾向があり、パフォーマンスの妨げになることがある。
パッシブ・ファンド:
- 特定のインデックスのパフォーマンスを上回るのではなく、それに匹敵することを目的としている。
- 一般に自動化されているが、一部人間の監視がある
- アクティブ・ファンドよりはるかに低い費用で運用される傾向がある。
アクティブ投資の長所と短所
アクティブ・ファンドは人間のポートフォリオ・マネジャーによって運用される。市場をアウトパフォームすると思われる個別銘柄を専門に選ぶものもある。また、好調と思われるセクターや業界への投資に重点を置くマネージャーもいる。(ほとんどのアクティブ・ファンドのポートフォリオ・マネージャーは、有望な投資機会を特定するために広範な調査を行うアナリスト・チームによってサポートされている。
アクティブ運用ファンドの背景にある考え方は、一般投資家がプロの銘柄選別家を雇い、資金を運用できるようにするというものだ。うまくいけば、アクティブ運用ファンドは、手数料を支払った後でも、長期にわたって市場を上回るパフォーマンスを出すことができる。
しかし、投資家は、アクティブ・ファンドがインデックスを上回るパフォーマンスを出せるという保証はなく、多くはそうではないということを念頭に置くべきである。調査によると、手数料が高いこともあり、市場を上回るパフォーマンスを出せるアクティブ・ファンドは比較的少ない。問題は、単にインデックスに勝つだけでは不十分で、マネージャーはファンドのベンチマーク・インデックスに、少なくともファンドの経費をペイできるだけの勝たなければならないということだ。
これは実際には大きな挑戦であることがわかった。例えば、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのSPIVA(S&P Indices Versus Active)スコアカードによると、2019年の米国大型株アクティブ運用株式ファンドの71%はS&P500を下回っている。
過去5年間では?大型株の米国株アクティブ・ファンドのほぼ81%がベンチマークを下回っている。
すべてがうまくいけば、アクティブ投資は長期にわたってより良いパフォーマンスをもたらすことができる。しかし、そうでない場合、アクティブ・ファンドのパフォーマンスはベンチマーク・インデックスに遅れをとることもある。いずれにせよ、パッシブ・ファンドよりもアクティブ・ファンドの方が、手数料は高くなる。
パッシブ投資の長所と短所
パッシブ・インデックス・ファンドとも呼ばれるパッシブ・ファンドは、有価証券の構成において所定のインデックスを複製するように構成されており、追跡するインデックスのパフォーマンスと一致することを意図しており、それ以上でも以下でもない。つまり、特定のインデックスが上昇しているときには、その上昇分をすべて得られるということだ。しかし、注意が必要なのは、そのインデックスが下落した場合、下落幅をすべて得るということでもある。
その名の通り、パッシブ・ファンドには売買を決定する人間のマネージャーはいない。マネージャーに報酬を支払わないため、パッシブ・ファンドは一般的に手数料が非常に低い。
アクティブ・ファンドとパッシブ・ファンドの手数料は時間の経過とともに低下しているが、アクティブ・ファンドの方がまだ高い。Investment Company Instituteによると、2018年のアクティブ運用株式投資信託の平均経費率は0.76%で、1997年の1.04%から低下している。パッシブ・インデックス株式ファンドの経費率とは対照的で、2018年の平均はわずか0.08%で、1997年の0.27%から低下している。
0.76%と0.08%の差はそれほど大きくないように見えるかもしれないが、長期的に見れば大きな差になる。
2つのファンドにそれぞれ1万ドルずつ投資したとしよう。一方のファンドの年会費は0.08%、もう一方のファンドの年会費は0.76%である。どちらも年率5%のリターンを10年間続けた場合、低コストの0.08%のファンドは約16,165ドルの価値があるのに対し、0.76%のファンドは約15,150ドル、つまり約1,015ドル価値が下がることになる。そして、その差は時間の経過とともに複利的に広がり、20年後には低コストのファンドの価値が約3,187ドル高くなる。
投資家にとってのポイントは?
アクティブ・ファンドを調査する時間がなく、ファイナンシャル・アドバイザーもいない人にとっては、パッシブ・ファンドが良い選択かもしれない。少なくともマーケットに遅れることはないし、巨額の手数料を払うこともない。また、投資と多少なりとも関わりたいと思っている投資家にとって、パッシブ・ファンドは、アクティブ・ファンドや個別銘柄の調査に時間をかけなくても、個別のセクターや地域にエクスポージャーを得ることができる低コストな方法である。
しかし、どちらか一方を選ぶ必要はない。よく知っているアクティブ・ファンドと、よく知らない分野に投資するパッシブ・ファンドを組み合わせて、分散ポートフォリオを構築している投資家もいる。
関連する投資トピック
しかし、すべてのアクティブ・ファンドが同じというわけではないことに留意してほしい。中には、アクティブ・ファンドと比較して手数料が低く、運用実績が優れているものもあるかもしれない。1~2年のパフォーマンスが優れていても、そのファンドが今後もアウトパフォームし続ける保証はないことを忘れてはならない。それよりも、長期にわたって一貫してアウトパフォームを出し続けているファンド・マネージャーを探す方がよいかもしれない。このようなマネージャーは、そのキャリアを通じてアウトパフォームを続けることが多い。
いつものことだが、資金を運用する前に、自分自身の財務状況、ライフステージ、リスク許容度について考えてみよう。
東証マネ部 2017/10/24
「アクティブファンドがインデックスに勝てない」根拠とは?
アクティブファンドはインデックスに勝てない?
最近、パフォーマンスにおいて「アクティブファンドはインデックス(パッシブ)ファンドに勝てない」と言われ、米国を中心にインデックス投資の規模が拡大している。
この「アクティブファンドがインデックスに勝てない」という議論について、その根拠とされているデータが、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが年に2回公表している「SPIVA (S&P Indices Versus Active)」だ。
SPIVAは2002年から測定されており、世界各国におけるアクティブファンドのパフォーマンスとベンチマーク指数を様々な角度から比較している。
日本における状況は?
このSPIVAデータについて、2017年10月に日本のアクティブファンドの最新データが公表されたので、ほぼ同時期に公表された米国・欧州のデータとも比較しながら、ここでチェックしてみよう。
インデックスのパフォーマンスを下回っている日本のアクティブファンドの割合(2017年6月末時点)
日本のアクティブファンドについて、長期投資の観点から過去10年で見てみると、インデックスに勝てなかったファンド(投資先別)の割合は以下となった。
「日本の大型株ファンド」 63.0%
「日本の中小型株ファンド」 65.2%
「米国株式ファンド」 87.5%
「グローバル株式ファンド」 92.0%
「新興国株式ファンド」 90.3%
日本のアクティブファンドでは、主に日本株に投資をするファンドの60%超がインデックスに勝てず、外国株に投資するファンドはほとんどが勝てていないという結果に。
次に各期間でみてみると、日本株に投資するアクティブファンドでは大きな傾向は出ていないが、外国株に投資するファンドでは、期間が過去3年以上になると勝てない割合が90%近くになった。
これらのデータから、外国株に投資をする日本のアクティブファンドのほとんどがインデックスに勝てていないことが分かる。外国株に関して得られる情報が限られていることから、日本株ほど資産配分や銘柄選択がうまくできていないのかもしれない。
なお本国市場への投資成績という観点から、先進国市場の「過去10年間、本国の株式へ投資するアクティブファンド」のインデックスに勝てない割合(2017年6月時点)を調べてみると、以下のようになった。
「米国」 85.4%
「欧州」 87.4%
「日本」 67.1%
米国と欧州のアクティブファンドでは、本国市場に投資する場合であっても、過去10年間でインデックスに勝てない割合は85%超となる。日本では67%ほどであり、日本のアクティブファンドは米国・欧州のファンドと比べるとまだ健闘しているといえよう。
最後に、日本のアクティブファンドが各期間の経過後にどれだけ生き残っているかを見てみよう。
日本のアクティブファンドの生存率(2017年6月末時点)
2017年6月時点における、過去10年間の日本のアクティブファンド生存率は約60-70%だ。
日本のアクティブファンドで日本株に投資するファンドでは、過去10年間の生存率は66.5%となる。同じ期間において、本国の株式市場に投資をする米国のアクティブファンドの生存率は56.9%、欧州では45.8%であり、日本のアクティブファンドの方が生存率は高くなっている。とはいえ、市場に勝ち続けるということがいかに難しいかを物語る結果となった。
こうしたデータを見る限り、「長期で資産形成をするにはパッシブファンドを選んだ方がよい」と主張することには一定の合理性があるのかもしれない。
アクティブファンドが勝てない理由
アクティブファンドがインデックスに勝てない理由として、運用コストの高さが指摘されることが多い。投資信託協会の2017年9月末時点のデータによると、日本におけるアクティブファンドとインデックスファンドの運用コスト(信託報酬)の平均は、それぞれ年1.19%と年0.48%となっている。
アクティブファンドは、独自の調査や分析に基づいて銘柄を選定するために、人手や手間がかかることがコスト高の背景と言われる。一方で、アクティブ投資の生ける伝説であるウォーレン・バフェット氏が2017年の株主への手紙で以下で述べたように、アクティブ投資の運用コストに対しては異論もある。
「ウォール街の運用会社は数兆ドルの資金を運用しており、高い運用手数料を得ているが、利益を享受しているのは主に運用マネジャーであり、顧客ではない。大手投資家や小口の投資家はともに低コストのインデックスファンドを活用すべきである。」
「アクティブ vs インデックス」の注意点
ただし、SPIVAや運用コストのデータをもとに、「ほとんどのアクティブファンドは運用コストの差で勝てない、インデックスファンドに投資すべき。」とすぐに結論を出すことには注意が必要だ。
なぜならば、これらのアクティブファンドのなかには「隠れインデックス(パッシブ)ファンド」と呼ばれる、「ほとんど中身がインデックスファンドと変わらないが、アクティブファンドと名乗っていることで運用コストが高い」ファンドが含まれている可能性があるからだ。中身がほぼ同じでコストが高ければ、インデックスファンドにパフォーマンスで勝てないのは当然だろう。
こうした「隠れインデックスファンド」を選ばない方法として、「アクティブシェア」などの指標を使って選別するべきだという意見が、独立系のアクティブファンドの運用会社から提言されている。
米国のウォーレン・バフェット氏のように、長期でパフォーマンスのよいアクティブファンドも少なからず存在する。そうしたファンドを自らの手で探し当てるというのも投資の醍醐味の1つだろう。
資産形成において、インデックスファンド、アクティブファンドのどちらか一方を必ず選ばなければいけない…というものでもない。まずは自分の投資スタイルを見つけ、それに合った商品を上手に選ぶのがよいだろう。そうした判断の際にはSPIVAのような客観的なデータをぜひ活用してみて欲しい。
<明日に続く>