ブタクサ対策

冬から春にかけてスギ・ヒノキ花粉症で悩む人は多いですが、秋のブタクサも手ごわい場合があります。

2022/09/09の ウェザーニュースの記事を下に載せましたが、ポイントは以下の通りです。

  • 関東では8月後半から9月がピーク
  • スギやヒノキなど樹木・木本類の花粉とブタクサやヨモギなど草木類・雑草の花粉とは、粒子の大きさが違います。樹木の花粉は比較的大きいので鼻粘膜に留まりますが、草木の花粉はごく小さいので気管支まで入り込んでしまいがち
  • スギなどの花粉が何十キロも飛ぶのに比べ、ブタクサなどの花粉はせいぜい数十メートルしか飛ばない
  • したがって、春の花粉は遠くから飛んでくるから避けられないが、秋の花粉はブタクサなどが生えているところへ行かなければ防げる
  • 秋に花粉症の自覚があるのであれば、飛散している時期は川の土手や堤防を自転車で走ったり、ジョギングしたりするのは避けたほうがいい

花粉が気管支まで? これから注意したい秋の花粉、スギやヒノキとの違いとは

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「せたがや内科・神経内科クリニック」(東京都世田谷区)の久手堅司(くでけん・つかさ)院長に、秋の花粉症の原因と対策を伺いました。

秋に注意したい花粉の種類

まず、おもな花粉の飛散時期を教えてください。

「最大の原因となるスギの花粉が飛散するのは2月から4月、次いでヒノキが3月から4月です。イネ科の花粉は種類が多いので春から初秋まで長い期間飛散します。秋に見られるススキもイネ科の植物です。

夏の終わりから秋にかけて(8月~10月)飛散するのはブタクサやヨモギなどキク科の植物です。また、カナムグラというアサ科の植物もあります」(久手堅先生)

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春に花粉症の症状が出る人は、秋にも発症しやすいのでしょうか。

「春に花粉症を発症する人が、必ず秋にも発症するとは限りません。一方、スギ花粉とブタクサ花粉はたんぱく質の構造が似ているので、スギ花粉症患者の7割はブタクサ花粉症になるという研究発表もあります」(久手堅先生)

春と秋の花粉はどう違うのか

春のスギ、ヒノキと秋のブタクサ、ヨモギなどの花粉は、どう違うのですか?

スギやヒノキなど樹木・木本類の花粉とブタクサやヨモギなど草木類・雑草の花粉とは、粒子の大きさが違います。樹木の花粉は比較的大きいので鼻粘膜に留まりますが、草木の花粉はごく小さいので気管支まで入り込んでしまいがちです。

そのため、春の花粉症は鼻水やくしゃみが代表的な症状であるのに比べ、秋の花粉症は喘息にまで発展する可能性があります」(久手堅先生)

草木の花粉症は、子どもに症状が出やすいと聞いたことがありますが?

「草木の花粉は下から舞い上がってくるので、背の低い子どもが吸い込みやすいという特徴はあります。

それよりも大切なことは、スギなどの花粉が何十キロも飛ぶのに比べ、ブタクサなどの花粉はせいぜい数十メートルしか飛ばないということです。

秋に花粉症が出る人(特にお子さん)は、草が多く生えている場所へは近づかないようにしてください」(久手堅先生)

日常生活でできる花粉対策とは?

春の花粉は遠くから飛んでくるから避けられないが、秋の花粉はブタクサなどが生えているところへ行かなければ防げるのですね。ほかにどんな対策がありますか?

「春の花粉症と同様に、花粉から鼻や目を守るためには、外出時にマスクやメガネをすること、家に帰ったらうがいをすることと衣服から花粉を払い落とすことが大切です。

毛糸など目が粗い衣服は繊維の中に花粉が入り込んでしまうので、表面がツルツルした衣服やカバンにすると、玄関で花粉を払い落としやすいという利点があります。

ブタクサは外来種で、港湾から入って川沿いに内陸へと繁殖しました。秋に花粉症の自覚があるのであれば、飛散している時期は川の土手や堤防を自転車で走ったり、ジョギングしたりするのは避けたほうがいいでしょう。

その他、即効性はありませんが、たとえばヨーグルトを飲み続けると、腸内環境が整って免疫力が高まり、アレルギー症状が改善するというデータもあります」(久手堅先生)

症状が辛ければ医療機関へ

病院や医院を受診したら、どんな治療が受けられますか?

「症状が辛いようであれば、医療機関を受診してください。抗ヒスタミン剤、点鼻薬(噴霧用ステロイド薬)、咳止め、目薬などを組み合わせた治療が行われます。これらは対処療法ですが、抗原を持続的に皮下注射して症状自体が出ないようにする(完治を目指す)免疫療法もあります。

いちばん根本的な治療法と言われるのは、口の中で溶ける錠剤を使った舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)です。ただし現状ではスギとダニ、2種類のアレルギーにしか適用がなく、ブタクサなどの秋の花粉は残念ながら適用外です」(久手堅先生)

秋になると目がかゆくなったりくしゃみが止まらなくなったりする人は、一度根本的な対策を考えてみては、いかがでしょうか。