貸株 2

<昨日の続き>

ダイヤモンド社の記事の内容の確認を昨日に続いて行います。

貸株金利は高いもので10%以上の高金利!
ただし、貸株金利の高さで銘柄を選ぶのはNG

貸株で受け取れる貸株金利は、貸株市場での需要をもとに各証券会社が決めており、銘柄によって異なっている。ほとんどの場合は0.1~0.2%程度だが、高い銘柄になると、なんと年利10%を超える銘柄もある。

一般的に、値動きの大きい新興市場銘柄のほうが貸株金利が高くなる傾向にある。

ただし、貸株金利の高い銘柄は、値動きも大きく、株価も値下がり傾向にあることが多い。というのも、株を借りた投資家は、それを空売りに利用するため。つまり、「貸株金利が高い=空売りしたい投資家が多い」ということで、それだけ売り圧力がかかっているというサインでもあるのだ。

いくら貸株金利が高くても、それ以上に株価が下落しては意味がない。貸株金利の高さだけに目を奪われて銘柄を選ぶと、貸株料以上に損失を被る可能性が高いことがあるので気をつけよう。

つまり、「貸株金利が高いから、この銘柄を買おう」「どうせ買うなら、貸株金利の高い銘柄にしよう」という考えで銘柄を選ぶのは大間違いということ。保有する銘柄は、あくまでも値上がり期待や配当・株主優待狙いといった投資方針で選ぶのが大前提であり、その上で、「せっかく株を保有しているのだから、少しでもプラスαの利益も得よう」「保有銘柄の貸株金利が、たまたま高かったらラッキー」くらいの意識で貸株サービスを利用するのが正解だ。

貸株料は日割りで計算されるので、貸出期間は自由!短期間でも貸株金利の高い銘柄ならそれなりの利益に

当然、長期にわたって貸株するほど受け取れる貸株料は多くなるので、例えば、配当・株主優待狙いで株式を長期保有している人、株に含み損が出たまま塩漬け株を持ち続けている人にとって、貸株サービスはうってつけだ。

とはいえ、貸株は長期保有の投資家のためだけのサービスではない。貸株料は日割りで計算されるので、仮に1日しか貸株をしなくても、その分はきちんと支払われる。例えば、貸株金利10%の株100万円分を5日間貸した場合、受け取れる金額は1369円になる(税引前)。

100万円×10%×(5日÷365日)=1369円(※1円未満切り捨て)

株の貸し出しや返却は自動的に行われるので、数日単位の短期間で売買を繰り返す人でも、なんの手間もなく貸株のメリットを享受できる。

「貸株サービス」の利用手続きはネット申し込みで完結!あとは普通に売買するだけで、自動的に株が貸し出される

貸株の申し込み方法は簡単で、基本的には各証券会社の公式サイトから貸株サービスのいくつかの設定を決めて申し込み手続きをするだけだ。証券会社によって異なるが、「保有している株をすべて貸し出す」「新規に買った株は自動的に貸し出す」などの設定のほか、「特定の銘柄だけ貸し出す」「複数単元の一部だけを貸し出す」など、さまざまな設定もできる。

そして、最初に設定をしておけば、あとは何も考えずに、従来どおりに株を売買するだけで「貸料」という“プラスα”の利益を手にすることができるようになるのだ。

貸株サービスは申し込み終了後、証券会社によっては即日、あるいは翌営業日から貸株サービスが利用可能になる。

「株主優待や配当が受け取れない」という貸株のデメリットは証券会社のサービスを利用すれば回避できる!

そんな貸株にもデメリットがある。それは、貸株をすると株の名義が貸出先に移るため、株を貸し出した状態で権利確定日を迎えると、配当や株主優待がもらえないことだ。株主総会の議決権もなくなるので、株主総会に出席してお土産物をもらったりすることもできない。

配当に関して言えば、配当の権利確定日に貸株をしていた場合、配当金の代わりに、税引後の配当金と同額の「配当金相当額」というお金を受け取ることができる。ただ、一見、配当と配当金相当額は同じようだが、税金の扱いの面で異なっている。

貸株料や配当相当額は「雑所得」となり、他の所得と合算のうえ、総合課税の対象となる。一方で、配当金は「配当所得」。配当控除が受けられ、さらに上場株式等の譲渡損失(株取引で確定した損失)との損益通算ができるため、確定申告をすれば節税になる場合がある。また、配当金相当額は、税引後の配当金と同額が支払われたあと、所得税も取られるので、そのまま申告すると2重課税になって余計な税金を納めることになるリスクもある。

配当でも配当金相当額でも金額的な違いはそれほど大きくはないが、少しでも損をしないためには配当金として受け取りたいところだ

「配当金」と「配当金相当額」の違い
配当金 配当金相当額
税区分 配当所得 雑所得
株式などの譲渡損との損益通算 できる できない
配当控除 対象 対象外

実際、こうしたデメリットを嫌がって「私は貸株はやらない!」と考える個人投資家もいるようだ。しかし、こうした貸株のデメリットは、証券会社のサービスを利用することで回避することができる。

具体的には、各証券会社で用意された「優待取得設定」とか「配当取得設定」といった設定を利用すればOKだ。