独立系運用会社
1980年代まで、投資信託の募集・販売などの業務は証券会社だけで行われてきました。しかし1992年4月に投信委託会社(運用会社)による投資信託の直接販売が認められたことから、直販投信が始まることとなりました。
さわかみファンド
1998年にさわかみ投信がさわかみファンドを設定し、直販投信に参入しました。さわかみ投信は証券会社や銀行を親会社にせず、資本関係のない、いわゆる独立系運用会社と言われます。
セゾン投信、レオス・キャピタルワークス等
2007年にはセゾン投信、2008年にはレオス・キャピタルワークス、2009年にはコモンズ投信、2010年には鎌倉投信がそれぞれ直販投信に参入しました。これらの投信委託会社はさわかみ投信と同様に、1本もしくは多くても数本の投資信託を運用・販売し、長期投資・積立投資の理念などを軸に営業活動を行なっています。
メディアの注目に値するか
つみたてNISAの開始による投資家の長期積立投資に対する関心の高まりや、メディア、セミナーなどでのファンドマネジャーによる積極的な情報発信を背景に独立系運用会社が注目を浴びています。しかし、それほど素晴らしい商品を扱っているのでしょうか。
信託報酬
さわかみファンド、 ひふみ投信 、コモンズ30ファンド 、結い2101の4銘柄の信託報酬は1%強です。また、 セゾン・バンガード・グローバルバランスファンドは半分を債券で運用しているので、その分コストを抑えることができ、0.61%です。従って、この商品が特別に低コストだということはありません。(2019年10月現在)
ファンド名 | さわかみファンド | ひふみ投信 | コモンズ30ファンド | 結い2101 | セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド | TOPIX(配当込) | S&P500(配当込、円ベース) |
運用会社 | さわかみ投信 | レオス・キャピタルワークス | コモンズ投信 | 鎌倉投信 | セゾン投信 | ||
純資産(百万円) | 313132 | 134118 | 18126 | 40977 | 196520 | ||
信託報酬 | 1.10% | 1.08% | 1.08% | 1.10% | 0.61% | ||
リターン | |||||||
1年(年率) | 4.38% | 3.22% | 4.65% | -0.76% | 7.41% | 3.52% | 11.43% |
3年(年率) | 7.98% | 11.53% | 8.83% | 5.48% | 7.68% | 8.28% | 16.47% |
5年(年率) | 6.52% | 12.76% | 8.11% | 4.78% | 4.21% | 6.53% | 11.01% |
10年(年率) | 7.64% | 14.65% | 8.97% | 6.72% | 8.36% | 15.40% |
純資産額の上位銘柄は以下の通りです。(2019年7月現在)
ファンド名 | 運用会社 | 純資産額(百万円) |
ひふみプラス | レオス | 595,411 |
さわかみファンド | さわかみ | 289,166 |
セゾン バンガード・グローバルバランスファンド | セゾン | 185,386 |
ひふみ投信 | レオス | 130,933 |
セゾン 資産形成の達人ファンド | セゾン | 80,450 |
結い2101 | 鎌倉 | 38,676 |
コモンズ 30ファンド | コモンズ | 16,457 |
私の結論
独立系運用会社の商品はすべてアクティブ運用です。証券会社等のアクティブファンドの信託報酬は、1~3%ですから、それに比較すると低コストの下限に張り付いている状況です。しかし、日本やアメリカでインデックスファンドの優良な商品がたくさんあるのに、敢えてコストの高いアクティブファンドを買う必要はありません。優良なインデックスの信託報酬は0.1%程度ですから、10分の1のコストで済みます。1000万円の資産なら年間で9万円、10年間で90万円の差が出ます。私は今後も1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)などのETFで運用を続けます。なお、アクティブファンドの成績がインデックスファンドの成績を上回るということは無いというのが定説です。
なお、せっかくの機会ですから、独立系運用商品の概要をご紹介します。
さわかみファンド
ファンドの目的 円ベースでの信託財産の長期的な成長を図ること。
主な投資対象・制限 国内外の株式等を中心に、投資対象の割合等には特に制限を設けず、積極的かつ長期スタンスの運用を行います。
ひふみ投信
主に日本の成長企業に投資します:顧客から預かった資産を、主に日本の成長企業に投資することで顧客の長期的な資産形成を応援するとともに、日本の未来に貢献します。
守りながら増やす運用に挑戦します:基準価額の上下動に伴うお客様のハラハラ、ドキドキ感をできるだけ軽減し、かつ着実なリターンを目指した「守りながらふやす」運用に挑戦します。
コモンズ30ファンド
ファンドの基本方針
1.投資の目線は30年とします。
2.投資対象は、原則として30銘柄程度とします。
3.企業との対話を重視します。
4.生活者(個人投資家)の参加する場を数多く提供します。
5.直接販売を主とします。
6.信託報酬の一部を社会貢献に活用します。
結い2101
結い 2101は、投資家の長期的な資産形成と社会の持続的発展に貢献するために、信託財産の長期的な成長を図ることを目的として、国内を中心に、社会との調和の上に発展する次のような企業の株式に投資することにより運用をおこなうことを基本とします。
(1) これからの日本に必要とされる企業
(2) 顧客・消費者、社員とその家族、取引先、地域、自然・環境、株主等を大切にし、持続的で豊かな社会を醸成できる企業
(3) 人財を活かせる企業
(4) 循環型社会を創る企業
(5) 日本の匠な技術・優れた企業文化を持ち、また感動的なサービスを提供する企業
セゾン・バンガード・グローバルバランスファンド
3つの特色
◆国際分散投資
このファンド1本で世界中に分散投資することができます。
地域別の投資比率は市場の規模に応じて変化するので、手間なく市場の変化に対応できます。
◆株式と債券への分散投資
株式と債券へ半分ずつ投資することにより、リスクを抑えながら安定したリターンの獲得を目指します。
◆低コスト
ローコスト・ハイクオリティ運用で定評のあるバンガードのインデックスファンドに投資することにより低いコストを実現。長期の資産形成に特化することで運営に係る経費も抑えています