何歳まで働くか?

世界的にインフレが進んで、日本でもマクロ経済スライドによって年金受給額が目減りしていきます。

現在は65歳まで働いて、その後は年金暮らしにしようとした人でも、まもなく70歳まで働かなくてはいけなくなるかもしれません。

すべてにおいて、日本の一歩先を行くアメリカはどうなっているのでしょうか?

2024年3月24日のUSA TODAYの記事を読んで見ましょう。以下は拙訳です。

Here’s how long you have to keep working to get the most money from Social Security


最も多くの収入を得るためには、いつまで働き続けなければならないか?

何百万ドルもの大金を手にして引退する人もいる。しかし、すべての人がそうであるわけではない。

Northwestern Mutualによれば、平均的な60代のアメリカ人は、退職のためにわずか11万2500ドルしか貯金していない。貯蓄がまったくないよりははるかにましだが、20年、30年と続くことを考えると、決して十分な金額ではない。

最低限の貯蓄しかないまま老後を迎えると、出費を社会保障に頼らざるを得なくなるかもしれない。そうであれば、毎月の給付額を増やすためにできることをするのが得策だ。

毎月の社会保障費を大幅に増やす具体的な方法がある。しかし、警告 – それは必ずしも簡単なものではありません。

キャリアを伸ばす

多くの人は、ある年齢に達すると、働くことに関しては、もういいやと思ってしまう。それはまったく理解できる。しかし、退職後の社会保障費を増やしたいのであれば、その節目を遅らせることが最善の策かもしれない。

なぜか?完全退職年齢(FRA)が到来すると、個々の賃金履歴に基づいて、毎月のソーシャル・セキュリティ給付金を受け取る権利が与えられます。その年齢は、あなたが生まれた年によって、66歳、67歳、またはその中間です。

FRAを過ぎてソーシャル・セキュリティの申請を遅らせると、70歳まで、1年ごとに月々の給付額が8%増えます。つまり、あなたのFRAが67歳で、それが希望する退職年齢だとしよう。70歳まで働くのは理想的ではないかもしれない。しかし、そうすることでソーシャル・セキュリティーを3年先延ばしにすることができれば、退職後の毎月の給付金がFRAのときよりも24%増えることになる。

それだけでなく、キャリアを延ばせば、遅延退職控除を考慮に入れても、社会保障給付月額がもともと高くなる可能性もある。

多くの人は、キャリアの終盤になるほど、早い時期よりも多くの収入を得るようになる。退職間際の給与が最も高い場合、長く働くことは、毎月の社会保障給付金の計算式において、低収入の何年かを高収入に置き換えることを意味する。つまり、経済的に得をすることになる。

強く考慮すべき厳しい動き

燃え尽きて、退職後の自由を満喫する準備が整っているときに、無理をして長く働くことは容易ではありません。しかし、場合によっては、キャリアを遅らせることが、退職後に経済的に苦労するか、毎月の社会保障の給料がずっと高いおかげで比較的楽にやっていけるかの分かれ目になることもある。

また、その考えが理解できないのであれば、必ずしも数年余分に働く必要はない。退職を1年でも遅らせれば、社会保障給付金が増える可能性がある。

もちろん、退職を遅らせることで健康を害すると強く感じるなら、話は別だ。しかし、そうでなければ、無理をしてでも長く働くことが、経済的に良い結果をもたらすかもしれない。


日本の状況について、公益財団法人 生命保険文化センター のレポートを見てみましょう。


何歳くらいまで働きたいと考えている?

60歳以上では「65歳くらいまで」が25.6%で最多

60歳以上を調査対象とした内閣府の「高齢者の経済生活に関する調査」によると、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(したかったか)聞いたところ、「65歳くらいまで」が25.6%と最も多く、次いで「70歳くらいまで」が21.7%、「働けるうちはいつまでも」が20.6%となっています。

現在の就業状況は、「収入のある仕事をしている」は全体で37.3%で、男女ともに年齢が上がるほど低くなっています。男性は60歳代前半で85.8%・後半で60.1%、70歳代前半で41.7%となっています。一方女性は60歳代前半で62.6%・後半で38.0%、70歳代前半で35.5%となっており、いずれも男性のほうが高くなっています。

現在収入のある仕事をしている人に、就業形態を聞くと、全体では「パート・アルバイト」が34.3%、「自営業主・個人事業主・フリーランス(家族従業者を含む)」が33.0%と高くなっています。性別では、男性は「正規の社員・職員・従業員」19.0%、「契約社員・嘱託社員」14.9%、「会社または団体の役員」8.7%と、女性(それぞれ7.4%、4.9%、1.8%)に比べて高く、女性は「パート・アルバイト」が52.3%と、男性(20.3%)に比べて高くなっています。

60歳以上の就労希望年齢

60歳以上の就労希望年齢

<内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」/令和元年度>

60歳以上の就業状況および就業形態

就業状況(性・年齢階級別)

高齢者の就業状況

<内閣府「高齢者の経済生活に関する調査」/令和元年度>

就業形態(性別)

60歳以上の就業形態