リーマンショック直前にETFを1千万円購入
私の連れ合いは、2007年に1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)を約1千万円購入しました。その頃我が家は住宅を購入したばかりで、私の貯蓄はほとんどありませんでした。一方連れ合いは、サラリーマン時代とパートタイマーの仕事で蓄えたお金を、普通預金に入れておいたのです。2007年と言えばリーマンショックが起こる前の年で、サブプライムローンの警戒感も市場では全くありませんでした。そこで私が1306の購入を勧めたのでした。
TOPIXか日経平均か
国内株式のETFとしては、代表的なものがTOPIXと日経平均のETFです。ニュースなどで比較的名前を聞くのが日経平均ですが、市場の動向を良く表すのがTOPIXです。NHKは昔、日経平均という言葉を使わなかった時代がありました。なぜなら、日経というのは民間企業の名前であるので、民間企業を宣伝するような言い方を避けていたのでした。そこで、日経という言葉を使わずに説明していました。正確な表現は忘れましたが、「市場の代表的な株式で構成される指数」というような言い方です。しかし、これはいかにも長く、しかも日経平均以外にも該当する指数がありそうです。このため、数年後には「日経平均」を使うようになりました。
NT倍率
日経平均株価を東証株価指数(TOPIX)で割った数値が、NT倍率と言われます。日経平均株価は値がさ株の影響が強く、TOPIXは時価総額が大きい銘柄の影響を受けやすいという各指数の特色があります。現在の株式市場は、日経平均先物の影響が大きいので、市場全体の株価が上昇していくときは、TOPIXよりも日経平均株価の方が早く上昇しやすいといわれています。NT倍率が大きいときは、市場全体の株価が上昇傾向にあると判断することができます。
NT倍率13.7倍
以前はNT倍率が10倍程度だったこともありますが、現在は13.7倍に上がりました。具体的な銘柄でいうと、指数の中で占めるソフトバンク 、ファーストリテイリング等の値嵩株の割合が高く、一方で銀行などの株価が超低金利政策によって低迷しているからだとされています。
分散化はどちらも十分
日経平均を構成する銘柄数は225、TOPIXは約2000です。TOPIXの方が分散化が図られていますが、日経平均も十分に分散できていると言えます。今から思うと、TOPIXでなく日経平均のETFを買っておけば、数百万円増加していたのですが、株式はいつも良いことばかりではありません。
野村か大和か
さて、TOPIXのETFの中でどの銘柄を選べばよいのかを考えました。当時は、対面証券会社の野村證券と大和証券に強い信頼を置いていたので、この2社が検討対象になりました。経費である信託報酬は、両銘柄とも0.11%で同じでした。私の証券口座が野村證券だったことと、野村が日本最大の証券会社で安心感があったので、1305の大和上場トピックスでなく、1306の野村 TOPIX上場を買いました。当時、1305は東京証券取引所、1306は大阪証券取引所に上場していました。かつて大阪証券取引所に上場されていた株券等は、現在、東京証券取引所に移管されました。
現在のTOPIX銘柄
それでは、今TOPIXのETFを買うとしたらどの銘柄が良いのでしょうか。現在は7銘柄あり、それを信託報酬の低い順に並べました。
コード | ETF名 | 出来高* | 乖離率* | 信託報酬 (税抜) |
1475 | iS コアTOPIX | 185,976 | -0.03% | 0.060% |
2524 | 農中 TOPIX | – | 0.15% | 0.075% |
1348 | MAXIS トピックス | 68,950 | -0.03% | 0.078% |
1473 | One トピックス | 210 | -0.13% | 0.078% |
1308 | 日興 上場TOPIX | 107,300 | 0.02% | 0.088% |
1305 | 大和 上場トピックス | 52,410 | -0.12% | 0.110% |
1306 | 野村 TOPIX上場 | 2,280,390 | 0.03% | 0.110% |
ETFのコストはアクティブファンドの10分の一
野村證券の1306は大和証券の1305と並んで信託報酬が最も高くなっています。ETFはインデックスファンドの範疇に入りますから信託報酬はアクティブファンドに比べて10分の1以下です。例えばアクティブファンドで人気のあるレオス・キャピタルワークスのひふみプラスの信託報酬率は1.08%(税込み)ですから、一桁違います。
出来高は野村
出来高は、野村の1306がダントツに多いです。私が取引時間中に売却すると、瞬時に取引が成立します。出来高が多ければ、流動性、換金性が高いので、急いで数千万円を売却したい時などは有利です。
1557(SPY)の売買代金
具体的に例を挙げて考えます。東証に上場している1557というSPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)という世界最大の銘柄があります。アメリカでは最大の銘柄ですが、東京にも上場されていて取引があります。しかし、日本での取引量はとても小さいのです。昨日の売買代金は89百万円でした。そこで数千万円も売ろうとすれば、買いたたかれるか、あるいは一日待っていても取引が成立しないかも知れません。また将来、場合によっては償還(銘柄廃止)になるかもしれません。従って、出来高、あるいは、そのもとになる純資産総額というのは大事な検討要素です。私は原則として、純資産総額1兆円以下のファンドは買わないことにしています。
証券コード1475のiシェアーズ・コア TOPIX ETF
信託報酬が最も低い1475のiシェアーズ・コア TOPIX ETFは、ブラックロック社の銘柄です。同社はアメリカ最大のファンドの会社です。また、同銘柄の純資産総額は、現在3200億円を超えていて、将来的には1兆円を超えるでしょうから有望な銘柄だと思います。1475については、別の機会に詳しく検討したいと思います。