インデックスファンドシリーズの実質的信託報酬
このブログでは、株式ETFを低コストインデックスファンドを推奨していますが、現状を確認しましょう。下の表は主要なインデックスファンドシリーズの実質的信託報酬です。Funds-i以外はほとんどすべて0.1%台です。なお、買ってはいけないとしているアクティブファンドは、日本株平均が1.377%、先進国株式平均が1.396%ですから、1桁違っています。
日本の信託報酬の方が高い
国内株式のファンドである、日経225とTOPIXの信託報酬は0.154%で、外国株式のMSCI-国債の方が信託報酬が安いのは、競争原理が働いているかどうかの違いだと思います。日経225のインデックス使用料が高いのでTOPIXの信託報酬も高くなっているのではないでしょうか。
インデックスファンド・シリーズの実質的信託報酬(単位:%)
銘柄 | 日経225 | TOPIX | MSCI-コクサイ |
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim | 0.154 | 0.154 | 0.1023 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイ | 0.154 | 0.154 | 0.1023 |
大和証券 iFree | 0.154 | 0.154 | 0.209 |
アセットマネジメントOne たわらノーロード | 0.187 | 0.187 | 0.1099 |
野村證券Funds-i | 0.44 | 0.44 | 0.605 |
三井住友トラスト・アセットマネジメント i-SMT | 0.187 | 0.187 | 0.209 |
りそなアセットマネジメント Smart-i | 0.187 | 0.154 | 0.22 |
純資産ランキング
純資産ランキングは、最高でも2000億円程度ですから、インデックスファンドは株式ETFに比べると小規模となっています。国内株式については1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))などの株式ETFが低コストで充実しているので、わざわざインデックスファンドを購入しなくても、株式ETFを買えば十分だと考える投資家が多いのではないでしょうか。
国内株式インデックスファンドの純資産ランキング
順位 | 銘柄 | 運用会社 | 純資産残高(百万円) | 騰落率10年(%) |
1 | インデックスファンド225 | 日興 | 2011 | 216.92 |
2 | 日経225ノーロードオープン | AMOne | 1923 | 205.04 |
3 | ニッセイ日経225インデックスファンド | ニッセイ | 1857 | 225.2 |
4 | MHAM株式インデックスファンド225 | AMOne | 1493 | 215.84 |
5 | 三菱UFJインデックス225オープン | 三菱UFJ国際 | 1038 | 220.6 |
6 | 三井住友225オープン | 三井住友DS | 927 | 222.02 |
7 | ストックインデックスファンド225 | 大和 | 774 | 217.77 |
8 | インデックスファンド225 | 三菱UFJ国際 | 584 | 216.06 |
9 | 三井住友・DCつみたてNISA日本株インデックスファンド | 三井住友DS | 534 | – |
10 | しんきんインデックスファンド225 | しんきん | 524 | 205.59 |
日本のインデックスファンドの低コスト化
2017年までは、日経平均インデックスファンドと日経平均が、ほぼ同じ動きをしていました。その理由は、税引き後の分配金が1%強あったのですが、それがそれがほぼ同額の信託報酬などの経費に使われてしまったため、一致したのです。それ以降、コスト引き下げ競争が激しくなって、分配金のほとんどが再投資に回り、その結果インデックスファンドが日経平均を上回るようになったためです。それは、個人投資家にとって、とても良いことなのですが、逆に言うと、それまでは1%強の分配金が全額証券会社の儲けになっていたということです。
インデックスファンドの運用手法をアセットマネージメントOneの説明で確認しましょう。
インデックスファンドの運用手法には代表的なものとして、完全法、層化抽出法、最適化法があります
完全法
ベンチマークと同等の銘柄の比率をファンド内で再現する方法です。
例として、ベンチマークが2,000銘柄で構成されている場合、ファンドも同等の2,000銘柄を保有します。ベンチマークのうちの各企業の構成比率がA社=3%、B社=2%…となっていたら、ファンド内の銘柄の保有比率もベンチマークと同じになるようにします。つまり、運用残高100億円のインデックスファンドであれば、A社の株を3億円分保有する必要があります。
このような運用手法からベンチマークとの価格連動性は高く理想的な手法ですが、一方で全銘柄を購入する相応の資金が必要であり、売買頻度も多くなりがちで、結果的に運用コストが高くなってしまうデメリットがあげられます。
層化抽出法
層化抽出法は、数多くある銘柄群をある基準に基づいていくつかのグループ分け(層化)を行い、各グループから銘柄を選定する方法です。株式ならば、時価総額の大小に基づいた企業規模や業種など株価変動に大きく影響すると思われる要因を基準にグループ分けを行い、同様にベンチマークを構成する各銘柄グループの比率と等しくなるよう個別銘柄を選定します。そのため、全銘柄を購入することなくベンチマークに近い値動きを再現することができます。
層化抽出法のメリットの一つとして銘柄の流動性が高いことがあげられます。流動性とは市場での取引量をさし、流動性が高いほど市場で銘柄の売買が容易になります。ファンドの組入銘柄を売買する際、完全法の場合はベンチマークとの連動性を崩さないよう基本的に構成銘柄の全てを売買する必要があります。そのため、流動性の低い銘柄を保有している場合、売買が困難になってしまうことがあります。
つまり、層化抽出法の場合は一部の銘柄を売買して構成内容を調整するため、完全法と比較して売買が容易であり、取引銘柄数が少ない分、売買コストも低く抑えられます。ただし、ベンチマークとの連動性は完全法と比較して劣後します。
最適化法
最適化法は、統計学などを用いた計量モデルによって最適化計算を行い、ベンチマークとの連動を目指す手法です。ここでの最適化とは、与えられたいくつかの条件の中でファンドがベンチマークと連動するよう銘柄の比率を決定することをさします。
最適化法も層化抽出法と同じく、ベンチマークに組み入れられている全銘柄を購入することなくファンドを構成することが可能である一方、構成銘柄数が少ないため、時間の経過とともに連動性が低下し、リバランス(銘柄の比率調整)が必要になります。