<前回の続き>
学習指導要領の改訂で4月1日から高校で本格的な金融教育が始まりました。どのような内容なのかを金融庁の金融経済教育指導教材をもとに覗いてみましょう。なお、飽きないように断続的に掲載します。
黒字はパワーポイントのスライド、紺色は発表者用のメモです。
高校生のための金融リテラシー講座
4.「貯める・増やす」 ~ 資産形成
【狙い】ちょっと用語の難しい資産形成(投資)について学ぶ。リターンを獲得するにはリスクを取る必要があることを知る。長期で投資を行うと、複利でリターンが大きくなることを知る。
第4章は、「貯める・ふやす」~資産形成をテーマに、それぞれの金融商品の特徴について見ていきます。
クイズ:確実に儲かるという投資を紹介され、リスクがないなら安全だと思って始めた。〇か×か。
答えは×です。確実に儲かるは詐欺です。リターンを得るためにはリスクを取らなくてはなりません。
4-1.どうして資産形成が必要なのか?
- まずは家計管理をしっかり行い、貯蓄しましょう
- ただ、超低金利のもとでは、預貯金ではお金は増えません
- 物価上昇(インフレ)すると、貯蓄の価値が目減りする可能性があります
- ライフプランの選択肢が多様化し、一人一人が自由に生きる時代です
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目的別に金融商品を活用しながら、皆さん一人一人が自分に合った資産形成を行い、将来に向けて準備していきましょう。
語学やPCスキルを学ぶ、資格を取得するなど自己投資を行い、稼ぐ力を高めることも大切です。
- まずは、収入と支出を管理し、毎月貯蓄できるようになりましょう。
- 預金金利は30年前は9%という時期がありましたが、今は0.001%です。預金で貯蓄が増えなくなりました。
- 例えば、りんごが1個100円で貯蓄が1万円あると、りんご100個買えます。りんごの価格が上がり1個200円になると、1万円でりんごは50個しか買えなくなります。これが物価上昇(インフレとも言います)により、貯蓄の価値が目減りするという意味です。
- 生活費や使う予定がある資金を預貯金に入れておき、当面使う予定がない資金で株式、債券、投資信託などの金融商品を購入するなど、目的にあった金融商品を活用しましょう。
- 就職して1つの会社で定年まで働くだけでなく、転職したり起業したり選択肢が広がりました。また、自分の人生で重要だと思うことや、達成したいことも人それぞれです。
- また、語学やPCスキルを学ぶ、資格を取得するなど自己投資を行うことで、稼ぐ力を高めること大切です。資産形成のみならず、自己投資も大切だということは覚えておきましょう。
4-2.利子と金利
(1)利子(利息):借りたり貸したりしたお金に、一定の割合で支払われる対価(金額)
(2)金利(利率):貸し付けたり借りたりした資金に対する対価の利率
お金を預ける時は、金利が高い・低いどちらが良いですか?
お金を借りる時は、金利が高い・低いどちらが良いですか?
- ではまず最初に資産形成の一番基本、お金を預けて貯める、つまり預金について考えてみましょう。
- お金を預けると、利子(利息)を得ることができます。一方、お金を借りると、利子(利息)を払わなければなりません。利子(利息) とは、借りたり貸したりしたお金に、一定の割合で支払われる対価のことで、金額で表示されます。1万円に対して100円みたいな感じですね。
- 一方、金利(利率)とは、利子を利率%にしたものです。1万円の1%みたいな感じですね。
- お金を預ける時は、なるべく金利が高い方が増えるのでいいですよね。一方で、お金を借りる時は、なるべく金利が低い方が払う金利(手数料)が減るのでいいですよね。
4-3.単利と複利
- 最初の元本のみに利子がつくことを「単利」と呼びます
- 元本のみならず、利子も運用すれば、その利子にも利子がつく ことを 「複利」 と言います
複利の効果は、金利が高いほど、期間が長いほど、大きくなります。
- 元本だけでなく、受け取った利子も預けると、利子に利子がつきます。このことを「複利」と言います。
- グラフの例は100万円を40年預けて、5%の利子がついた場合です。
- 100万円が「単利」では40年後300万円に増えました。「複利」では704万円に増えました。複利は曲線的に増えていきます。
- 「複利」の効果は金利が高ければ高いほど、期間が長ければ長いほど、大きくなります。
- 預金などお金を預ける場合は、金利が高い方が良いですね。一方、お金を借りる場合は、複利によって支払額が増えてしまうので、金利は低い方がいいですね。
- 計算方法:単利(100+100×0.05x40) 複利:(100x〖1.05〗^40)
4-4.金利の推移
- こちらは日本の過去50年くらいの預金金利の推移です。1970年代には9%をつける時もありましたが、皆さんが産まれた2000年以降はずっとゼロになっています。なので、預金においていて、増えるということはあまり期待できなくなりました。
- (クリック)銀行に預けるという事は、現在だと安全に保管するという事になりますね。
4-5.金融商品の3つの基準
- 収益性:どのくらい利益が期待できるか
- 安全性:元本が減らないかどうか(元本とは、金融商品の購入・投資に充てた資金の額。いわゆる元手です。)
- 流動性:お金を引き出しやすいかどうか
3つの基準すべてを完全に満たす金融商品はない
- 資産形成を行うということは、目的に応じて金融商品を選ぶということです。
- 金融商品を選ぶときのポイントとしては、安全性、収益性、流動性の3つの観点があります。
- 安全性とは、お金が減らないかどうか、収益性とは、どれくらい利益が期待できるか、流動性とは、必要なときにお金を引き出しやすいかどうかです。
- 安全性や流動性が高いものは、収益性が低くなり、一方、収益性が高いものは安全性や流動性が低くなりますので、3つの基準すべてを満たす金融商品はありません。
- 金融商品には、それぞれ特徴があり、金融商品を選ぶときは、これらの基準に照らしながら、目的に応じて使い分けたり、組み合わせることが大切です。
<次回に続く>