トラッキングエラー
インデックス :
パッシブ運用 :
ファンド(投資信託):
ポートフォリオ :
運用対象として保有する株式、公社債、短期金融商品など、保有資産の構成内容のことです。
本来は「紙ばさみ」の意味ですが、海外では有価証券は紙ばさみに挟んで保管されることが多かったため、保有資産の構成内容を「ポートフォリオ」と称するようになったといわれています。ポートフォリオの決定には、さまざまな理論があり、これらポートフォリオ選択理論に基づいて資産配分比率が決定されます。
ベンチマーク:
目標基準、または対抗指標。運用の世界においては、その運用実績を測定し、評価するための基準をいいます。
日本の株式の場合は、日経平均やTOPIXをベンチマークとすることが多く、投資信託の場合は、その運用対象に対応したインデックスがベンチマークとなることが多い。
ベーシスポイント:
トラッキング・エラーとトラッキング・ディファレンス
定義は会社ごとに異なる
トラッキング・ディファレンスとトラッキング・エラー
例えば、トラッキング・エラーが50ベーシスポイントであれば、当該期間中のトラッキング・ディファレンスは、およそ3分の2の確率で50ベーシスポイントの範囲内に収まることになります。トラッキング・エラーが低いということは、トラッキング・ディファレンスの変動性が小さいことを意味します。
長期運用にはトラッキング・ディファレンス
長期間のトータルリターンの最大化が主な目的ならば、トラッキング・エラーよりトラッキング・ディファレンスの方が重要でしょう。しかし、短期間のパフォーマンスの一貫性が重要で、変動性を最小化したいのならば、トラッキング・エラーを重視すべきです。
乖離と平均リターンのどちらを選ぶか
以下に示した仮説ケースの場合、長期的なリターンを重視している投資家にとっては、トラッキング・エラーが高くても「ファンドA」の方が優れた選択かもしれません。一方、リターンがベンチマークからあまり大きく乖離しないことを重要視する投資家にとっては、平均リターンが低い(つまりトラッキング・ディファレンスのマイナス幅がより大きい)にも関わらず「ファンドB」が魅力的かもしれません。
トラッキング・エラーとトラッキング・ディファレンスが生じる主な理由
トラッキング・ディファレンスに影響する要因 | ネガティブ | ネガティブまたはポジティブ | ポジティブ |
●ベンチマークに関連する要因 | |||
インデックスの変更または銘柄入れ替え | 〇 | ||
証券の流動性の低さ | 〇 | ||
●ETFやファンドに関連する要因 | |||
経費率 | 〇 | ||
その他のコスト(手数料など) | 〇 | ||
サンプル法・最適化法 | 〇 | ||
運用スキルおよび経験 | 〇 | ||
セキュリティーズ・レンディング(証券貸出) | 〇 | ||
購入および解約の手数料(ファンドに対する支払い) | 〇 | ||
フェアバリュー・プライシング | 〇 | ||
キャッシュ・ドラッグ | 〇 |
手数料
手数料はパフォーマンスを引き下げるため、マイナスのトラッキング・ディファレンスを発生させる最も一般的な要因となります。総経費率(TER)には含まれない取引コストなど、ファンドに係る全ての手数料の評価が肝心です。
流動性
流動性も要因となる可能性があります。例えば、コモディティー(商品)や通貨、新興国市場のETFでは、ポートフォリオを構成する原資産証券の流動性の低さや時として変動性の高さが原因となり、トラッキング・エラーが発生する可能性があります。
ファンド・マネジャーの運用能力
全てのインデックス・ファンドのマネジャーの能力は等しいわけではありません。いつ完全法を利用し、いつサンプル法や最適化法を利用するのが適切か、優れたマネジャーならば理解しているものです。また、インデックス構成銘柄の変更や再構築、資金の流出入などについても精通している必要があります。
フェアバリュー・プライシング
フェアバリュー・プライシング(公正価格による評価法)は、世界中の金融市場において時差から生じる価格のずれを修正するために設計された戦略です。フェアバリュー・プライシングが適用されるのは、市場価格が最新ではなく、証券の実際の(公正な)価値を反映していない可能性があるためです。
一部のETFプロバイダーは、保有している証券の価格が国内市場の取引時間内ではあるものの、その証券が取引されている主要市場または取引所の取引終了後に発生した出来事の影響を受けた場合、フェアバリュー・プライシングを適用しています。こうした方針は、海外証券の評価において極めて一般的です。フェアバリュー・プライシングは、ETF保有者にとってはコストおよび潜在的には税金の増大につながりかねない短期的売買を阻止する要因になり得ます。
セキュリティーズ・レンディング(証券貸付)
証券貸付は投資信託投資信託、ETF、年金基金および保険会社の間では一般的な慣行で、自身のポートフォリオ内の証券を貸付料と引き換えにブローカー・ディーラー、ヘッジファンドおよび投資銀行に貸し出すものです。証券の借り手は、借り受けた証券の価額より高い価値の担保(一般的には現金または国債)を預け入れます。貸し手は貸し出しによる手数料に加え、この現金担保の再投資によって利息も得られます。
証券貸付は、貸付料がETFの費用の一部を相殺することでパフォーマンス改善につながるため、投資家にとって恩恵となり得ます。投資家がどの程度の恩恵を享受するかは、運用会社の貸付収入の取り分によって左右されます。