長期的に見て円安に向かうのか

日経に「円、理論値より大幅安 経済状況でみれば『110円前後』」という記事が出ました。気を付けなければいけないのは、これから円高になるとは言っていないことです。それどころか、もっと円安になるかも知れません。その点に似ついては様々な考えがありますが、まずは、日経新聞の2022年6月12日の記事を見てみましょう。


円、理論値より大幅安 経済状況でみれば「110円前後」

2022年6月12日

外国為替市場で円の下落が止まらない。先週は対ドルで3%下落し1ドル=134円台半ばと20年ぶりの安値を更新した。物価や経済状況からみた理論値は1ドル=110円前後と試算され、実勢レートは理論値に比べ大幅に円安に傾いている。ただ、米国の物価上昇率が高止まりし、米金利の上昇観測は一段と強まった。日米金利差の拡大を手掛かりにした円売り圧力は週明けも続きそうな情勢だ。

「物価上昇圧力はピークに達していない」。英バークレイズは10日、5月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率が前年同月比8.6%と市場予想(8.3%)を上回ったことを受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しを急きょ見直した。14~15日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.75%と、1994年以来の大幅利上げを見込む。

10日の米市場では金融政策を反映しやすい米2年債利回りが14年ぶりに3%台に上昇(価格は下落)した。日米金利差が広がるとの観測から円が売られ、円相場は1ドル=135円に迫っている。
今年の円相場の下落幅は約20円に達した。最大の要因は日米金利差にあり、2年金利の差は10日に3.1%台と2018年11月以来の水準まで広がった。マネーは運用上有利な金利の高い通貨に向かいやすい。

もっとも、理論値と比べた割安度も高まってきた。代表的な理論値のひとつは内外の物価が均衡する水準を示す「購買力平価」だ。同じ商品が米国では1ドル、日本では100円で買えれば、為替相場は1ドル=100円が妥当と判断する。

国際通貨研究所が日米のCPIから算出した購買力平価(1973年基準)は、4月時点で1ドル=110円03銭。同月の実勢値(1ドル=126円)は理論値に比べ13%も割安で、割安度合いはデータを遡れる1973年以来で最大だ。

足元で割安度が最大となったのは、2013年以降の日銀の異次元緩和による円安圧力がある。輸出企業が海外に拠点を移し、円安でも輸出が増えないことも要因だ。国内に付加価値の高い産業が育たず、生産性の低迷を緩和で支える日本経済の姿を円安が映しており、物価でみた理論値に収れんしない可能性もある。


他の人はどう見ているのでしょうか?

経済評論家の豊島逸夫は、三菱マテリアルの2022年6月7日のブログで以下のように述べています。


筆者は一貫して、自らの資産運用は半分がドル建て資産とセミナーでもブログでも語り続けてきた。円高の時代に筋金入り円安派を自認しても反応は薄かった。それが今になってドル建て資産を増やしておけば良かったと言われる。筆者のドル建て資産は、FXではなく、長期投資ゆえ、130円でも円転する気はない。今後10年、20年の間には円高の時代も来るだろう。それでも動かす気はない。長期的に150円を見ているからだ。


野口悠紀雄:一橋大学名誉教授は、2022年4月21日のDiamond ONLINE
で、以下のように述べています。


約20年ぶりの円安 輸入物価押し上げの要因に

輸入物価が急騰し、約20年ぶりの円安が輸入物価押し上げの一因になっている。

日本では、輸入価格が上昇すると、その上昇幅の10分の1程度が消費者物価に反映されてきた。しかし、昨年夏以降の輸入価格高騰は半分くらいしか転嫁されていない。

このため、企業は賃金を上げることができない。

資源価格高騰が収まっても、円安が止まらない危険がある。対症療法的な物価対策ではなく、一刻も早く「円安政策」から脱却すべきだ。


日本銀行は現在の円安政策を変更するつもりはありませんから、円安が続くということになるのでしょう。

真壁 昭夫 多摩大学特別招聘教授は、2022年4月18日のPLESIDENT Onlineなどで以下のように述べています。


今後、相応の期間にわたって世界の物価は上昇する可能性が高い。それと同時に、コスト増加による企業業績の悪化などによって、主要国経済の成長率は低下するだろう。わが国経済は円安と資源価格の上昇による交易条件のさらなる悪化に直面することになりそうだ。それに加えて、人口の減少や正規と非正規雇用者の経済格差の拡大などによって国内経済は縮小均衡に向かう。わが国への逆風は強まるだろう。

家計の可処分所得がより急速に減少する展開は排除できない。内需のさらなる減少を背景に、原油、天然ガスや穀物市場で海外勢に本邦企業が買い負けるケースは急速に増えるだろう。円の先安感は高まりやすい


日銀OBや財務省OBも長期的に、円安が進むと見ているようです。


「金」を買いたがる日銀OBたち 2022年5月27日

これは実話である。
筆者は「団塊の世代」ゆえ、後輩たちから「資産運用」について個人的アドバイスを請われるケースが多い。

その中で「金投資」に強い関心を示すのが、知り合いの日銀OBたちのグループだ。既に金購入を決めているので、質問は具体的で「いつ、どこで買えばよいか」。

筆者が「なぜ金に興味を持つのか」を問うと、「量的緩和政策に直接関与してきた。円はいくらでも刷れることを職場で実感してきたので、何か刷れない資産を模索して通貨の原点である金に回帰した。」と語る。「虎の子の退職金を円では持ちたくない」とまで言い切る。通貨の番人を40年務めあげた人物のコメントゆえ、筆者の背筋がヒンヤリする。

財務省OBの知り合いも退官後に金を買いたがる傾向がある

キャリア組として中核にいた人物が「日本はいつかジンバブエになる。」と真顔で語る。トンデモ本に感化されたわけでもない。平然と「自分は日本国のバランスシートを作成してきた。退職金を円で保有するリスクを痛感している。」と語る。

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