プロのアスリートを巻き込んだ私募投資の話

私募投資

私のような少額の個人投資家には、プライベートバンクは縁遠いものですが、アメリカでは、さらに進んで投資するためのクラブがあるようです。今日は、それについてUSA TODAYの2020年12月8日の記事をもとに学びたいと思います。以下は拙訳です。

プロ(のアスリート)のように投資するか?それはもうかるかもしれないが、リスキーだ。

私募投資への関心が高まっていますが、その取引にはお金以上のものがかかるかもしれません。プロアスリートの名声は、グループとして他者との差別化によって成し遂げられるものです。

ブルックリンにあるメイモニデス医療センターで心臓外科の主任を務めるグレッグ・リバコフ博士は自身の投資情報源を話したがります。医師集団の一部として、その集団であるクラブが直接情報を得られる医療会社に投資しています。

そのような投資クラブに、しっかりした利益を得ようとして、メンバーがお金と知恵を出し合うことはかなりよくあることです。リバコフ博士は30年間定期入場券を買っているほどの熱心なホッケーファンですが、今年、違うタイプの投資クラブに参加しました。それはPCOクラブといい、そこには個人的ブランドやソーシャルメディアの影響力を使う専門家が言いて、近寄りがたい投資取引に参加するメンバーを集めています。

「有名なプロアスリートに関心を持ち、投資し、プロアスリートを代表する集団というものは、現実的にあり得るものだと思う。」とリバコフ博士は言います。

アスリートを使って慎重に管理された私募投資に扉を開くことは、アメリカ人が思い込んでいた事柄に関係します。名士、特別な人間関係、他の人には立ち入れない投資機会や商品への要求ということです。

根本的に、PCOクラブには様々なリスクがあります。まず、すべてのクラブ取引に付き物のリスクがあり、それは唯一の集中した投資はゼロになり得るということです。特別のリスクもあり、それはプロアスリートが生み出した方法では取引の選択が不透明であることと、裕福な個人の共同投資資金を集めても最良の取引ができるかどうかが、まず分からないということです。

UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのスポーツとエンターテインメントの責任者で、アメリカンフットボールのシカゴ・ベアーズでディフェンシブ・エンドをしていたウェール・オグンリーは、健康に集中した会社に投資し宣伝する専門家の存在価値についても疑問を呈しています。

「ソーシャル・メディアが発達し、すぐに結果が出る現代において、支持することと投資することは違うのだということを理解しなければならない。」と彼は言います。「もしあなたが手っ取り早く金を儲けたいなら、どうぞ、その商品を宣伝しなさい。でも、誰かがあなたを商売の策略として使っているのなら、専門家のようなふりをしてはいけません。」

オグンリーさんは自分の経験から言います。「人は僕にこう言うんだ。ねえ、お前さんはシカゴ・ベアーズのスターだ。ジムを開けばよいじゃないか。」それに対して彼は、「僕が考えなければいけなかったことは『マイケル・ジョーダンはシカゴでレストランを持っていたが、そんな、史上もっとも有名な運動選手がうまくできないのに、僕がジムを開けると考えられるわけがない』ということだった。僕は何も知らなかったということが真実だ。」

彼は、アスリートと組む人、クラブの取引と関わる人に対して、非常に用心深くなりなさいと、アドバイスします。そういう人たちは、何かを宣伝する人は手っ取り早く儲けるためにしているのか、あるいは投資について深い専門性を持っているかを知る必要があります。

同時に、アスリートは用心深くなければならないと、オグンリーさんはアドバイスします。クラブは共同出資資金を増やし、将来の機会に対する手段をアスリートに与えるかも知れません。それでも、彼ら自身のお金はまだリスクにさらされています。

それでも、リスクが明確なのに、有名人を巻き込んだ投資共同体が魅力に見える人がいます。

「目立った家族、王家、ジェフ・ベゾスが関係していれば、クラブ取引することに名声がある。」とパダマーコウ・ウェルナー・アセット・マネージメントの会長ソーン・パーキンは言います。彼はアスリートの絡んだベンチャーの一人ではありませんが、彼の会社は1980年代から富裕顧客のためにクラブ取引の手配をしています。

「『えー!、ワオ!、ビル・ゲイツがこの取引の中にいる。彼は大金持ちになった頭のいい人なんだから、彼のような人と一緒の取引ができることにワクワクする。』これは、とてつもないマーケティング・パワーになる。」とパーキンさんは言います。

PCOクラブはマーク・パトリコフが作ったのですが、彼は自分の会社をホーリハン・ロッキーに売る前は、メディアとエンターテインメントを専門にした元投資銀行員でした。彼の現在の会社パトリコフ・カンパニーは、偉大なテニス・プレーヤーであるビーナス・ウィリアムスなど、プロのアスリートのために私募投資を入念に検査しています。それ以外には、3回NBAのチャンピョンになったドウェイン・ウェイド、ニュー・ヨーク・ヤンキースの殿堂入りしたピッチャーであるマリーノ・リベラがいます。PCOクラブはJPモルガンのプライベート・エクイティ・グループから資金的援助を受けて、このような関係を強めることを目的としています。

以上が拙訳でした。ところで、プライベート・バンクの社員が、「プライベート・バンクにお金を預けても、コストだけかかって、いいことは無い。」という話をしていたそうです。透明性の高いETFに投資すれば十分ではないでしょうか。