健康、食品、運動 2

健康診断は毎年受け、まずは健康診断の結果をきちんと確認することが第一歩でしょう。

コレステロール値に関する医学会の問題

実は私は、健康診断で1項目だけ引っかかっています。それは、LDLコレステロールが、基準をわずか数㎎上回っているのです。ところが、これは医学会の問題でもあります。LDLコレステロールは悪玉コレステロール、HDLコレステロールは善玉コレステロールと言われますが、この言い方は事実を正確に表していないようです。

LDLコレステロールが少ないと癌にかかりやすい

LDLは細胞膜を作るのに必要なもので、これが足りないと癌にかかりやすいされています。LDLの基準量は60~119㎎/dlです。一方で、HDLコレステロールは、血管内に溜まった余分な資質を包み込んで、肝臓に戻す働きがあります。いわばコレステロールの回収屋です。HDLコレステロールの基準は40以上㎎/dlです。なお、コレステロールには、LDL、HDL以外にレムナントコレステロールがあり、この3つを合わせて、総コレステロールと言います。

コレステロール値が範囲内にあっても問題

HDLコレステロールとLDLコレステロールの健康診断結果が基準量の範囲内であればよいのでしょうか。これが、現在医学界で論争になっている問題のようです。

LDLを下げる薬を飲んでいると寿命が縮まる

下の棒グラフは、総コレステロール値と死亡率のグラフで、死亡率の要因は、色分けで示してあります。HDLコレステロールが40㎎/dl、LDLコレステロールが60㎎/dlであれば、総コレステロールは一番左の160㎎/dlになると思われますが、その死亡率はこのグラフの中で最も高くなっています。一方HDLコレステロールが40㎎/dl、LDLコレステロールが160㎎/dlだと、HDLは基準内で、LDLは基準を大幅に超えていますが、このグラフの中では最も死亡率が低くなります。このことは、LDLコレステロールを下げるための薬を飲んでいると、逆に寿命が縮まってしまうのです。お金を払って命を削ることを意味します。

コレステロール値と「総死亡率」の関係〜コレステロールって下げた方がいいの?No.2 | hidamari

製薬会社と医学学会の癒着

なぜこのようなことが起こるのでしょうか。東海大学名誉教授の大櫛陽一によると、「現在の基準値の多くが製薬会社と医学学会の癒着で生まれているからです。現行の基準値にとらわれず、国際基準に目を向けてください。また年齢とともに数値が徐々に上がるのは正常な変化。検査値にあまりとらわれることなく、気になる症状が現れたときに病院を受診することをお勧めします」ということだそうです。厳しすぎる日本の基準を気にしすぎないほうが良いかも知れません。

検査技師と医師との食い違い

また、ある人は40歳のエコー検査で胆のうポリープが見つかりました。健康診断の判定では、「半年ごとにエコー検査を受ける必要がある。」となっていたので、病院に行って検査を受けたら、医師から「胆のうポリープくらいで、なんでわざわざ検査に来たんですか。」と言われてしまいました。検査によって商売になるエコー検査技師と、あまり必要だと思っていない医師との間にはギャップがありそうです。なお、現在のエコー検査の精度は非常に高くなってきたとのことです。

腫瘍が良性だと癌研の医師に怒られる

さらに、私の友人はエコー検査で膵臓に腫瘍があると言われ、癌研でMRI検査を受け、その時の結果は良性の腫瘍だったのですが、医師から「癌研は、もっと重篤な患者を扱うところなのに、これぐらいでこないでほしい。」と言われたそうです。この友人が癌研を選択した気持ちはよく分かりますが、相手から見るとそんな必要はないということなのでしょう。

複数の立場の意見をインターネットで調べる

製薬メーカー、学会、医師、検査技師、専門病院、患者、それぞれの立場で考えは違うものです。複数の情報を集めて判断したほうがよさそうです。

胃がんの危険因子“ピロリ菌”

次はピロリ菌と胃がんの関係についてのお話しです。東京医科大学病院の解説書に基づき確認しましょう

ピロリ菌は胃がん、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃の悪性リンパ腫などを発症

胃がんの危険因子は、ピロリ菌の感染、喫煙や塩分過多の食事などがあげられます。ピロリ菌は感染していると胃がんをはじめ、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃の悪性リンパ腫など様々な胃の病気を発症することがわかっています。ピロリ菌に感染している人と感染していない人を10 年間追跡調査してみると、感染している人の2.9%に胃がんが発見され、感染していない人はゼロという結果が出ました。胃・十二指腸潰瘍の患者さんに対してピロリ菌の検査を行うと、約90%が感染していたという調査データもあります。

ピロリ菌の原因は井戸水、親の食べ物の口移し

ピロリ菌は、もともとは土壌にいる細菌ですが、ピロリ菌が混入した井戸水を飲むことや、感染している親から子供への食べ物の口移しなどで二次感染するのではないかと考えられています。5 歳ぐらいまでの間に感染することが多く、何十年という間、胃の粘膜の中に生息し続けます。

ピロリ菌が胃粘膜を傷つけることが胃がんの原因

子どもの時に正常な胃の粘膜に感染したピロリ菌は、長い期間をかけて感染範囲を広げ、最終的には胃全体まで広がって慢性活動性胃炎(ピロリ菌が胃粘膜を継続して傷つけている状態)を発症させます。

<明日に続く>