<昨日からの続き>
金融資産2,000万円の場合の投資
金融資産を2,000万円とした場合の投資方法を説明します。
ポートフォリオ A
銀行預金、個人向け変動10年国債、VOO、1306を利用します。
預金と国債はほとんど金利が付かない
銀行預金の金利は現在0.001%、個人向け変動10年国債の金利は0.05%ですから、どちらで保有していても資産はほとんど増えませんから、あわてて国債を購入する必要はありません。国債は、まとめて買っても、2~3年にわたって分割購入しても、毎年100万円ずつ買っても大差ありません。気を付けるべきことは、国債を買おうとすると、金融機関から他の商品を勧められることがあるので、一切無視して、国債以外の商品を買わないことです。
投資はVOOと1306に
金融資産2000万円のうち、現金・預金に1000万円預けましたから、残りは1000万円です。この1000万円をVOO(アメリカS&P500のETF)、1306(TOPIXのETF)に半分ずつ投資します。
VOOと1306は5年かけて分散投資
現金・預金 | 300万円 |
個人向け変動10年国債 | 700万円 |
1年目:VOO | 100万円 |
1年目:1306 | 100万円 |
2年目:VOO | 100万円 |
2年目:1306 | 100万円 |
3年目:VOO | 100万円 |
3年目:1306 | 100万円 |
4年目:VOO | 100万円 |
4年目:1306 | 100万円 |
5年目:VOO | 100万円 |
5年目:1306 | 100万円 |
安値、高値がいつかは分からない
一度に500万円ずつ合計1000万円投資する方法もありますが、その場合には、相場が低ければ安く買える可能性がありますが、相場が高いと高値掴みする恐れもあります。この相場が低いか高いかは事前にはもちろん分かりませんし、1年後、2年後にも分かりません。その後の変動によって評価が変わるからです。つまり、購入後5年、10年経たないと、安く買えたのか、あるいは、高値で買ってしまったのかの判断ができないということです。
5年分散のメリット
そこでもし、高値掴みのリスクを恐れるのであれば、5年間に分けて、VOOと1306を100万円ずつ、合計200万円を買い続けるのです。こうすることのメリットは、高値掴みのリスクを回避できることです。ただし、安く買えるチャンスも逃しています。
5年分散のデメリット
もう一方、デメリットとしては、投資していない期間はリターンがないことです。全体としては2年間分のリターンをフイにしてしまうことになります。
2割、3割、5割株価下落の胆力
今回のブログのテーマは、50歳以上の人が投資する方法を詳しく説明していますので、比較的投資に対して深い知識経験がない場合を想定しています。したがって、株価ば大きく値下がりした場合の胆力もあまりないと思います。例えば、最近十数年だけでも、リーマンショックで5割下落、チャイナショックで2割下落、コロナショックで3割下落するのが株式相場です。私は、このレベルの下落にはある程度慣れてきましたが、不安で夜も眠れず、仕事も手に付かず、普段の生活でもイライラしているようでは困ります。その心配のある人は、5年間に分散投資することが勧められます。
2年間分のリターンは入会金と思う
5年間に分散投資すると、2年間分のリターンは受け取れませんが、それは投資を始めるための、入会金だと割り切ればよいだろうと思います。50歳代の人は、平均余命が30年以上ありますから、2年くらいの遅れは十分取り戻せると思います。また、5年で分散投資する計画を立てても、自信がついてくれば、途中で残額を一括投資する方法もあり得ます。
もう一つのポートフォリオです。
ポートフォリオ B
基本的にポートフォリオAと同じです。
現金・預金 | 300万円 |
個人向け変動10年国債 | 700万円 |
1年目:VT | 100万円 |
1年目:VT | 100万円 |
2年目:1306 | 100万円 |
2年目:VT | 100万円 |
3年目:VT | 100万円 |
3年目:1306 | 100万円 |
4年目:VT | 100万円 |
4年目:VT | 100万円 |
5年目:VT | 100万円 |
5年目:1306・VT(50万円ずつか、どちらか一つだけ100万円) | 100万円 |
応用編
金融資産が多い場合
資金が3000万円、4000万円ある場合には、現金・預金は同額にして、ETFの金額を増やすこともできます。もし緊急に生活資金等が必要になれば、ETFを売却すればよいのです。株式ETFに多く配分すれば、期待されるリターンも増えます。私は、金融資産のほとんどを株式ETFで運用しているので、過去10年間の金融資産全体の平均リターンは、年率で約6%です。
給与、厚生年金等で生活できる場合
定年退職前の50歳代なら、毎月の給与で生活できますから、金融資産をできるだけ株式ETFで運用することができます。また、退職後に、厚生年金、確定給付年金、確定拠出年金、株式ETFの分配金などで生活費を賄える場合にも、できるだけ多く株式ETFに投資することができます。
1306はNISAを利用
1306を100万円投資する場合、特定口座ではなく、NISAで投資することができます。
売却利益や配当は非課税
通常、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して約20%の税金がかかります。NISAは、「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入したこれらの金融商品から得られる利益が非課税になる、つまり、税金がかからなくなる制度です。イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。
<明日に続く>