◎今日のグラフ:アメリカで株式のリターンが債券を上回った年数
「ウォール街のランダム・ウォーカー」という本に、株式と債券のリターンを比較した表があります。それをグラフにすると、次の通りです。1年だけ取ると、株式のリターンが多い年が6割です。30年の長期で見ると、株式はほぼ100%債券を上回っています。
保有期間 | 株式のリターンが債券を上回った年数(%) |
1年 | 60.2 |
2年 | 64.7 |
5年 | 69.5 |
10年 | 79.7 |
20年 | 91.3 |
30年 | 99.1 |
株式と債券のリターンの違いを長期で見た場合、次のグラフを見ても明らかです。
圧倒的に債券より株式が有利
横軸は1802年から2015年まで取ってあります。縦軸は、普通の目盛ではなく対数目盛です。一直線で伸びているのが、赤い折れ線グラフの株式です。その下にある青い折れ線グラフが長期国債です。対数目盛なので、あまり差がないように見えますが、長期国債が1千ドルとしますと、株式が1百万ドルですから、1千倍も違ってきます。ただし、期間は213年です。これらのグラフから言えることは、長期で金融資産を蓄え、運用しようとする場合には株式が有利だということです。
若い人にとっては長期ではインデックスやETFが安心
20歳代、30歳代の若い人たちは、これから30年、40年と資産を運用することになると思いますが、その場合、株式で運用すればほぼ100%、債券を上回るリターンを得られる可能性があります。ただし、個別銘柄は、株価変動が激しいですし、倒産の危機すらあります。リスクを分散するためには、たくさんの株式に分散して投資しないといけませんから、広く外国株式に投資するインデックスファンドなどやTOPIXなどのETFが安心です。ただし、数年で支払い額の決まっているお金については、財形貯蓄などが有効です。
ミドル、シニア層もETFやインデックスファンドが安心
40歳代、50歳代、60歳代以上の人達も10年、20年といった長期で運用する資金については、インデックスファンドや1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)、SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)などに投資すれば、高いリターンを期待できます。
私もETFとインデックスファンド
私自身、60歳を超えていますが、1306、SPYなどのETFに加えて、「野村つみたて外国株投信」をつみたてNISAで積み立てています。なお、私は70歳を超しても、現在と同様にETFとつみたてNISAで資産運用するつもりです。
◎今日のテーマ:銀行預金は安全ですか?
銀行預金はこれからも安全でしょうか?
人生は山あり、谷あり、綱渡り。私は還暦を超えて、自分の人生を振り返ってそう思います。その中で銀行の定期預金にしても、普通預金にしても、元本が確保され、安心して持っていられる資産だと考えるのは幻想だと思うようになりました。銀行預金は、名目上の価値が損なわれないだけで、実質的な価値はインフレによって、損なわれる恐れがあるのです。
政府・日銀のインフレ政策が実現すれば銀子預金は実質目減り
日本では、1990年代以降たまたま、インフレにならなかっただけで、今、日銀は何とかして2%のインフレを達成しようとしてなりふり構わぬ努力をしていますし、1100兆円を超える国債残高という財政の問題を抱えている日本にとって、インフレが間もなく起こりうると考える方が自然だと思います。2%のインフレは大したことがないように見えるかも知れませんが、この割合で10年続けば22%の資産価値が損なわれることになります。金融庁は【つみたてNISA早わかりガイドブック】の中で「低金利のもとでは、預金だけでは資産は増えません。」と言っていますが、増えないだけでなく、実質的に減るかもしれない状況を、本気になって作り出そうとしているのです。
オーバーシュート型コミットメントなら3%、あるいはそれ以上のインフレ
2016年9月に、日本銀行は日銀は金融政策決定会合で、物価のオーバーシュート型コミットメントを打ち出しました。オーバーシュート型コミットメントという言葉は分かりにくいですが、黒田総裁は「物価上昇が2%を超えて、ある程度そういう動向が続くまで金融緩和を続けるという、かなり強いコミットメントをした」と発言しています。つまり、2%では終わらないということです、それが、2.5%なのか、3.0%なのか、あるいはそれ以上なのかは、今は分かりません。数年前に、日本銀行幹部がインフレタックスの実現を目指しているとの実質的発言が有りました。私のような一般庶民にとっては、インフレによる実質的資産減少は10年間で2割ではなく、3割、4割を覚悟した方がいいかもしれないと考えています。
私はどうすればよいか。
それでは、そのような経済状況を見据えて、私がどんな対策と取ればいいのかを真剣に考えました。インフレ対策も、事後になれば、あれが良かった、これが良かったと、いろいろな解説をすることが可能ですが、事前にはどうすれば最善かがわからないことは、人生と同じです。
日本銀行を退職した職員の行動を参考にする
日本において、お金に一番詳しいのは日銀の職員ですから、その人たちがどう行動するかという情報に敏感になったらどうでしょうか。彼らは在職中、組織内の責任やコンプライアンスもあって、なかなか自由な発言や投資ができませんが、退官してしまえば自由です。退職金をどのように投資するかを見てみたいとおもいます。私の頭で考えるよりよほどいいのではないかと思います。