物価上昇と政府債務
4月以降、企業物価だけでなく消費者物価も上昇しそうです。ドル円は120円台後半で推移しています。政府債務は、元々の放漫財政に加え、新型コロナウイルスやロシアによるウクライナ侵攻で、急激に膨大しています。
日本円を外国株に避難
私(江戸庄蔵)は、10年前にこのようなことになる恐れがあると考え、サラリーマン時代の貯蓄や退職金をほぼ全額、世界の株式ETFに投資しました。投資というよりは避難させたと言った方が良いかも知れません。その結果、評価額は、2.5倍(生活費に補填した分も含めれば3倍近くになります)に増加しました。
銀行預金は目減り
日本の円は、とても危険な状態にあると考えます。そして、その円を日本の銀行預金に置いておけば、どんどん価値が減っていきます。このことについて何も心配せず、ガソリン代やスーパーの商品が値上がりして困る、と言ったような話しかしない日本人も日本のメディアも、私には理解しがたい存在です。
2022/04/25の「松本大のつぶやき」において、松本 大は以下のように語っています。
「円安に目覚めない日本
協調介入に関するつぶやきの題材である「日米協調介入の議論を日米財務相会談で話した、アメリカ側は前向きなトーンだった」という内容のニュースは事実に反すると、財務省幹部が匿名で語ったとの新しいニュースがあり、これはオリジナルなニュースと同様に、要は財務省幹部がマーケットに影響を与える重要な秘密情報を守秘義務に反して話していると云うことには変わりないので、困ったものです。
しかしこの円安、本当に(こんな言葉は使いたくありませんが)ヤバいと思います。日本は人口も減少している国なので、どうしてもフローの経済には限界があり、しかし金融資産や高価値の不動産などのストックではまだまだ世界に対抗できるリッチな国だった訳ですが、この円安はその日本の価値を大きく毀損しています。円安が進めば、外国勢が日本の企業や不動産をバンバン買収や買い占めを始めるかも知れません。そんな魅力はないよ、という説もありますが、安保上も危険です。
しかし日銀は、或いは政府は、ろくな議論もしない中で、財政ファイナンス(或いはMMT)をまっしぐらに進めてい」て、かつインフレになってきてもそれを止める気配がないので、これは制御不能になる可能性があるかも知れません。しかし国内を見ると、そのような危機感は極めて乏しく、なんとなく平和に日々が過ぎています。呑気な国です、日本は。恐らくこのような円安・インフレが更に進行し、呑気で居られないレベルまで生活環境が実感として変わった時に初めて、日本は大きく変わり始めるのでしょう。
安吾が堕落論を書いた時から75年経っても、日本の基本的な思考パターンは変わっていないのでしょうか?」
やがて支払えなくなる毎年の国債利払い費
財務省は2022年1月21日、2022年度予算案をもとにした国債残高と利払い費の推計を公表しました。新型コロナウイルス対策で膨らんだ国債残高は31年度末に1173兆円になり、利払い費は2022年度比で8割増の15.3兆円になると見込んでいます。
利払いが増えないように日本銀行が金利を抑制
現在は日本銀行が低金利に抑え込んでいるから利払い費がこの程度で住んでいるのですが、世界各国がインフレになり金利が上昇する中で、日本も金利を上げれば利払い費が急増します。一方で、日本だけ金利を上げなければ、円安はさらに進むことになります。
消費税を1%上げても税収増は2兆円
消費税を1%上げても税収は2兆円しか増えません。16兆円の利払い費を調達するには8%の増税が必要です。つまり現在の消費税10%を18%にしないといけないということです。しかも、金利が上昇すれば利払い費は増えますから、消費税は20%、30%へと上昇せざるを得ません。
何とかならないでしょうか?
極めて難しいでしょう。消費税率を現在の10%から20%に直ちに増税すれば、延命措置を測ることができるかもしれませんが、根本的な解決策にはならないでしょう。それに加えて、大幅な財政支出の削減も必要が、それでもインフレは進むでしょう。それらがどれほどのインパクトになるかは分かりませんが、かなり厳しい状態になるでしょう。
戦後のハイパーインフレ
日本政府は国民の生命・財産を守ると言っていますが、実際には守ってくれません。それは、第2次世界大戦後の預金封鎖、ハイパーインフレを見ればわかります。当時のインフレ率は20000%ですから、お金の価値が突然200分の1になったのです。この時預金封鎖等を実施した大蔵大臣の渋沢敬三は、自宅が焼き討ちに会うことも覚悟したそうです。
個人としてできることは無いのでしょうか?
マーケットアナリストの豊島逸男は以下のように語ります。
「筆者の知り合いの日銀・財務省出身者たちが、ひとたび退官して一個人投資家になるや、やたらに金を買いたがる傾向は相変わらず続いている。加速していると言っても過言ではない。量的緩和の現場に長くいると、一万円札がただのペーパーとしか見えなくなるものだ。まさに通貨価値の希薄化を現場で痛感してきた人たちが、虎の子の退職金で金を買いたがり、筆者のところへ相談に来る。40年間、円という通貨の番人をやってきた人たちの行動ゆえ、筆者は背筋がヒンヤリする。更に財務省OBたちは自ら日本国の財務諸表を作成してきたが、日本の公的赤字はもはや危機的ゾーンを超えたという。」
若い人は外国株式インデックスファンドの積み立て
私と連れ合いは、既にほとんどの金融資産を世界の株式ETFに移転させましたが、娘や息子は、それほどの貯蓄がありませんから、毎月の給料から外国株式インデックスファンドを買うことを勧めています。すでにかなり円安が進んでしまっていますが、ある程度は株式のリターン(年率7~8%程度を期待)で円安分をカバーできるのではないかと思っています。