金融広報中央委員会の2016年金融リテラシー調査 6

<昨日の続き>

金融広報中央委員会の金融リテラシー調査(2016年)の質問項目を題材に、個人のお金のことを考えてみたいと思います。

なお、私の意見は、⇒の後に示してあります。

Q16 インターネット取引において、適切でないものはどれでしょうか。(1つだけ)
1. セキュリティ対策ソフトを最新版にした
2. メールが届いたが、心当たりのないアドレスだったので、開かなかった
3. インターネットカフェのパソコンを使って銀行振込をした
4. 入力事項に間違いがないか、何度も確認した

⇒ インターネットカフェのパソコンを使うと、IDやパスワードを盗まれる恐れがあります。また、無線LANの電波は広範囲に飛ぶこともあり、道路や隣接地から盗聴されたり、ネットワークを不正に利用されたりする危険性が考えられます。そのため、無線LANを利用する場合には、機器に適切な情報セキュリティ設定を施す必要があります。

ITジャーナリストの三上 洋は、銀行の預金口座が勝手に引き落とされないためには、預金通帳で印字して残高確認するのが最も確実だと解説していました。インターネットは必ずしも万全ではありませんから、できるだけアナログでフォローする方が安心です。

Q17 あなたの金融全般に関する知識は、他の人と比べて、どのようなレベルにあると感じていますか。(1つだけ)
1. とても高い
2. どちらかといえば高い
3. 平均的
4. どちらかといえば低い
5. とても低い

⇒ 日進月歩の金融知識

私の知り合いに、大手銀行で支店長を経験した人が二人います。一人は20年前、もう一人は10年前まで支店長でした。その二人に数年前SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)の年平均リターンがいくらであるかを聞いたことがありました。二人とも、SPYというETFのことも、年平均リターンのことも知りませんでした。年平均リターンは10%程度でしたが、一人はあてずっぽうで「3%くらいかな」、もう一人は「当時そんな商品を扱っていなかったから、分からない。」と答えました。

最新情報をフォローするのは難しい

ファイナンシャルプランナーで、常に最新情報を勉強している人であれば、とても高い知識を保持し続けられるでしょうが、それ以外の人には難しそうです。

ファイナンシャルプランにとって一番大事なのは自分

それでは、ファイナンシャルプランナーに相談すればよいのかというと、必ずしもそうではありません。比較的手軽に、世界の株式に分散投資できるETFに、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)という商品があります。米国を含む全世界の先進国株式市場および新興国株式市場へ幅広い投資をし、経費率(年率)は0.080%と低く、設定された2008年以来12年間の年平均トータルリターンは7%です。

FPはVTを勧めない

この商品をファイナンシャルプランナーは顧客に勧めないそうです。なぜなら、この1商品で十分に地域的分散ができるので、ファイナンシャルプランナーの仕事がなくなってしまうからです。ファイナンシャルプランナーは、必ずしも顧客にとってベストの提案をするのではなく、自分も設けられる提案をするのです。

Q18 100万円を年率2%の利息がつく預金口座に預け入れました。それ以外、この口座への入金や出金がなかった場合、1年後、口座の残高はいくらになっているでしょうか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。(1つだけ)

  • 102万円

  • 102万円以外

  • 分からない

⇒ 小学校の算数の問題です。正解率を示します。

  • 102万円    65.7%
  • 102万円以外  10.3%
  • 分からない    24.0%

正解率が65.7%しかないことには、驚きます。3人に1人は、102万円以外、分からない、を選んでいます。これだけ多くの人が間違えているということは、たまたま選び間違えたという誤差のレベルではなく、本当に分かっていない人がかなりいるということです。

Q19  では、5年後には口座の残高はいくらになっているでしょうか。利息にかかる税金は考慮しないでご回答ください。(1つだけ)
1. 110万円より多い
2. ちょうど110万円
3. 110万円より少ない
4. 上記の条件だけでは答えられない
5. わからない

⇒ 正直に言うと、私はこの答えが分かりません。複利であれば、1,104,080円ですから「1.110万円より多い」になります。単利であれば「2. ちょうど110万円 」になります。普通の預金口座は複利ですが、すべての預金口座が複利なのかどうかの知識がないのです。例えば、銀行のスーパー定期、大口定期預金は単利型があるのですが、それはこの問題文から除かれるのかどうかが分かりません。なお、Q20では、普通預金口座としているのに、Q18は「普通」が付かないただの「預金口座」なので、スーパー定期なども含んでいるため、「4. 上記の条件だけでは答えられない」が正解かも知れません。私の読み方が悪いのか、あるいは、私の知識がないのかもしれませんが、難しい問題でした。

<明日からは、しばらく別のシリーズを掲載し、その後、このリテラシーの続きを掲載します。>