インフレ税、インフレタックスがついにやって来る 2

<昨日の続き>

imidasは以下のようにインフレ税の解説をしています。


インフレ税  [inflation tax] 2016/03

インフレーションの進行によって民間の経済主体(家計、企業など)が保有する通貨(「マネーストック」)の価値が実質的に目減りして、政府による課税と同様に民間から政府(および中央銀行)への所得移転を生じること。同時に国債の実質的価値も目減りすることから、政府の実質的な債務負担を軽減する効果がある。

第二次世界大戦後の日本では、1949年の小売物価指数が戦前(1934~6年平均)と比べて240倍に高騰するという激しいインフレーションによって、猛烈なインフレ課税が行われ、戦時中に累積した国債残高問題がなし崩し的に解消された。

日本銀行が2013年春以降推進している量的・質的緩和(「異次元緩和政策」)は、消費者物価指数前年比で2%のインフレ目標(「インフレ目標政策」)を掲げ、それを達成するために大量の国債買い入れを続けている。その結果、長期国債10年物利回りが一時マイナスとなるなど、史上最低水準の近辺で推移している。このことから、戦後の経験と対比すればごく軽度ではあるものの、暗黙裡にインフレ課税を実施しようとしているといえる。

インフレ目標が成功をおさめる一方、現金(「現金通貨需要」)および金利がほぼゼロである要求払い預金はもとより、定期預金についても10年物でたかだか0.1%未満の金利しかつかない状況が続けば、通貨の保有に対してインフレ率にほぼ相当する分の課税が行われることになる。一方、インフレ目標達成後に預金金利を含めた金利水準を全体としてインフレ率見合いで上昇させる形での出口戦略が採られれば、その分だけ(金利ゼロの現金を除いて)インフレ課税は回避されることになる。


幻冬舎のGOLD ONLINEで、一般の人がどう対応したらよいかなどを述べていますので、勉強しましょう。


富裕層の「財産没収」を本気モードで推し進める日本政府

榊原 正幸2020.1.19

国家財政破綻より「インフレ政策」の方がマシ

ここでは、これからの日本で起こることについて考えてみたいと思います。それは、「インフレ経済」と「財産税課税」です。いずれも経済の面での重要事項です。

2012年12月から始まったアベノミクス以降、特に2013年4月の日銀バズーカ以降は、少なくとも政府の意向(というか、国策)は、明らかにインフレ政策に転換しました。日本経済にはまだデフレが残っているとか、2015年4月時点の物価上昇率は0%だとかいいますが、アベクロ政策はインフレ政策以外の何物でもなく、それを先取りするかたちで日経平均株価は2012年11月の底値(およそ8,600円)から約2.8倍になっているのです。

なぜインフレになるのか。それはまさに「日銀が異次元の金融緩和を実行して、国債を買いまくっているから」です。なぜ日銀は異次元の金融緩和を実行して、国債を買いまくるのか。それはひとえに、インフレを起こさせて「政府の債務を実質的に目減りさせたいから」です。

そして、それは最終的には国民にとっては「よいこと」なのです。国家が財政破綻してもらっては困るからです。「最悪(=国家財政破綻)よりはマシなのがインフレ政策」というわけで、最悪の事態になるよりはよい、という意味で最終的には国民にとっては「よいこと」なのです。

そして、政府の思惑通り、株価は上がっています。地価は、都心しか上がっていませんが、少なくとも都心の地価は上がっています。資産インフレが起こっているのです。

円安もあって、企業業績も好調です。2012年と比べれば1.5倍も円安ですから、輸入物価も上昇しているはずであり、それによってインフレ圧力がジワジワときいていきます。2014年秋以降、たまたま原油価格が大幅に暴落したため、2014年秋から2015年春にかけて、インフレ圧力がその分だけは沈静化しましたが、もし原油価格が下がっていなければ、とっくに(2015年4月の時点でも)2%どころではない物価上昇に見舞われていたことでしょう。

現金は「現金以外の資産」に替えておく!

このままでいけば、近い将来、物価のインフレも顕在化してくるでしょう。株式市場では、すでに資産インフレが顕在化しています。そして、インフレ率に追いつくかどうかはさておき、やがては給与水準も上がってくるでしょう。好調な企業業績は、早晩、給与にも跳ね返ってくるはずだからです。生活実感はどうであれ、もうすでに日本経済はインフレに突入しているのです。政府と日銀がこのままの政策を採り続ける限り、インフレ基調はどんどん鮮明になっていくでしょう。

なお、政権が交代したとしても、現在のインフレ政策は変わらないと予想されます。なぜならば誰が政権を担当するかにかかわらず、日本の国家債務が膨大であることは変わらないからです。そして、インフレのときには何をしなければならないのかというと、現金を持つのではなく、現金を現金以外の資産に替えておかなければならないのです。「現金を現金以外の資産に替えておく」というときに威力を発揮するのが株式投資です。

さて、日本経済はインフレになっているわけですが、政府が政策の舵取りを誤ってしまうと、インフレが度を超えて、ハイパーインフレになってしまうことが懸念されます。そして、そうなる確率はかなり高いように思います。2013年4月以来、日銀は出口の見えないジャブジャブの金融緩和を続けているからです。前にも書きましたが、「中央銀行による国債の実質的な引き受け」を大規模に行なった国で、ハイパーインフレにならなかった例は稀なのです。