お金と人生に関するアメリカ人の例

インフレ、デフレ、将来不安

企業物価高騰が進み、容易に価格に転嫁できるアメリカと、値上げに踏み切らない日本との差が際立っています。また、アメリカではリベンジ消費が進む一方で、日本人は将来のために貯蓄する傾向があります。日本のデフレは存続し続けますが、アメリカでは将来に対する懸念もあるようです。CNBCの2021年11月16日の記事をもとに考えてみましょう。以下は拙訳です。

調査によれば、全てのアメリカ人の半分近くがリタイヤ後に借金を負うと予想

キー・ポイント

  • 報告によれば、全てのアメリカ人の半分近くがリタイヤ後に借金を負うと予想
  • しかし、借金返済は固定収入の場合には一層難しくリタイヤの安全を脅かすことがある

ほとんどの人は借金と共に生活するのに慣れています。しかし借金を背負ってリタイヤするのは別の話です。

繰り返し発生する利子付きの請求書を支払うために十分な現金を手元に置き続けることは、固定収入の場合にはもっとつらく、快適に暮らすための障害をもう一つ増やすことになります。

それなのに、個人のお金のサイトであるマグニファイマネーは、46%のアメリカ人は借金を背負ってリタイヤすると予想しています。

「借金が多くの人々のリタイヤ後の計画を頓挫させることがあります」と、マグニファイマネー編集長のイスマット・マングラは言います。

最近、高齢のアメリカ人はかつてないほど借金をしています。

ニューヨーク連邦準備銀行のデータによると、70歳以上のアメリカ人の負債総額は、1999年から2021年までに614%増加して1.27兆ドルになりました。

ほとんどのアメリカ人は、年金や社会保障だけに頼るのではなく、リタイヤ後のための貯蓄をするのはますます自分たちの責任だと認識してしていますが、もし社会保障が枯渇するとリタイヤ後の夢は壊れてしまうと43%は恐れています。

新型コロナウイルスのために、予想以上に早く社会保障信託基金は枯渇するだろうと、米国財務省は言っています。

高齢のアメリカ人のために、リタイヤした人への支払いを減額し、ヘルス・ケア費用を増やす恐れがあると見ています。

借金を背負ってリタイヤしても、借金返済計画が、もしリタイヤ後の収入に大きな金銭的負担にならないのであれば、必ずしも悪いことではないと、TIAAのファイナンシャル・プランニング・ストラテジー専務理事のシェリーアン・エウィーカは言います。リタイヤする人は、住宅ローンや自動車ローン等、ある程度の借金返済を織り込む必要がありそうですが、これらはたいてい比較的低い利子率なので、「管理可能な負債と呼べるものです」とエウィーカは言います。

「クレディット・カードの借金は利子率が高くなりやすいのです。気が付きにくい問題に苦労するものです」と彼女は言います。

リタイヤ後の収入――例えば、投資からの毎月の分配金と社会保障――で借金を返済し、さらに快適なライフスタイルをできるようにしなければなりません」と言います。

そうでなければ、もっと長く働くか、パートタイムの収入で補充する必要があるかも知れないとエウィーカはアドバイスします。

ファイナンシャル・アドバイザーと会って、リタイヤ後はどうなるのかを正確に見極めることを、ほとんどの専門家は勧めます。

以上は節約でした。現役の世代もリタイヤ後の世代も予算管理は必要かもしれませんが、それ以外のやり方をアドバイスする人もいます。USA TODAYの2021年11月15日の記事で勉強しましょう。

予算を管理するだけでなくライフスタイルを予算管理する:HBCUの元アスリートが個人のお金を指南

元NFL(アメフト)プレーヤーのアドウェイル・オグンレイにとって、アスリートはもちろんのこと、お金の管理に苦労している人を見ると、心底つらくなります。

NFLの平均的プレイ期間は4年未満であると知っているので、オグンレイはリーグ2年目にひらめきました。その年のドラフトにおいて高い順位で選ばれたチームメイトが借金を頼んだ時のことでした。

「この男を見ながら考えました。『僕はドラフトで採用されたわけじゃない』新人の最低年俸しかもらっていないのに、僕に借金するのか?そして実は彼らにお金を貸す立場になっていました。そこで、問題があると分かったのです」と、NFLで11シーズン、プレイしたオグンレイはUSA TODAYのスポーツ担当に話しました。

モルガン・スタンレーのグローバル・スポーツ・アンド・エンターテインメント部門のファイナンシャル・アドバイザーのウォルター・スタイスは、富が成長する簡単な理由があって、選ばれたスポーツにおいて収入を得なければならない平均時間に基づいています。

北アメリカ4大スポーツにおける平均的選手寿命は全て4年未満なのです。

「財産が消えてしまうのは必ずしも誘惑のせいだとは言いません。そういう宿命なのです」と、アメリカのNFLとカナダのCFLでプレイしたスタイスは言います。「これらのほとんどのアスリートは、友人や家族を助ける義務があると感じているが、それが問題なのだ。」概してファイナンシャル・リテラシーは私たちの教育システムにおいては優先事項と位置付けられ、特に黒人の財産や黒人の起業家を扱う場合には当てはまります。

これがオグンレイがUBSと、そのアスリート、エンターテイナー部門とチームを組む理由の一つで、彼らの仲間や不当な扱いを受けてきた社会がファイナンシャル・リテラシーを身につけるのに役立っています。

例えば南部全大学運動競技者会議との連携によって、14リーグ学校に所属する学生に教育する手助けをしています。

以上、記事の一部の拙訳でした。大学を卒業してアメリカン・フットボールにドラフトで入る人の平均契約金は4億円ですが、そのうちの7割が破産してしまっていたそうです。したがってこのような教育が必要なのでしょう。