株価が上がった時に、日本人の思い浮かべるグラフ、アメリカ人の思い浮かべるグラフ:兄弟からの資産運用相談

◎今日のグラフ:株価が上がった時に、日本人の思い浮かべるグラフ、アメリカ人の思い浮かべるグラフ

日本人の思い浮かべるグラフ

2017年10月に日経平均は16連騰し、年間でも20%上昇しました。株式は売買して市場が成立しますから、勝った人もいれば、その反対に売った人もいます。買った人が外国人投資家で、売った人が日本の個人投資だったそうです。この時に日本人はどのような株式のグラフを思い浮かべるのでしょうか。グラフを思い浮かべない人もいるでしょうが、思い浮かべる人もいるでしょう。私は様々なグラフを見ることがありますが、次のグラフを繰り返し見させられたという記憶があります。

1960年代の日経平均1000円程度の時代から相場は上昇し、オイルショックの1973年ごろにいったん調整が入ったものの、1989年には過去最高値の38,957円を付けました。その後は2万円を切った時に大騒ぎになり、更に1万円も割り込みました。このような経験を踏んできたので、ある程度価格が上がると、利食い売りしたいという誘惑にかられるのでしょうか。特に株式を保有して売買しているのがシニア層ですから、1990年前後のバブル崩壊は鮮明に覚えているのでしょう。

日本の将来は少子高齢化

しかも、日本の場合には少子高齢化で将来的に経済力も衰えるだろうという考えが根強くありますから、あまり長期間株式を保有していると危ないと思っている人が多いのではないでしょうか。

アメリカ人の思い浮かべるグラフ

それではアメリカ人は、現在のように株式相場が上昇しているときにどう考えるのでしょうか。下のグラフは、実質トータルリターン指数のグラフです。横軸は1802年から2015年まで目盛を取ってあります。左の縦軸は1802年の株価を1とした時の目盛です。この縦軸の目盛は対数目盛です。インフレ率は調整してあります。金利や利回りは複利で増えていきますから、対数でないとうまくグラフを描けないのです。1802年に1ドルだった株価は2015年には100万ドルを超えています。多少のデコボコはありますが、ほぼ一直線で株価は上昇しています。ただし、よく見ると、過去数年を下回っている場所もいくつかあります。

波はあるものの、ほぼ一直線

世界大恐慌と言われた、1929年前後が20世紀に入ってからの最初の落ち込みです。株式は死んだと言われた1970年代にも同様に落ち込んでいます。21世紀に入ると、ITバブル崩壊の時に少し落ち込みがあり、2008年のリーマンショックでも同様に相場が下がりました。従って、多少落ち込みの期間があっても、そのうち回復して株式相場は上がっていくと考えているようです。いずれ上がっていきますから、利食いをする必要はなく、Buy And Holdの方針を貫けばいいということになります。ウォーレンバフェットは、若い頃に株式を買ったのですが、その価格が下がってしまいました。その後、その株かが回復したところ、急いで売ってしまって、損をしなかったそうです。しかし、その後のその株価は上がり続けたそうです。アメリカの株については、Buy And Holdが基本だそうです。

最近の20数年の推移

上のグラフは、200年以上という超長期のグラフです。もう少し短い期間ではどうなのかという観点も必要だと思います。これは株式相場を代表するS&P500のETFである、SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)の価格の推移を表したグラフです。2001年から2003年にかけてITバブル崩壊で下がり、2008年のリーマンショックでも下がりましたが、その後は急上昇しています。いずれ、何年か後には20~30%程度の調整があるかもしれませんが、今後も引き続き伸びるだろうというグラフです。

SPYの運用実績

そして、実際に資産運用する時にはSPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)という商品が有力な候補になりますが、その運用実績を表したのが次のグラフです。いずれも年率で表しています。特に一番右の棒グラフをご覧ください。

このSPYは1993年に設定、販売されましたが、設定来24年間の平均運用実績は9%を超えています。アメリカ人はこのようなグラフを見ていて、今後の株価上昇を信じているのではないでしょうか。

◎今日のテーマ:兄弟からの資産運用相談

私の兄弟から、先日、「金融商品で、あまり証券会社が儲からないから広告宣伝しないけど、いいのがあると言っていたけど、それは何?」とSMSで質問がありました。

1306とSPY

そこで、「ETFで1306とSPYを買うのが良い。大事なことは、価格が下がった時に売らないこと。5年経てば回復する。」と、あっさり返事をしました。おそらく、ETFも1306もSPYも初めて聞く言葉だったと思います。親切に詳しく解説するよりはぶっきらぼうに答えた方が良いという判断に基づいた返事です。1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)とSPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)を買うという方法自体は、投資として正しい方法だと思います。

大事なので自己責任と納得感

しかし、買うタイミングが最も良いのはいつかということには、結論は出ないはずです。また、価格が下がった時に、売るべきかどうかというのは、生活費等にどれほどの余裕資金があるか、非リスク資産をどれだけ持っているかなどの状況によって、変わってきます。投資は自己責任といわれますが、親切に手取り足取り教えることが良いとは思いません。分からない言葉を勉強して、自分の判断に基づいて、いつ、いくら買うのかを自分で決めることが大事だと思います。同じ運用益を出したとしても、自分で判断したことであれば納得できるでしょう。

お金が増えるだけでなく世界経済に関心を持てるのも副次的楽しみ

損失を出した時も同様です。投資は、資産が増えるだけでなく、金融、経済などに関心を持ち、自分で考えてみることにも面白みがあると思います。資産が増えた場合には、楽しみになり、もし減った場合には、悔しさを味わい、反省してより良い方法を自ら見つけ出すことも充実した生活の一部になると思います。
それから、兄弟あまり詳しく教えて、一時的にでも価格が下がった時には、恨まれ、人間関係もうまく行かなくなる可能性もありますから、あくまでも自己責任でやってほしいと思います。もちろん、分からないことを更に聞かれれば、今後とも適切に回答しますが。

 

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