確定給付年金の支払い通知

確定給付金支払いは奇数月

確定給付年金お支払通知書が届きました。給付金額は約13万円、そこから所得税1万円を差し引かれて、12万円が支払われます。支払い月は奇数月ですから、偶数月に支払われる厚生年金の補完の意味があるのでしょう。ちなみに、財形年金は3か月に1回、18万円が支払われます。厚生年金と財形年金の重なる月は裕福ですが、確定給付年金しか支払われない月は、預金残高が気になります。

確定給付企業年金制度の目的

国民年金、厚生年金など、国が運営する公的年金に対し、確定給付企業年金は民間企業が運営する私的年金の代表的な制度です。2002 年 4月に確定給付企業年金法が施行され、2018 年 3月末時点で制度数は約 13,000 件、加入者数は約800 万人に達しています。

確定給付企業年金の目的

確定給付企業年金の目的は、公的年金とともに、国民の生活の安定と福祉の向上を図ることにあります。こういう文章は、法律の第1条(目的)によく書かれていますが、私個人としては、安定的に2.5%の利率の年金を受け取れるので、この法律の目的は果たされています。

適格退職年金制度

確定給付企業年金法施行前は、適格退職年金制度と厚生年金基金制度が企業年金制度の主流でしたが、適格退職年金は厚生年金基金に比べて受給権保護の仕組みが十分には整備されていませんでした。そのため、企業年金制度が老後の安定した所得を保障するためには受給権保護の仕組みの確立が必要とされ、同法が成立するに至りました。

従業員に支払われるお金が消滅

ここには、表面に表すことのできるきれいごとが書かれていますが、実は、企業が適格退職年金の制度を利用して、節税した後、その資金を積み立てずに使い込んでしまい、従業員に支払われるべき資金がなくなってしまったのでした。そこでその資金を企業が勝手に引き出せなくなる仕組みとして、確定給付年金制度が2002年に導入されたのです。同時期に導入された確定拠出年金制度も、その問題を解決するための制度ですが、確定拠出は従業員、確定給付は企業が運用します。

厚生年金基金の解散・代行返上

なお、同法施行に伴い適格退職年金は 2012年 3 月末日で廃止され、また厚生年金基金についても確定給付企業年金への移行(代行返上)が可能となりました。2014 年 4 月の厚生年金保険法の改正に伴い、更に多くの厚生年金基金が解散・代行返上を行い、確定給付企業年金はその後継制度の1つとなっています。

予定利率は5.5%

現在のような超低金利の時代には、信じられないような数字ですが、確定給付年金や、確定拠出年金の制度が導入されたころの企業年金の予定利率は5.5%でした。しかも規模のメリットを生かすために、企業年金の資金だけでなく、本来は政府が運用する厚生年金の資金についても、代行して企業が運用していました。

運用の不足額を企業が補填

昭和の時代の高度経済成長、その後のバブル経済の頃は実現可能な数字でしたが、1990年代に入ると低金利時代ですから、この利率は到底実現できませんでした。その場合には、不足額を企業が補填しなければなりません。加えて上記の政府代行部分の不足額までも補填する必要があったのですから、企業にとっては、経営にも影響を及ぼしかねない重大問題でした。そこで、各企業は、確定拠出年金、確定給付年金の両制度を導入し、併せて代行部分の返上と予定利率の引き下げを行いました。

割を食った一部の従業員

これによって、企業の負担は減りましたが、その割を食ったのは誰でしょうか。パイが同じであれば、政府と従業員ということになりますが、それほど単純ではありません。

従業員については、大まかに言って、

  1. 元本確保型の銀行預金・保険
  2. バランス型
  3. 外国株式インデックスファンド

の3種類によって、運用しましたが、どれを選んだかで大きく命運が分かれました。

1.元本確保型の銀行預金・保険

日本人は、元本確保型が好きなようで、企業型確定拠出年金の運用商品の90%を銀行預金・保険が占めています。現在のような超低金利の時代には利率がほぼゼロですから、予定利率もゼロになります。つまり、確定拠出年金導入前のの予定利率5.5%がゼロ%になってしまいました。

2.バランス型

内外の株式や債券などに分散させた商品で、3%前後の予定利率のものが多いようです。この場合も以前の5.5%から減少したことになります。

3.外国株式インデックスファンド

インデックスファンドはパッシブファンドとも呼ばれ、信託報酬が0.2%以下の低コストの商品です。期待リターンは7%前後になるようです。この商品を選択した人は、良かったということになります。ただし、制度変更前は、企業年金全体の利率が5.5%で、変更後の確定拠出年金、確定給付年金の割合を半分ずつにすると、もし確定給付年金の利率が2.5%の場合、

( 2.5% + 7.0% )/ 2 =4.75%

となり、少し減少します。

8.5%で運用できれば、

( 2.5% + 8.5% )/ 2 =5.5%

となりますから、制度変更前の水準を確保できます。アメリカS&P500のリターンは、過去10%程度ですが、確定拠出年金の外国株式インデックスファンドは通常、アメリカだけでなく他の先進国も含んでいますので、8.5%のリターンは少し厳しいような気がします。

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