老後資金における年金・商品等の利率比較・利用 5

<昨日からの続き>

老後資金には様々なものがあります。それらについて、現状の利率を確認し、資産全体の中で、それぞれの資金をどう利用するかを考えます。

6.財形年金

私は予定利率は0.7%で、60歳から6年間受給しています。

利子は非課税

60歳以降に年金として受け取るための老後の資金づくりを目的としています。「財形住宅貯蓄」と合わせて、貯蓄残高550万円まで利子等に税金がかかりません(保険などの商品の場合は、払込額385万円までが非課税)。
ただし、年金以外の払い出しは要件を満たさないため、利子等に課税されます。

生命保険の財形を利用したが・・・

私は、2000年代の初め、住宅財形を利用して住宅を取得した後、生命保険の財形年金で380万円を積み立て、60歳から年金を受け取っています。

超低金利時代では失敗

結論から言うと、利率の面で、これは失敗でした。この制度のメリットは、年金受け取りの際に、利子に税金がかからないのですが、低金利の時代では、ほとんど利子がつきませんので、この節税メリットが生かせないのです。

S&P500のETFにすれば良かった

その380万円を、例えば、SPY(アメリカSPDRのS&P500のETF)に投資すれば2005年当時120ドルで、現在410ドルまで増えましたから、20%の税金を払っても、受取額ははるかに多くなっていました。なお、分配金を合わせて考えれば、20%の税金が帳消しになります。

現在の予定利率

  • 日本生命:0.7%
  • 朝日生命:1.5%
  • 損保ジャパン:財形傷害保険0.50%
  • 三井住友海上:財形傷害保険0.50%
  • 三菱UFJ銀行: 0.010%
  • みずほ銀行 0.010%
  • 中央労働金庫 0.015%

財形年金の時代は終わり?

かつては、生命保険会社の予定利率が5%以上だった時代もありましたが、現在は1%前後まで下がり、しかも新規受付を停止している会社も多い状況です。財形貯蓄の時代は終わったのかもしれません。

  • 給与天引きを生かすなら、給与振込口座から自動引き落としをして証券口座に振り替える手続きをすればよく、
  • 税制優遇措置を求めるなら、イデコ、企業型確定拠出年金をフルに生かせばよく、
  • 透明性、低コストを求めるなら、ETF、インデックスファンドで資産運用すればよく、
  • 高金利を求めるなら、株式ETFや外国株式インデックスファンドで示唆運用すればよい

時代になっています。

7.銀行預金

金利はほぼ0%で、生活に必要な最低限の金額だけ預けています。

給与、年金の口座

現在の銀行預金への収入は、厚生年金、確定給付年金、財形年金です。それ以外に株式ETFの配当金が証券会社のMRF、外貨MMFの口座に入ります。

多額の預金は銀行

銀行預金に数千万円を預けておくと、高コストやブラックボックスの商品を営業されることがありますので、せいぜい数百万円だけ預けて、それ以外は株式ETF、低コストインデックスファンドに投資するのが安全です。

銀行預金の役目は最小限度

銀行預金の役目は、給料、年金の受け取り、クレジットカードの引き落とし、送金、ATMぐらいしか使いません。私は、ペイペイを利用しますが、セブンイレブンのATMで1万円ずつ現金をチャージしています。

住宅は現金で購入したので、住宅ローンは利用していません。

銀行・証券の得意客にならない

私は今から40年ほど前に、都市銀行に身を寄せていたことがありましたが、今はほとんど利用していません。ですから、銀行からすると、お得意さんではありません。証券会社では2億円以上の資産を運用していますが、そのほとんどがETFで、しかも買いっぱなしのため売り買いをしませんから、証券会社には売買手数料、為替手数料、信託報酬がほとんど入りません。逆に言えば、そのような手数料を払わずに、私の資産が増えているということになります。これらの手数料は、油断していると年間2%も支払うことになります。総資産が2億円だと、400万円になりますから、油断してはいけないということです。証券会社に手数料を取られないコツは、

  • 買いっぱなし バイ・アンド・ホール(Buy and Hold)
  • 信託報酬は0.3%以下のもの株式ETF、インデックスファンドしか持たない

ということです。

銀行の商品はすべて高コスト

一方、銀行で手数料などをとられないコツは、個人年金保険、外貨預金、アクティブファンドなど銀行預金以外の商品を買わないことです。銀行の普通預金以外は、すべて高コストだと思って用心した方が良いともいます。

8.確定給付年金

予定利率2.5%で、私は60歳から20年間をかけて受け取ります。

確定給付企業年金は2002年4月に始まりました。企業がこの制度を導入するには社員の同意が必要です。

確定給付企業年金は、2002年4月、新しい年金制度として始まりました。それまでの企業年金は、長引く不況による株価低迷などで元々予定していた運用益を得ることができず、社員に約束していた給付ができない場合もでてきました。

新しい確定給付企業年金制度では、このようなことが起こらないように、毎年きちんと給付に必要なお金が準備できているか、確認していくしくみになっています。

確定給付企業年金制度には、すでに廃止になった税制適格退職年金のバージョンアップ版と言える「規約型」と、厚生年金基金の変形版とも言える「基金型」の2つの種類があります。

私の場合は規約型に加入していました。お金の受け取り方には、下の表のように何種類かあります。

①老齢給付金 ②老齢年金 定年退職をした場合や、一定の勤続年数の人が50歳過ぎに退職した場合などに年金を支給。
会社ごとに年金の額や受給期間(最低5年以上)が決まっている。
③選択一時金 老齢年金に換えて一時金を支給。
会社ごとに年金を一時金に換算する率が決まっている。
④脱退一時金 中途退職の場合など、老齢給付金を受け取ることができるようになる前に退職した場合に一時金を支給。
最低3年以上勤続した場合には支給することになっている。

1か所目は②に該当

私が最初に勤めていた会社の各定期給付年金は②のパターンで受け取っています。具体的には20年間で2.5%の予定利率です。この2.5%という予定利率は、インフレになった場合には、ある程度変動することになっています。2.5%という利率は、少し低く感じられるかもしれませんが、ノーリスクであるということを考えると、一応納得のいく水準です。老後の資金全体の中でこのように安定した収入があることは、他の資金では思い切ってハイリスク資産に投資できますので、貴重な存在です。

2か所目は④に該当

2か所目の勤め先は、給付金を受け取るには勤続年数が不足していたので、一時金をもらって終了しました。上記の表では④に該当します。

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