株価、PER、EPS

株価は、PERとEPSを使って、次の式で表されます。

株価 = EPS ✖ PER

EPSは「1株当たりの当期純利益Earnings Per Share」で、次の式で計算します。

EPS = 当期純利益 ÷ 発行株式総数

経常利益や営業利益ではなく「当期純利益」で計算するかというと、当期純利益が株主への配当の原資となるからです。

<参考>

  • 粗利益(売上総利益) = 売上高-売上原価:売上から得た商品等の販売による利益
  • 営業利益=売上総利益-販管費:営業活動全体を通じて得た利益
  • 経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用:財務体質・資産運用等も含めた企業経営としての利益
  • 税引前当期純利益=経常利益+特別利益-特別損失: 突発的な損益まで考慮した税金を支払う前の今期の利益
  • 当期純利益=税引前当期純利益-法人税等: 税金支払後の最終的に企業が社内に留保した利益

具体的に計算してみましょう。

  • 当期純利益:1000臆円
  • 発行済株式総数=1億株
  • EPS=1000億円÷1億株=1,000円/1株

S&P500を構成する企業のEPSの推移を見てみましょう。

2014年頃は30ドル程度でしたが、現在は各期50ドル台に上昇しています。

上記のように、EPSは新型コロナウイルスショックの2020年前半以外、比較的順調に成長しています。

もう一つの要素であるPERを見てみましょう。

株価収益率:PER

PERとは、「Price Earnings Ratio」の略で、「株価収益率」と表されます。株価がEPS(1株当たり純利益)の何倍の価値になっているかを示すものです。現在の株価が、その企業の利益と比べて、割高か割安かを判断するのに使われる指標です。

PERは、株価÷EPSの計算式で求められます。
例えば、ある会社の株価が1,000円でEPSが100円なら、PERは1,000円÷100円=10倍となります。
この会社の株価が2,000円になった場合、PERは2,000円÷100円=20倍です。

野村證券の見通し

現在のPER、EPS、株価の関係はどうなっているのでしょうか。また今後はどう予測しているのでしょうか。日経平均株価について野村證券の見通しを見てみましょう。

PERは現在12.3倍

赤い棒グラフは日経平均EPSで、右の縦軸です。グレーの折れ線は日経平均株価で、左の縦軸です。赤の点線の折れ線は上からPER16倍、14倍、12倍を表し、16倍と12倍の間に入っている時期が長いのですが、現在は12.3倍になっています。

野村證券の日経平均年末予想は31,000円

2022年1-3月期の決算発表が終わって、ウクライナ情勢、資源高、米国の利上げ加速など、様々な業績下方修正懸念がありましたが、意外と業績修正は小幅でした。日本の増益ペースは変わらないというのが足元の状況です。PERで見ても、12.3倍なので、過去の数字と比べても割高感は見られません。なお、前提となるドル円の為替は117.5~120.0円です。

PERは、 企業の利益水準から見て、現在の株価が適正水準にあるのかを判断するための指標です。数値が高ければ利益に比べ株価が高く評価されていることから「割高」、低ければ「割安」とされます。数値には「何年で元がとれるのか」という意味も含まれます。

日経平均株価のPERは15倍前後が適正か

投資家が株式を売買する際に投資尺度の一つとして利用します。ハイテク企業など業績の伸びが期待できる「グロース株(成長株)」と呼ばれる企業ほど数値が高くなる一方、反対に成熟した企業が多い「バリュー株(割安株)」ほど数値は低くなる傾向にあります。日経平均株価のPERは15倍前後が適正と市場で意識されています。

アメリカについては、東洋経済の2022/05/23の記事の見方を確認しましょう。


アメリカでは、S&P500指数の予想PER(株価収益率)は、2014年以降はおおむね15~17倍で推移し、そこから上下にはみ出す場合は市場の行きすぎを示してきた。

コロナ禍から脱却する局面では、収益の回復期待が市場で先行しすぎて株価が先に上振れし、2020年9月にPERは23.5倍にまで高まった。しかし、その後は総じてPERの低下が続き、直近の5月20日には16.9倍にまで低下した。過去の長期推移と比べると、決して割安とはいえないが、割高でもない水準となっている。

一方、S&P500採用企業のEPS(1株当たり利益)の先行き12カ月間の予想増益率(アナリスト予想の平均値)では、20日時点においても20.7%増益が見込まれている。世界的に不透明要因は多く、こうした収益見通しは今後下方修正の余地があるだろうが、増益はしっかりと維持しそうだ。

足元では株価が下落していることから「何か深刻なことが企業業績についても起こっているはずだ」との声を聞く。アナリスト予想の平均値で大幅増益が見込まれていると解説しても「アナリストが楽観的すぎる、間違っている」と頭から決めつける向きが多い。

ただ、そうした決めつけは、市場の悲観に飲み込まれ、冷静にデータを見つめることができていないのではないかと、自問する必要があるように思う。

TOPIX(東証株価指数)ベースで同様に見ると、20日での予想PERは12.2倍にとどまる。TOPIXのPERは2014年以降おおむね13~16倍で推移してきたので割安だ。

12倍に近い現在のPERは、2016年の世界同時株安(チャイナショック)時の11.9倍、2018年末にかけての株価下落時(米中貿易戦争懸念)の11.0倍、2020年3月のコロナショック時(10.7倍)に次ぐものだ。また、TOPIXベースのEPS前年比の予想値は、20日時点でも28.8%増益だ。

株価=PER×EPSという算式を踏まえれば、株価の長期的な基調は上方向だ、といえるだろう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です