◎今日のグラフ:ロボアドバイザーの検討
証券会社をはじめとして、金融機関はロボアドバイザーのサービスを提供しています。各社の「お試し版」を使ってみた印象としては、ロボアドバイザーの仕組みは、基本的に昭和60年、つまり今から30年以上前の「人工知能」と変わりがないように感じられます。その原理は、コンピューターのソフトウェアを作るときのフローチャートです。30年前の例でいうと、病気の診断において、検査結果と症状を入力すると病名がわかるというものです。当時と現在の違いは、インターネットで、だれでも利用できるようになったことぐらいではないでしょうか。それでは、対面証券会社、ネット証券会社、銀行のお試し版のロボアドバイザーの例をご紹介します。
ロボアドバイザー1
国内、国外の債券の割合が疑問
どのロボアドバイザーも同じですが、いくつかの質問に答えると、おすすめのアセットアロケーションが提示されます。ロボアドバイザー1の結果は外国の株式と外国の債券が多く、57%を占めているのが特徴です。また、国内債券は14%となっています。現在、国内債券の利回りはとても低くて、投資しようという気にはなりません。外国債券についても利回りはせいぜい2~3%だと思いますが、為替手数料を払って、しかも為替リスクもあるのに、32%も投資するのが現実的なのかという疑問があります。
年齢が高いと債券が多い?
質問項目の中に年齢があるので、60歳代と入力すると、債券が多くなるのでしょうか。また、どのロボアドバイザーにも言えることですが、結論だけ表示してあって、理由がないので、納得感がありません。もし、理由を素直に言おうとすると、「あなたは60歳を超えていて、平均余命は20年しかありませんから、株式のようなリスクの高い金融商品はお勧めできません。債券の方がいいですよ。」ということかもしれません。それに対して私なら、「20年あれば、リターンの高い株式はリスク圏から脱出して、安全な資産に変貌を遂げている。」と言いたくなるでしょう。REITについては、世界的に見て株式の市場規模の50分の1しかないのに、なぜ14%も占めているのかがわかりません。資産分散という趣旨なのでしょうか。
ロボアドバイザー2
別の会社のロボアドバイザーです。このロボアドバイザーでは、海外債券が少ない代わりに、ヘッジ外債なるものが登場しました。ヘッジ外債という言葉は、個人向け投資商品としては初めて見ました。勉強不足という事実を認識させてくれるという意味では、ありがたいことですが、他のロボアドバイザーなどでも見たことがない商品を22%も勧めるのはどうなのでしょうか。
バランス型をきっかけに自分で考えるのが一番
ここで取り上げた、二つのロボアドバイザーの結果は、いわばバランス型のアセットアロケーションを勧めているといっていいでしょう。しかし、債券については国内、海外とも現在のような低金利では、投資する気持ちにはなれません。しかも海外については、為替手数料を払ってまですべきタイミングなのかと、疑問を持ちます。それでも、もし、ロボアドバイザーの利用料が無料か、あるいは、極めて低額であれば、利用するのも一法かと思います。資産運用に関して大事なことは自分で調べて、自分で考えることだと思います。