インフレによる価値減少
来年から新NISAが始まるので、ニュースなどのメディア度も取り上げられることが多くなりました。また、物価高が定着しつつあるので、銀行預金だけでなく、財形貯蓄や小規模企業共済に預けたお金はインフレによって、実質価値が目減りしています。
すべての年代で防衛策が必要
このため、来年からは新NISAを始めなくてはならないと思っている人もいるでしょう。それは、20代、30代のような若手だけでなく、40代、50代の中堅、60代以上のシニアも同じです。
我が家では、私と連れ合いが50代から投資を始めました。その結果、夫婦合計の金融資産合計額が4億円に達しました。元本は、約15,000万円です。
また、子供たちも3年ほど前から、イデコ、選択制企業型確定拠出年金、NISA、つみたてNISAを実施して、2割程度の利益が出ています。
年率リターンは7~8%
我が家の投資は、難しい売り買いをせず、株式ETF、低コストインデックスファンドの銘柄と金額を決めれば、あとは何もせずに、増えるのを待つだけですから、才能も努力もいりません。私の運用実績は上記のグラフの通りです。評価額はマーケットの変動によって多少上下しますが、5年、10年単位で見ると、緩やかに上昇していきます。緩やかな上昇とは、年率7~8%程度です。
2024年から新NISA制度が始まるので、これを機会に投資を始めようというご家族の参考になるように、やるべきことをまとめました。
1.50代以下なら、確定拠出年金をフルに活用する。
現在は新NISAが脚光を浴びていますが、税制上最も有利なのは確定拠出年金ですから、最初に、この制度をフル活用しましょう。
確定拠出年金というと、イデコ(個人型確定拠出年金)が有名ですが、それだけではありません。それ以外に企業型確定拠出年金があり、企業型の中にも選択制確定拠出年金があって、年間で最大66万円(月5.5万円)を拠出できます。ただしこの制度を利用している企業は比較的新しいところだけです。私は、息子と娘婿には年間66万円の拠出を勧めました。また、娘の勤めている会社は、退職金と確定給付年金の制度があるので、イデコで年間13万2千円(毎月1万2千円)拠出することを勧めました。
毎月1万2千円というと少額のように思えますが、外国株式低コストインデックスファンド(年率8%)で運用すると、65歳で3千7百万円になります。
年齢 | 毎月1万2千円、年率8% |
25 | 132,000 |
26 | 274,560 |
27 | 428,525 |
28 | 594,807 |
29 | 774,391 |
30 | 968,343 |
31 | 1,177,810 |
32 | 1,404,035 |
33 | 1,648,358 |
34 | 1,912,226 |
35 | 2,197,204 |
36 | 2,504,981 |
37 | 2,837,379 |
38 | 3,196,369 |
39 | 3,584,079 |
40 | 4,002,805 |
41 | 4,455,030 |
42 | 4,943,432 |
43 | 5,470,907 |
44 | 6,040,579 |
45 | 6,655,826 |
46 | 7,320,292 |
47 | 8,037,915 |
48 | 8,812,948 |
49 | 9,649,984 |
50 | 10,553,983 |
51 | 11,530,301 |
52 | 12,584,726 |
53 | 13,723,504 |
54 | 14,953,384 |
55 | 16,281,655 |
56 | 17,716,187 |
57 | 19,265,482 |
58 | 20,938,720 |
59 | 22,745,818 |
60 | 24,697,484 |
61 | 26,805,282 |
62 | 29,081,705 |
63 | 31,540,241 |
64 | 34,195,460 |
65 | 37,063,097 |
確定拠出年金は、若い人だけが利用できる制度ではなく、50代までならいつからでも始めたほうが有利です。
企業型確定拠出年金は、勤めている会社が金融機関を決定するので銘柄の選択が重要です。外国株式インデックスファンドを選択すべきで、私の場合は20年間の運用で4倍を超えました。
イデコは銘柄だけでなく、金融機関も自分で決定できます。また、企業型確定拠出年金の場合、退職後の金融機関も自分で決められます。
2.投資する金融機関を決定する。
投資する金融機関といえば、20年ほど前までは、野村や大和などの対面証券会社しかなかったのですが、現在では、SBI証券や楽天証券などの証券会社、低コストインデックスファンドを扱う三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)などがあります。
これらの中で、私は子供たちにSBI証券を勧めました。品揃えの豊富さ、低コスト、ネット証券業界での規模第1位、成長性といった点が理由です。
私と連れ合いは野村証券を使っていますが、その理由は、
- 過去40年間にわたって使っていたという経緯がある
- 株式ETFの品揃えはネット証券に引けを取らない
- 積立用のNISAについては、低コストの商品がある
- 株式売買手数料、為替手数料はネット証券より高いが、バイ・アンド・ホールドを基本にしているので、手数料がほとんど発生しない
- 野村證券からネット証券に億円単位の移換をするのは不安
等です。ただし、もし現在白地で証券会社を選ぶのであれば、野村證券ではなく、SBI証券にするでしょう。
また、ネット証券はどうしても利用したくないのであれば、私たちのように野村證券を利用するか、低コストインデックスファンドの充実している三菱UFJダイレクト(インターネットバンキング)を利用することもよいと思います。なお、大和証券は、外国株式ETFの品揃えが少ないのでお勧めできません。
できれば、家族全員がSBI証券に口座を開設すると、スマホやパソコンの操作をお互いに教え合うことができますし、銘柄情報も共通ですから、夫婦、親子の会話の場にもなります。昭和の時代は、勤めている会社に生命保険のおばちゃんが出入りしていたので、いろいろと手続きを教えてもらえたのですが、入室管理の厳しい現代では、それが期待できませんから、親子間で情報を教え合うことは有効です。
3.積み立ては低コストインデックスファンド、まとまったお金は株式ETF
イデコや新NISAつみたて投資枠は低コストインデックスファンド、数百万単位の新NISA成長投資枠は低コストインデックスファンドか株式ETFが良いと思います。そして、基本的には全部外国株式のものを選ぶようにしていますし、子供たちにも、そう勧めています。
日本国債の残高は他の先進国と比べて突出して高くなっているので、今後日本では、円安、インフレが続くと思います。自分の金融資産を守るためにはできるだけ外国株式のファンドにしておく方が、賢明だと考えます。
4.具体的銘柄(カッコ内は信託報酬率)
(1)確定拠出年金
- ニッセイ外国株式インデックスファンド(0.1023%)
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(0.0968%)
- eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)(0.1144%)
- 野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI(年0.0899%(税込み年0.09889%)
(2)つみたてNISA・NISA・新NISA
〇外国株式低コストインデックスファンド
- SBI-SBI・V・S&P500インデックス・ファンド(0.0938%)
- 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(0.1133%)
- 三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)(0.09372%)
- ニッセイ-<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド(0.09889%)
〇外国株式ETF
- SPY(S&P 500)(0.0945%)
- VOO(S&P 500)(0.03%)
- VGK(ヨーロッパ)(0.11%)
- VWO(新興国)(0.08%)
- VT(全世界)(0.07%)
(3)課税される口座
新NISAの投資額は1800万円が上限ですが、それ以上に貯蓄・投資したい人は多いはずです。その場合、特定口座など課税される口座を利用することになりますが、その運用方法は基本的に(2)と同じです。ただし、NISA専用銘柄は除きます。
5.実際のポートフォリオ
私と連れ合いのポートフォリオは株式ETFが中心、娘と息子のポートフォリオは低コストインデックスファンドが中心です。
6.最も大事なこと
(1)買う
投資でお金を増やすには、いくら知識があっても駄目です。実際に買うことです。
(2)持ち続ける
株価が下がると、あなたの持っている金融資産の評価額も下がります。その時にやってはいけないことは売ることです。5年か10年間は持ち続けることが重要です。連れ合いは、最初に1千万を投資したところ、リーマンショックに見舞われて半分以下になり、その後株価が回復するまでに7年かかりました。しかし、その間1度も売らずに持ち続けた結果、現在は2倍以上になりました。株価が下がると、売ってしまう人が多いのですが、ETFやインデックスファンドは持ち続ければ、必ず回復します。
最後にもう一度。
バイ・アンド・ホールド Buy And Hold 買って持ち続ける