相続税改正で、持ち戻しの期間が3年から7年に延長になりますが、4~7年の間に取得した財産については、その財産の価額の合計額から100万円を控除した残額を加算します。つまり、その期間合計で、100万円については相続税に加算されないようですが、とても複雑なので、勉強します。
なお、孫が遺贈や死亡保険金の受取人になっていない場合は生前贈与加算の対象にはならないため、遡って相続税が課されることはありません。
三菱UFJ銀行 2025年9月24日
生前贈与を行う際の注意点
受贈者以外にもできるだけ納得してもらえる贈与を
遺留分に注意する
このため、一定の生前贈与を行う際には、相続人となる人に対しての遺留分にも配慮しましょう。
なお、遺留分算定の基礎となる金額には、相続発生時の財産のほか、下記条件に当てはまる場合は、被相続人が生前に贈与した財産も対象になります。
- 相続開始前1年以内に行なわれた相続人以外への贈与
- 相続開始前10年以内に行なわれた相続人への贈与のうち、婚姻・養子縁組のための贈与または生計の資本としての贈与
- 遺留分を侵害すると知りながら行われた贈与
定期贈与とは、あらかじめ一定額の財産を贈与することを約束して、それを定期的に分割して贈与することです。たとえば、1,000万円を贈与する約束で、初めから毎年100万円ずつ10年にわたって贈与すると取り決めていた場合(支払った場合)は、その約束の時点で総額1,000万円の贈与内容が確定しているため、定期贈与とみなされます。定期贈与とみなされれば1,000万円から基礎控除110万円を控除した890万円に対して贈与税が課税されます。
贈与者と受贈者との間で贈与を行う都度、贈与契約書を作成するなど、定期贈与とみなされないよう注意しましょう。
相続開始前7年以内の贈与は相続税の課税対象になる(2024年1月より)
よって、相続税の課税対象になる財産を少なくする目的で生前贈与をしても、贈与者の相続開始前の贈与は対策の効果がなくなってしまいます。 なお、生前贈与の際に贈与税を納税している場合は、その税額を相続税額から控除することができます。
- 2023年12月31日までの贈与(改正前)
- 2024年1月1日以後の贈与(改正後)
非課税で贈与しても7年さかのぼって相続税の対象に
- なるほど。生前贈与は一部の資産家だけでなく、ある程度の財産がある人は検討したほうがよいんですね。今回の税制改正では何がどう変わったのでしょうか?
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大きなポイントは、暦年課税の生前贈与加算対象期間が3年から7年に延びたことです。
まず、暦年課税とは、贈与税の課税方式の一つで、1年間に贈与された財産の合計額に応じて税金の額が決まる仕組みで、110万円の非課税枠があります。暦年贈与はこの仕組みを利用した贈与方法で、例えば、年間110万円の贈与を10年間続けた場合には1,100万円が非課税となります。
生前贈与加算とは、相続の発生日から遡って贈与を受けた資産を相続財産に含めて相続税の計算をすることです。これまでは3年だった加算期間が、毎年1年ずつ段階的に引き上げられ、2031年開始の相続からは7年になります。ですから、せっかく非課税で贈与しても、相続財産として相続税の課税対象になってしまう場合が増えるのです。
(出所)野村證券「税金の本」2023年度版
- つまり、基礎控除額である年110万円を非課税で贈与をしても、亡くなる前の7年分は相続税の対象となるということですか。7年とは長いですね。どうしたらいいのでしょう?
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生前贈与を早く始めることが、今まで以上に重要になります。生前贈与加算の対象者は相続、遺贈や相続時精算課税にかかる贈与によって財産を取得した人となりますので、お孫さんがいる方は孫に贈与するという手もあります。孫が遺贈や死亡保険金の受取人になっていない場合は生前贈与加算の対象にはならないため、遡って相続税が課されることはありません。