インフレタックス(税):株式相場の変動

◎今日のグラフ:インフレと銀行預金の実質損失

政策委員見通しの消費者物価指数の中央値は、2018年1.1%

日銀は 2018 年 7 月 30 日および 31 日の両日、金融政策決定会合を開催しました。政策委員見通しの消費者物価指数の中央値は、2018年で―1.1%でした。銀行預金の金利は0.01%です。仮に、1000万円を1年間預けると、金利は1000円つきますが、1.1%のインフレによって、110,000円の価値が損なわれます。差し引きすると109,000円の実質損失になります。

2019年、2020年は約20万円の損失

銀行預金金利が0.01%のままだとすると、2019年は199,000円、2020年は209,000円の実質損失になります。

オーバーシュート型コミットメント

さらに、日本銀行は、オーバーシュート型コミットメントを行うといっています。オーバーシュート型コミットメントとは、野村證券の用語集によると、物価上昇率が2%を一時的に上回っても、すぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続することです。つまり、物価安定実現を目指して、物価上昇率が目標値を行き過ぎる(オーバーシュートする)まで金融緩和の継続を公約する(コミットメントする)日銀の強い姿勢を示しています。

インフレ率3%なら、31万円の損失

例えば、そのインフレ率が仮に3%、銀行の預金金利が0.01%とすると、309,000円の実質損失です。

インフレ税を払うのは銀行預金者

この損失は預金者が被るのですが、それによって恩恵を受けるのは日本政府です。国債の実質残高が減るからです。国民の財産が減少して、政府の財産が増えるので税金(タックス)と呼ばれるわけです。日本政府は、このインフレタックスのことを言わずに、インフレ率の目標を2%としているのです。

政策委員見通しの中央値2018年 政策委員見通しの中央値2019年 政策委員見通しの中央値2020年 オーバーシュート型コミットメントの例
銀行預金の実質金利(0%―消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)) -1.1% -2.0% -2.1% -3.0%

◎今日のテーマ:株式相場の変動

株式は怖い?

株式の相場は変動があって、怖いものだという恐怖心を持つことは無理もないことだと思います。でも、その恐怖心はどんな場合に、どの程度正しいのか、あるいは、間違っているのかを時々考えておくことは、冷静なものの見方をするためには、大事なことだと思います。

1年後元本割れの可能性

もし、国内ETFと外貨ETFの期待リターンが8%だとしても20%ぐらいは上下に変動するリスクを見るとします。1年後に元本割れする確率はかなりありそうですから、来年元本割れをしたくない場合には、ETFには投資しない方がいいでしょう。

10年後元本割れの可能性

でも途中で元本割れしても、10年後に元本していなければいいや、というばあには、10年後の期待リターンは116%(つまり元本の2.16倍)ですから、元本割れする心配はほとんどない、と考えます。従って、8%の期待リターンのETFなら、長期投資における、元本割れはほとんどないと思われます。一方で9年間保有すれば2倍に資産が増加することを期待できます。

長期保有程元本割れの可能性は低い

もし仮に、これが8%ではなく5%としても、10年後の期待リターンは63%ですので、8%の場合ほどではないですが、元本割れの可能性はとても低いです。もしそれでも心配なら、16年待てば8%を上回るリターンを期待できますし、リスクも低くなる可能性がります。5%でも15年で資産倍増を期待できます。

短期の不安より長期の期待

従って、時間を制限された資金を運用するのではなく、10年後、20年後に元本割れしていなければいいような資金を投資して、リターンを増やすことを期待することが、賢い資産運用だと思います。

銀行預金のインフレタックスか、長期投資か。

インフレタックスによって知らない間に財産が既存されるのと、短期の変動を乗り越えてETF、インデックスファンドで長期投資をすべきかを考える時が来ているかもしれません。

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