「富裕層に学ぶ外貨投資術」(日本経済新聞社:尾河眞樹)の「参考になること、実践できること」を検討します。
◎今日のテーマ:富裕層に学ぶ外貨投資術の検討3
<ポイント2>幅広い情報を心がける
尾河氏が推奨している観点は次の通りです。
- ニュースや報道にはどちらかと言えばネガティブなバイアスがかかっていることを理解しておく
- 国内のみならず海外の情報まで幅広く拾うようにする
- できるときには現地に足を運んでみる
以下、この3項目について検討します。
1.ニュースや報道にはどちらかと言えばネガティブなバイアスがかかっていることを理解しておく
メディアは騒ぎすぎ
このことについては、いつもその通りだと思います。テレビ、新聞、雑誌は、常に不安をあおる表現を好みます。逆に、「これは、大きな問題ではない」と言えば、そのニュースを見る必要がなく、今後のテレビの視聴、購買を促進しなくなります。そうすれば、そのマスメディアの存在も危うくなります。また、会社の中でも、「大変だ、大変だ」と言いたがる人がいますが、それは、その人の仕事が重要で、すごく忙しいんだと言いたい面が多分にありそうです。元々、信頼されている人で、そつなく問題を処理できる人は、あまりそのように大騒ぎしないことが多いのではないかと思います。
相場活性化
また、通常のニュースとは異なり、株式、為替などの相場に関するニュースについては、ネガティブな報道をしたり、大騒ぎすることで、相場を活性化させようとする意図もあるのではないかと思います。
バイ・アンド・ホールド
私の金融資産の運用方針は、日米を中心に世界の株式ETFを購入し、そのまま持ち続けるスタイルです。リーマンショックで、評価額が半分になっても、平然と(実は、ハラハラしながら)持ち続けるような方針ですから、一つ一つのニュースで、売ったり買ったりしようとは思いません。また、ネガティブでなく、ポジティブなニュースの場合も、私はこのまま保有しようという意思を一層強固にしやすいのです。ところが、私のような人ばかりが株式や投資信託を保有していると、証券会社や関連会社は儲かりません。従って、マスメディアのニュースは何割か割り引いて受け止めた方が良いと思います。
2.国内のみならず海外の情報まで幅広く拾うようにする
金融資産は、世界に分散
私は日本のETF(1306)だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、新興国など世界の株式ETFを保有していますから、当然海外の情報も気にしています。日経新聞やロイターなどのコラムについては、できるだけ毎日記事を読むようにしています。また、今は読んでいませんが2000年から2010年頃まで、TIMEかNEWS WEEKを毎週ほとんど読んでいました。(ただし、英語なので正しく理解しているかどうかは別です。)
日本のマスメディアは政府広報機関
日本のメディアはNHKをはじめとして、政府の広報機関であるかの如く、ニュースを流しているので、注意が必要です。例えば、東日本大震災の時に福島第一原発について、アメリカはメルトダウンと爆発という言葉を使っていましたが、日本のマスメディアはそのような言葉を使いませんでした。また最近では、日米貿易交渉について、アメリカはFTAと言っていますが、日本政府はTAGだと言い張って、マスメディアもそれを鵜呑みにしています。
NHKも間違いが多い
NHKは正しい情報を伝えると思ったら大間違いで、私は、数年前にわずか半年間に、一つの番組で13個の間違いを指摘するメールを送りしました。NHKがニュースでよく使う「リスク回避の円高」という言葉も、本当かどうか疑った方が良い場合があるかもしれません。
3.できるときには現地に足を運んでみる
中国の世界進出とアメリカの怒り
この項目は、株式や為替を仕事にしている人はともかく、普通の人には難しそうです。「富裕層に学ぶ外貨投資術」の中には、プライベートジェットでアメリカまで行く富裕層もいるそうですが、私はエコノミークラスで、年間数回海外に行く程度ですから、経済評論家など有識者の話をよく聞くしかなさそうです。私が最近行った海外では、どこも中国人でいっぱいでした。グアム、サイパン、東南アジア、イタリア、アメリカ、果てはカリブ海の小さな島まで、中国人と中国資本が押し寄せています。トランプ大統領のみならず米国議会が対策を打とうとしている理由がよく分かります。
購買力平価
また、日本は物価が安いことを実感します。これは、円安の影響かも知れません。現在の購買力平価(国際通貨研究所)は1ドル96円で、実際には112円ですから、16円も円安になっています。アメリカに行くと、1ドル96円というのは実感に近い水準です。