<昨日に続く>
「お金と暮らし」に関して後悔していることのアンケート調査結果をもとに考えています。
⑤ 退職後も働ける資格を取得すればよかった
このアンケート調査に答えた人が、どんな資格をイメージしているかは分かりませんが、60歳前後から役に立つ資格はなかなかないのではないかと思います。具体的な例で考えてみましょう。
マンション管理士
マンション管理士の需要は多いようです。また、資格取得もあまり難しくないと言われています。しかし、マンション住民はマンション管理士にお金を払っているので、かなりのわがままに対応しなければならず、ストレスの溜まる仕事のようです。あまり正面から受け止めず、柔軟な対応をとれる人でないと長続きしそうもありません。
社会保険労務士
社会保険労務士の試験はある程度難しいですが、この試験に合格しても、それで飯を食べて行けるかどうかは保証されません。試験合格者は大きく4種類に分かれると思います。
- 事務所を開いて開業する:事務所の家賃などに経費が掛かるので、利益を出すには、かなりハードルが高い
- 既存の社会保険士事務所に雇用される:年収は600万円台で、業績が悪ければリストラに遭う
- 普通の会社に就職し、人事部で関連業務に就く:社労士の資格を持っていても通常は割増手当が付くことは無く、また、全然関係のない部署に転勤になることもある
- 定年から社会保険労務士として開業するがあまり顧客が付かないので自治体のボランティアとして働く
簿記
私は日商簿記1級の資格を持っていますが、大企業に勤めていたので、中小企業の実務経験はありません。こういう人は、資格を持っていても使えない場合が多いと思います。現代は、仕分けが分からなくても入力さえすれば財務諸表まで作成してくれる会計ソフトが発達していますから、簿記の資格を持っていなくても、中小企業の経理経験や会計ソフトを使える人の方が有利です。
宅地建物取引士
私の知り合いは、銀行の支店長を務めた後、銀行のあっせんで不動産会社に転出しました。しかし、不動産業界の実情や実務が得意ではありませんから、数年後に退職しました。
1級建築士
知り合いに1級建築士がいました。その人は50歳過ぎに会社からリストラされたのですが、その歳では資格を生かして事務所を開設したり、雇ってもらうことはできない、と言っていました。
インターネットの人脈
そのほか、資格としては、調理師、介護関連資格、電気工事士などがありますが、資格それ自体より、実務経験、人脈、稼ぐ必要性、相性、忍耐の方が重要かもしれません。ただし、以前と違うのは、人的ネットワークがなくても、場合によっては、リアルな人脈だけでなく、インターネットを通じてネットワークを広げられる可能性があるかも知れないということです。私もwebマーケターの勉強を始めています。
定年後の年収は100~200万円でも満足
また、定年前は600万円、800万円の収入のあった人も、定年後は100万円、200万円でも満足するように、頭を切り替えることが大切でしょう。
⑥ もっといろんなことにチャレンジすればよかった
これは、範囲が広すぎてイメージが掴みにくいのですが、結論から言うと、今からでもできることをやるのが一番でしょう。
何歳からでもスタートできる
20年ほど前、同じアパートに住んでいた50代半ば人が私に「家庭菜園が趣味なのはうらやましい。私もやっていれば良かった。」と嘆いたことがありました。その人は、土日になると、囲碁を並べていて、私は家庭菜園をしていました。その時思ったのは、今からでもやればいいのに、ということでした。何歳になっても、できることはあるものです。
チャップリン
喜劇王のチャールズ・チャップリンは、映画『ライムライト』の中で、人生に必要なものとして「勇気と想像力と、ほんの少しのお金」と言いました。
趣味は何歳でも可能
趣味は何歳になってもできると思います。職業は年齢によってできない子もあるでしょう。大型旅客機のパイロットには、年齢制限で慣れない人もいますが、自家用機は操縦できます。本田宗一郎は高齢になっても、ゴルフ場の往復は自家用ジェットでした。私がハワイで出会った60過ぎの人は、自家用飛行機のタッチ・アンド・ゴウの練習を繰り返していました。
パソコン、スマホの利用
また、80歳、90歳になって、体が動かなくなっても、現在はパソコン・インターネットがありますから、頭と、手だけ動かせれば、いろいろなことができると思います。私の父親は、100歳近くまで日経新聞を読み、電話で株の売買をしていました。将棋も好きでしたが、パソコンの将棋を使いこなすことはできませんでした。もう少し早くパソコンになれていれば、足が動かなくても世界は広がっていたでしょう。
趣味を絞る
年齢が上がってくると、少しずつあきらめなくてはいけないものも増えてきますが、逆に少数に絞った分野で、より深く楽しむ可能性もあります。
子供にチャンスを
そして、子供にはやりたいことをさせる、ということは実現したいところです。大学を出た後も、大学院、外国留学等、お金のかかることは多々ありますが、それはかなえさせてあげたいものです。