◎今日のグラフ:アメリカETF保有者割合2016年8月8日
アメリカのETFは、だれが持っているのでしょうか。
投資アドバイザー | 55% |
プライベート・バンク法人営業 | 24% |
証券会社 | 9% |
投資信託 | 5% |
年金基金 | 3% |
ヘッジファンド | 2% |
保険会社 | 1% |
その他 | 2% |
投資アドバイザー
圧倒的に多いのは、投資アドバイザーです。投資アドバイザーはクライアントのの金融資産を管理して、資産の金額に応じて手数料を受け取ります。売買手数料を受け取るわけでは有りません。クライアントの金融資産が増えれば、それだけ手数料も増えることになります。クライアントのかなりの割合が個人の富裕層とのことですが、割合は分かりません。
◎今日のテーマ:ETFや円ドルが将来下がることを想定した場合、今どう備えておいた方がいいでしょうか。
数年に1回、2~3割の調整
ETF・株式を持っていると、数年に1回の割合で価格がかなり下がる時があります。21世紀に入ってからでも、ITバブル崩壊、リーマンショック、(日本の場合は1ドル75円の円高)、チャイナショックなどがありました。その時、株価はそれぞれ2~3割、リーマンショック時には5割下がりました。このような価格の下落は、今後も数年ごとに繰り返されることを覚悟しなければならないでしょう。
買い増すことができるように資金を用意しておくべきか
このように価格が下がった時に、ETFを買い増すべきでしょうか。あるいはドル円が1割ほど下がった時に、ドルを買い増すべきでしょうか。買い増すことができるように現預金を取っておくべきでしょうか。私の場合、ほとんどの金融資産を、すでにETFに換えてしまっているので、価格が下がったからと言って、買い増すことができないのが実情です。
手元に資金を置いておく機会損失
過去において、2015年にドル円が120円台になった後、急落して2016年に105円、102円になったときにUSMMFを買ったことがありました。今から見ると、安値で買えてよかったわけですが、安くなることを期待して、長い間、手元に資金を置いておくよりも、早く外貨ETFを買って、その値上がり、配当を期待した方が結果的には得ではないかという考えもあります。
私は現預金を持たず、すぐに投資するタイプ
これも実体験ですが、2017年にある程度まとまったお金が入ってきたので、その資金ですぐにVGK、VWO、VOOを買い増しました。その時点ではSP500は既に割高ではないかというマーケット関係者もいましたが、もし、調整が入るとしても10%か20%だろうという話でした。
SPYなら年平均リターンは10%
SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)を買い増すことを前提に考えてみます。SPYは、過去25年間、平均して基準価格は9%上昇しています。それ以外に配当を1%とすると、合計で10%上昇してきたわけです。仮にETFの価格が、何らかの要因で20%下がるとします。20%の下落というのはかなり大きな調整です。20%下落しても、その後、毎年10%上昇すれば、2年で回復する計算になります。20%の下落に1年、その後の回復に2年かかったとして、3年で元の価格に戻ります。そして、この調整は最悪とは言いませんが、ある程度ひどい調整の場合の数字です。そこで私は、何もしないで株式相場が下がるタイミングを待っているよりは、買った方が機会損失が少ないと判断して、すぐに買うことにしました。
5年分割で買うと20%の機会損失
資金がある時に、すぐに買えば、リスク、リターンとも大きくなります。一方で、例えば5年に分けて等額ずつ買うと、5年遅れるのではなく、(0年+1年+2年+3年+4年)÷5回=2年ですから、2年の遅れになります。1年当たりトータルリターンを10%とすると、20%の機会損失になります。つまり、リスクとリターンを取って、今全額を投資すべきが、それとも、20%の保険料を払って、リスクを避けるべきかという問題です。私の場合は、先ほど言いましたように、余裕資金が手に入った時に全額を通ししました。高いリスクとリターンを取ったわけです。
連れ合いは、「分割して買う」派。
一方で、私の連れ合いの場合、第一回目の投資が、リーマンショックの1年前だったものですから、5割の下落のショックはとても大きい、という後遺症が残っています。そこで、機会損失が発生しても、数年に分けて投資する方法にしました。理論値だけで考えれば、すぐに一括投入した方がいいわけですが、精神的にどちらが望ましいかということも大事な要素だと思います。私は、金融資産の9割を、1306(TOPIX連動型上場投資信託のETF)、SPY(アメリカSPDRのS&P 500の ETF)などのETFに投資しています。その理由は、リターンが高いからです。
MRF、現預金があれば、相場下落が楽しみになります。
しかし、一方で、ある程度の資金を銀行預金や証券会社のMRFに置いて、ETFやドル円の値下がりに合わせて少しずつ買うという方針を取る方法もあります。いくら価格が下がっても、残念な気持ちとは裏腹に、「安い価格で買えてよかった。これから更に安くなれば、もっと買いたい。」と思えるようになり、値下がりによって、不安になるより、楽しみになる、というように受け止めることができます。ウォーレンバフェットも、株式の価格が下がるとうれしいと言っていました。もちろん私とは、受け止め方のレベルが段違いだとは思いますが。
理論と精神の安定のどちらを追求するか
意図して逆張りを待つよりは、初めから全額を投資しておいた方が1年10%分、得ですが、精神安定上は少し追加投資できる余裕資金があると、価格が下落するのも楽しみです。どちらを優先するかは、人それぞれの判断だと思います。