スイスフランの半分以下の価値になってしまった円

20年以上前には、円はスイスフランと並んで優良通貨でした。その後の円の凋落は目を覆うばかりです。

1スイスフランは、

  • 2003年12月:84円
  • 2012年8月:80円
  • 2026年2月:201円

となりました。つまり、2.5分の1になってしまったのです。

この間に起きた経済政策がアベノミクスです。

一国のリーダーが方針を誤るとこういう事態に陥るのです。そしてそのようなリーダーを選んだのが日本国民なのです。

 

スイスフランに対して円安になった理由をAIで調べてみましょう。


スイスフランに対する歴史的な円安は、主に日本の極端な低金利環境(円キャリー取引)と、地政学リスク時における安全通貨としてのスイスフラン選好が要因です。日銀の政策正常化の遅れへの安心感から円が売られ、スイスの利上げ局面や安定した経済基盤がフラン買いを誘いました。
主な理由は以下の通りです。
  • 日スイス間の金利差拡大(円キャリー取引):
    日本銀行がマイナス金利解除後も低金利(0〜0.1%程度)を維持する一方、スイス国立銀行(SNB)は2022年以降インフレ抑制のために利上げを実施し、金利差が拡大しました。このため、低金利の円を売って金利の高いフランを買う「円キャリー取引」が加速しました。
  • 「安全通貨」としてのスイスフラン選好:
    中東情勢の緊張など地政学リスクが高まる局面では、永世中立国であるスイスの通貨は「安全資産」として買われやすい(リスクオフのフラン買い)。
  • 相対的な「円」の不信感:
    かつては安全資産とされた円ですが、長引く金融緩和や構造的な弱さから、リスク局面でも買われず、逆に売られる傾向が強まっています。
  • 物価安定の差:
    スイスは物価上昇率が低く管理されており、経済の安定感から安定した投資先と見なされています。
2025年には、スイスが利下げを実施し政策金利が低下したものの、依然として構造的な円安傾向は反転していません。

フラン/円相場に見る「円の安全神話」の瓦解

ロイター 2025年7月12日

真夏の外国為替市場で、スイスフラン/円の歴史的な高騰が起きている。5月下旬から7月初旬にかけてフラン/円相場は6週連続の陽線を記録。7月3日の海外市場では一時182円46銭と、史上最高値を更新する場面があった。

そのような状況下、スイスと日本の金融政策の歩みに目をやると、歴史的なフラン高によるデフレ圧力の台頭を憂慮するスイス国立銀行(SNB、中央銀行)は6月19日に開いた理事会で6会合連続の利下げを断行、「ゼロ金利政策」を復活させている。

一方、日銀は今年の1月に政策金利を0.5%に引き上げた後は様子見姿勢を続けているが、SNBのゼロ金利政策復活によってスイスと日本の政策金利位置関係は逆転している。また、植田日銀総裁は、今後も時宜利上げを継続する方針を示している。

教科書通りに考えれば、利下げしているスイスのフランが売られる一方、利上げ局面にある日本円が買われてフラン安・円高が進むとみるのが自然だ。SNBと日銀の金融政策の方向性の違いを無視して歴史的なフラン高・円安が進んでいるのは何故だろうか。

考えられる理由は3つある。

第一に、スイスと日本の政策金利からインフレ率を差し引いた実質金利の水準を比べてみると、現在スイスの消費者物価上昇率は前年比マイナス0.1%と、デフレ定着の瀬戸際まで低下している。このため、SNBが「ゼロ金利政策」を復活させても、スイスの実質金利はまだマイナス圏に水没していない。

一方、日本の政策金利は名目の水準でみると0.5%なのでスイスよりも高い位置にあるが、足下の消費者物価上昇率は前年比プラス3.5%と約7倍の水準にあるので、実質金利は依然として非常に深いマイナス圏に留め置かれている。

歴史的なフラン高がもたらすデフレ圧力を緩和するために利下げを強いられているSNBと、歴史的な円安の影響で国内物価に上昇圧力が掛かっても実質マイナス金利政策を解消できない日銀の間で鮮明になっている彼我の金融政策の違いが、名目金利の水準や方向だけでは説明できないフラン高・円安圧力を発生させているとみられる。

第二に、スイスと日本の経常収支はどちらも黒字だが、その内訳をみると、歴史的なフラン高が進む中でもスイスの貿易収支は安定的な黒字を計上しながら増加基調で推移している。スイスの輸出品が持つブランド力の高さが、歴史的なフラン高局面でも輸出数量の減退を防ぎ、「実需のフラン買い」の発生源になっているとみられる。

翻って日本の経常収支の内訳をみると、安定的な黒字を計上しているのは海外資産からの利息や配当で稼ぐ第一次所得収支だけとなっている。日本経済の長期的な期待成長率の低さや実質マイナス金利政策の影響で、日本企業が海外で稼いだ利息や配当は現地で再投資されたり、円転されずに外貨のまま運用されたりするケースが多いと言われている。

近年の日本は貿易収支が赤字基調である上に、最近増え始めた「デジタル赤字」を中心にサービス収支も赤字基調なので、国境をまたぐ実需絡みの為替決済は、構造的な円売り超過になっている可能性が濃厚だ。スイスと日本の実質金利のレベルの違いに加え、国際収支構造の違いも最近のフラン高・円安の一因になっているとみられる。

第三に、最近の国際情勢を俯瞰すると、ロシアとウクライナの戦争や、イスラエルとイスラム組織ハマスの交戦が長期化する中、インドとパキスタンの軍事衝突が突発的に起き、さらにはイスラエルによるイランへの空爆攻撃に米軍も加わって軍事的緊張が一気に高まるなど、世界各地で紛争の火種が明滅している。

そのような状況下では、今から210年前に開催されたウィーン会議で軍事永世中立国の立場を周囲の国々に認められたスイスの通貨フランは、巨額かつ良質の経常収支黒字国の通貨であるという安心感も加わって、国際的な軍事紛争や金融危機の勃発時に発生するリスク回避マネーの避難先通貨としてのイメージを維持し続けている。

日本円もかつては憲法第9条で戦争放棄をうたっている経常黒字国の通貨として、スイスフランと肩を並べる「安全通貨」の双璧と見なされていた時期があった。だが最近の円は、貿易サービス収支が赤字体質に転じた上に先進国で最も深い実質マイナス金利政策を採用している国の通貨に変貌したため、市場心理が委縮する局面で買われる通貨というイメージを保てなくなりつつある。
もちろん、最近でも米国の金融市場が不安定化して米国株が激しく下がるようなイベントが発生した場合は、ドル全面安の流れの中でドル円が下落し、「リスク回避の円買い」が起きているように見える局面に遭遇することもある。ただ、そのような場合でも、スイスフランと円を比べると、ドルに対する上昇率ではフランの方が高くなりやすい傾向があるのでクロス円市場ではフラン高・円安が進んでいるケースが多い。

かつて隆盛を誇っていた円の「安全神話」が瓦解しつつある中、近年の外国為替市場ではスイスフランが「孤高のリスクオフ通貨」としての地位を独占しつつある。蛇足になるかもしれないが、23年3月にスイス第2位の規模を持つクレディ・スイスが破綻した時ですらフラン/円相場がその後何カ月間にもわたって上昇し続けたのは、非常に象徴的な出来事だった。

今後も世界のどこかで国際紛争や金融危機が起きた場合、スイスフランが買い圧力にさらされやすい状況が続くだろう。最近のフラン高はスイスの金融政策などとは関係のない地政学的な理由で進んでいる印象が強いため、今後SNBがマイナス金利政策を復活させても、相当深掘りしないとフラン高の勢いを止めるのは難しいかもしれない。この先の国際情勢次第では、歴史的な高値圏でのフラン/円の上値探査が続く可能性もあるだろう。