連れ合いのポートフォリオ2022年5月

今月もつみたてNISAで33,000円を購入した以外に取引はありません。

預金から株式へ

連れ合いもほとんどの金融資産を株式ETFに投資していて、外国株に6割を投資しています。15年前には、従業員持株会株式以外は、全額銀行に預金していたのですから、大きな様変わりです。

貯蓄から投資へ

岸田文雄首相は、「貯蓄から投資へ」の流れを促進するそうです。連れ合いは、15年前にその先陣を切ったことになります。今後、NISA(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充が実施されそうですが、そうなると、ポートフォリオのつみたてNISAの部分が変更されます。

便利になった外国への投資

ところで、外貨投資は、連れ合いが投資を始めた15年前に比べると現在はずいぶんと簡略になりました。当時は外貨MMFを買おうとすると、証券会社から読みもしない分厚い資料を送って来て、それに目を通さないと購入できなかったのです。

今はデータ入手も売買取引もインターネットを使って、自分のパソコンで比較的楽にできます。

それだけでなく、外国株投資には大きな変化がありました。

1.「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」が、外国株投資を簡単にできるインデックスファンドを選出するようになりました。

2.<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド、三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など、低コストインデックスファンドが続々登場し、しかも価格引き下げ交渉をしました。

3.SBIや楽天のネット証券だけでなく、三菱UFJ銀行でeMAXIS Slimなどの低コストインデックスファンドが買えるようになりました。

4.eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の純資産総額が1兆円を超えるなど、低コストインデックスファンドがどんどん成長しています。

5.日本銀行や財務省を退職すると、退職金で外国株式を買う人が増えました。

そして、ついに個人マネーが日本から逃避(キャピタル・フライト)し始めた兆しが出てきました。もしこの流れが本格化すると、日本人の特性が「周りの人と同じことをする」ことですから、一気にキャピタル・フライトが進む可能性があります。

日刊ゲンダイの2022/05/11の記事を見てみましょう。


家計の「キャピタルフライト」がいよいよ始まる 日本の現預金1000兆円が海を越える日

次は家計がいよいよキャピタルフライト(資本逃避)を起こすのではないか。

家計の金融資産は21年末現在、2023兆円(前年比4.5%増)に達する。2000兆円の大台を突破するのは初めて。もちろん、過去最高である。

とはいえ、金融資産の54%(1092兆円)を現預金が占める。リスクを嫌うというか、いびつである。アメリカの現預金は1割にすぎない。まして、日本はバカバカしいほどの超低金利だ。これでは増えるはずがないではないか。

実際、金融資産が1000兆円の大台に乗せたのは1992年であり、2倍になるのに30年を要している。遅すぎる。

半面、アメリカは家計の金融資産の4割が株式だ。このため、株式市場活況の恩恵をフルに受け、金融資産は1京を突破している。

ちなみに、NYダウは「株式の死」論争が起こった82年8月12日には776ドルの安値をつけているが、今年1月5日の高値は3万6952ドルだ。実に、47倍である。

アマゾン・ドット・コムは上場後の安値→高値比では2730倍になっている。家計はそこにようやく気がついたのではないか。「アメリカに行こう。ドルを買おう」と。円安は始まったばかりである。いま、1000兆円の現預金が海を越え、動き出そうとしている。


ロイターの2022年4月22日の記事を見てみましょう。


本当の円安危機、1000兆円の家計が外貨買いに走る時に到来か=佐々木融氏

<家計のキャピタルフライトが始まる時>

日本が警戒しなければならないのは、日本企業による対外直接投資というキャピタルフライトに続いて、家計までもがキャピタルフライトを始めるリスクだろう。

家計は保有する金融資産の半分にあたる1000兆円をいまだに円建て預金で保有している。「このうち1%でも外貨に動いたら大きな円安圧力になる」といったことは、これまでもずっと言われてきた。ところが、ここまで全くその動きは見られなかった。

しかし、今回は違うのではないかと危惧している。日本人がこれまでかたくなに円建て預金を大量に保有していたのは、結局、日本は裕福な国で、円を持っていれば何でも買えるという考え方が根底にあったからだと思う。

だが、今や多くの日本人が日本は相対的に貧しくなってきていることを実感している。J.P.モルガンは今後も原油価格や穀物価格が上昇する可能性が高いと予想しているが、実際にそうなれば、多くの日本人は円の購買力の低さを嘆き、生活の苦しさを実感することになるだろう。

以前にもそう思うことはあったかもしれない。それでも、いざ外貨預金をしようと思っても、銀行が開いている業務時間中に銀行に行き、3円のコストを払ってドルを購入しなければならなかった。

今は深夜でもスマートフォーンを使って簡単に、かつかなりの低コストでドルや他の外貨を買うことができる。外国株投資もオンラインでいつでも可能だ。「ガソリンや食料価格の高騰をヘッジするため、あるいは海外旅行に行くため、外貨の保有を増やしておいた方が良い」という発想が広まった時、家計が行動を起こす時のハードルは、以前に比べるとかなり低くなっている。そうした行動を取るように「推奨」するユーチューバーは既に数多く存在する。

また、預金の大半の保有者は高齢者だから、そんなに簡単に外貨へのシフトはしないだろう、というのも以前は本当だっただろう。しかし、筆者の先輩世代である今の60歳代はバブル経済を謳歌(おうか)し、海外の免税店でブランド品を買い漁った世代である。購買力が低下して生活が苦しくても円預金だけを保有し続けるような世代とは思えない。80歳目前の筆者の母親は、アップルペイで買い物をしている。高齢者も昔の高齢者とは違うのだ。

マーケットを操作するのが好きな日本では、外貨準備が150兆円以上あるから円安を止めるのは簡単、と言う声も上がるかもしれない。しかし、家計の1000兆円の預金の前には、150兆円の外貨準備は小さく見える。

それだったら日本人の外貨購入に制限を設けたら良いのではないか、といった意見も出るかもしれない。だが、日本人がそうした可能性を感じ取ったその時こそ、家計のキャピタルフライトは加速するのである。そこまで行けば、それは典型的な新興国での通貨危機のパターンだ。


日経新聞の2022年6月6日の記事を見てみましょう。


個人マネー、海外株に年8兆円 日本から「逃避」の気配

日本の個人マネーが海外株に殺到している。国内の投資信託を経由した海外株への投資額は2022年1~5月に2兆3000億円に膨らんだ。同日本株への投資額(3500億円)の6・6倍にのぼる。資本効率などで優れる海外企業を選好しているためだ。家計の資金が海外に逃避する「キャピタルフライト」の気配もあるようで、危うさが見え隠れする。

「世界経済は成長が続いている。長期的に積み立てるつもり」。20年5月にネット証券で積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)を利用し、海外株投信への投資を始めた20代女性会社員は話す。

新型コロナウイルス下で、日本の個人マネーは海外株の比重を高めている。21年の日本国内の株式投信を通じた海外株投信への純流入額は8兆3千億円と過去最高を更新した。米国株はその9割程度を占めるとみられる。日興リサーチセンターのデータを基に試算すると、22年1~4月の日本国内の株式投信による米国への資金流入は約1兆5千億円。米国内の米国株投信への純流入額約2兆1千億円(モーニングスター・ダイレクトによる)の7割分にも達する。

海外株人気の裏側で、日本株への関心は薄れている。1~4月の日本株投信への純流入額は3000億円と少ない。国内投信の人気ランキングを見ても、22年5月末の純資産額首位は米ハイテク株を組み入れる「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース」など、上位10本のうち米国株や米国株中心に運用する投信が6本を占める。日本株中心の投信はゼロだ。