確定拠出年金の推移2019年11月

元本600万円が1300万円に

私の確定拠出年金(DC:Defined Contribution Plan)は、今回1300万円を超え最高になりました。

全額外国株式インデックスファンド

全額を 野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIで運用しています。2000年代初めに、私が勤めていた会社にDC制度が導入されたときも、全額外国株式インデックスファンドで運用しました。当時の私は今ほど金融や資産運用に関する知識があったわけでは有りませんが、正しい判断をしたと思います。

9割が銀行預金を選択

その会社では、9割の社員が株式などリスクのある商品ではなく、銀行預金を選びました。しかし、その時の幹事会社の担当者から聞いた話では、私の勤めていた会社だけでなく他の会社も、押しなべて9割が銀行預金を選んでいたそうです。現在は投資信託で運用する人が増えていますが、それでも元本確保型商品のみで運用する加入者が4割以上存在している企業は39%もあります。

DCだけでなく年金全体の中に位置づける

私は、DCだけで考えるのでなく、厚生年金、確定給付年金(DB制度:Defined Benefit Plan)、財形年金などを総合的に考える必要があると思います。厚生年金はもっとも金額的に大きな収入であるとともに、ある程度インフレに対応してくれます。毎月の年金額を20万円だとすると、20年間で4800万円、30年間で7200万円になります。

20万円 ✖ 12か月 ✖ 20年間 = 4800万円

20万円 ✖ 12か月 ✖ 30年間 = 7200万円

これだけしっかりした年金が確保されているのですから、DCをノーリスクの元本確保型商品で預ける必要はないのです。

一時期、日経225に移行

私のDCはその後、そのファンドが償還(つまり廃止)になってしまったので、やむを得ず国内株式の日経225インデックスファンドに変換しました。

2015年に外国株式インデックスファンドに戻る

2018年5月に手数料の高いみずほ銀行から野村證券に運用金融機関を移管しました。その際、運用商品を 野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAIに変更しました。長期運用する場合、国内株式よりも外国株式のインデックスファンドの方がリターンが高いと考えるからです。

元本の600万円が現在は1300万円に増えました。

DCに関して気を付けることは以下の点です。

  1. 全額を外国株式インデックスファンドで運用する。
  2. 経費(信託報酬)ができるだけ安い商品を選ぶ。
  3. コストの安い運用機関を選ぶ。
  4. マッチング拠出(会社が拠出する掛金に加えて、加入者本人が掛金を上乗せして拠出することができ)制度があれば利用する。
  5. 年金受給開始時期をできるだけ遅らせて(できれば70歳)、運用期間を長くする。

◎ 確定拠出年金実態調査

企業年金連合会が毎年調査を実施しています。その概要版の調査結果のポイントは以下の通りです。

• 継続投資教育の実施率は74.0%、そのうち約7割の企業で直近3年以内に継続投資教育を実施
• 運用利回りの平均は3.1%
• 指定運用方法を設定した企業は30.9%、そのうち元本確保型商品が70.7%、投資信託が29.3%
• マッチング拠出について、実施率は53.5%、利用率の平均は29.3%、加入者掛金(月額)の平均は7,636円
• 運営管理機関の評価等を実施している企業は12.8%

その内容をもう少し詳しく見ます。

継続投資教育

確定拠出年金制度は2001年に始まりました。DCを導入した会社は「従業員のための制度となっているかを常に考えるべきである」ということから、「継続投資教育を行うこと」が努力義務として課されています。投資教育は、コスト削減のために、銀行、証券会社、保険会社などの運営管理機関が行うことがありますが、その場合、DC加入者である社員のためになるかどうかは不明です。社員は説明する運営管理機関の言葉を割り引いて受け止める必要があるかもしれません。社員のための教育を行うには、独立した組織に依頼することが望ましいと思います。しかし、それ以前に社員も含めて一般人の金融リテラシーを高めることが必要でしょう。財務省や日本銀行のOBが、日本円への信頼を無くして、自分の持っている円資産を外貨に転換していることを、参考にすることも一つの方法でしょう。

想定利回りは2%

DCを導入した会社として、どれほどの想定利回りを設定しているのでしょうか。2.0%という調査結果でした。年金資産の運用全体としては2%という水準は妥当な範囲かも知れませんが、確定拠出年金としては低いというのが私の印象です。

外国株式インデックスファンドなら6%

確定拠出年金だけで、年金の運用を完結させるのではなく、厚生年金、確定給付年金、国債など金融資産全体の中でDCを考えるべきです。確定拠出年金は基本的に所得税がかからないので、できるだけ期待リターンの高い商品で運用すべきです。そうすると外国株式になりますし、その中でもコストの低い商品が、通常は選ばれると思います。企業型確定拠出年金だけでなく、個人型確定拠出年金iDeCoについても同じ理由から外国株式インデックスが有力な候補だと思います。想定利回りは6%なら妥当だと思います。

ノーリスクノーリターンの好きな日本人

リスクのある投資信託等とノーリスクの元本確保型商品を選ぶ割合を円グラフで示しました。左が資産残高ベース、右が掛け金ベースです。どちらもおない傾向で元本確保型商品が5割を少し上回っています。日本人は元本確保型が好きなのです。しかし、それでは年金は増えません。ノーリスクノーリターンです。