アメリカ株式ETFの来年の狙い目4

来年の狙い目

株式やETFに関して来年の狙い目は何でしょうか、という記事が雑誌を賑わす季節になりました。フォーチュン(Fortune)誌の記事を参考にして考えてみたいと思います。以下はこの記事の拙訳です。昨日の続きです。

ヘルスケア株式

選挙年の懸念が株価を抑え込んできました。従って特売品を買う時期です。

ヘルスケアは2020年に回復

マット・ベンケンドルフから投資家へのメッセージです:「難しいことじゃない―――2020年選挙に向けてヘルスケアはスポットライトを浴びるでしょう。」政策に関する懸念(すべての人にとって、善きにつれ悪しきにつれ、メディケアです。)と薬価の問題(バーニー・サンダースとドナルド・トランプのようにかけ離れた候補者でも抑制を公約にしている)が投資家の目の前に大きく迫ってきています。過激なやり取りのために、S&Pヘルスケア・セクターは過去12か月間で約9%しか上昇せず、マーケット全体よりはるかに低かったのです。

ヘルスケアは狙い目

しかし、このセクターに有利な点を見つけるのは難しいことでは有りません。先進国の老齢人口、新興国の豊かさが拡大していることによって、政治動向に影響を受けない巨大需要を創出しています。フォーチュン誌投資家円卓会議のメンバーの一人は、ヘルスケア株を今まさに「目の前にある狙い目」と呼んでいます。結論は、このセクターは適切な株価の会社で満ちていて、どの大統領になっても苦しみそうにない、ということです。

天井は見えない

米国ヘルスケア支出は着実に増加しているので、政治的・経済的大改革の要求が突きつけられています。

国家健康支出合計

濃い網掛け:現在のドル

薄い網掛け:インフレ調整後

ベクトン・ディッキンソンが狙い目

ジャンセン・エンベストメント・マネジメントの常務取締役エリック・ショーエンスタインの推奨銘柄はベクトン・ディッキンソンで、同社は針や注射器などの低価格だけど必要不可欠の製品を製造する医療機器会社です。パーナサスのキースは、3Dマンモグラフィー装置その他の予防医療設備が、力強い経常収益を生むので、医療ハイテク銘柄であるホロジックが巨大な潜在能力があると考えています。「保険に関する状況がどのようになるにせよ、同社の製品は適切で必要になります。」と彼女は言います。

ペットと家畜向けのゾエティス

動物に対する支出は、人間に対する支出と同様、急速に成長しています。アライアンスバーンスタインのティアニーは、製薬大手ファイザーから独立した会社ゾエティスを推奨しています。ペットと家畜向けの薬を製造している同社は「同業他社に比べて革新的だ」と彼は信じています。

HIVと肺炎球菌感染症のメルク

人間向けの薬品では、ヌービーンのマリクは製薬大手メルクを推奨します。同社は、一桁の中高位の売上の成長を遂げ、HIVと肺炎球菌感染症を治療する新薬など薬品のしっかりしたパイプラインを持っているからです。ある種のがん治療に使用されるメルク社のキートゥルーダは5年後に世界最高の売上となる薬品となり、2024年に220億ドルの売上となって今後数年間の利益拡大に貢献するのではないかと予想しています。

訳者注:肺炎球菌感染症とは、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる病気です。この菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされます。これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。

選挙が不確実なので投資家にはチャンス

米国の政治的対立によって健康保険会社はもっとも痛手をこうむっています。しかし何もない時よりも、安値で取引されている会社は、「選挙が不確実であるために投資家にはチャンスがある」、とベンケンドフルは信じています。ベンケンドルフは、株価収益率17倍のユナイテッドヘルス・グループを推奨しています。

政策が変更されても大丈夫

彼は、政策が変更されても保険会社がすぐにダメになるとは考えていません。また、ユナイテッドヘルスは、顧客のために医療コストをうまくマネジメントし、より良い結果をもたらすように、データとテクノロジーを使う革新者である、と評価しています。

大胆な賭け

来年ヘルスケア支出が加速するなら、「医療機器より保険の会社の方が儲かることになる」と、モルガン・スタンレーのスリモンは言います。というのは、国民皆保険の可能性を恐れたために、保険会社の株式ははるかにひどい損害を既に被ったからです。シグナほど下落した銘柄はほとんどなく、過去12か月で15%株価が下がりました。しかしコネチカットのこの保険会社は最近、エキスプレス・スクリプツ―――米国で最大の薬剤給付管理会社のひとつ―――を670億ドルで買収したことにより、売り上げが増加しました。シグナ社はユナイテッドヘルスやエトナに対して、より強力な競争相手になりました。民間保険会社は絶滅しないのであれば、この会社はお買い得です。

狙い目

ベクトン・ディッキンソン

ホロジック

ジートス

メルク

ユナイテッドヘルス・グループ

シグナ