ロボアドバイザーの現状比較

日本のロボアドバイザーの現状を見てみます。

ただし、1%のコストのかかるロボアドバイザーに頼らなくても、次の二つの銘柄のどちらかを選んで投資すれば、自動的に銘柄入れ替えがあるので十分です。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

また、アメリカの株式ETFに投資したければ、私や連れ合いのようにSPY、VOO、VTに投資すれば良いでしょう。

ロボアドバイザーを利用すれば1%程度の手数料がかかりますから損です。


価格ドットコム

ロボアドバイザーサービス比較表

サービス名

SBIラップ WealthNavi ROBOPRO らくらく投資 楽ラップ
分類

自動運用型

自動運用型

自動運用型

自動運用型

自動運用型

運用コース 2段階 5段階 1段階 5段階 9段階
コース選択方法 自分で選択可 自分で選択可 自動で決定 自動で決定 自動で決定
手数料 AI投資コース0.66% 【通常口座】1.1%(3,000万円を超える部分は0.55%) 1.1%(3,000万円を超える部分は0.55%) 固定報酬型最大0.715%
信託報酬 AI投資コース0.1606% ※ETF保有コスト年率0.07~0.13%程度 非公開 管理費用0.4915%程度 0.2702%程度
リバランス 適宜 適宜 毎月 原則四半期に1度
最低投資金額 1万円 1万円 10万円 100円 1万円
最低積立金額 月1,000円 月1万円 月1万円 月100円 月1万円
投資対象 ファンド(株、債権、不動産、金) ETF(株、債券、金、不動産) 米国上場ETF(先進/新興国株、債券、不動産、金など) 投資信託 ETF、先物(株式、債券、通貨、コモディティ、VIX)
NISA対応 × × ×
税負担 × × × ×
運営会社 SBI証券 ウェルスナビ FOLIO 楽天証券 楽天証券

 


お任せ運用ロボアドバイザー、手軽に低コストで分散投資

日経ヴェリタス 

新NISA(少額投資非課税制度)が始まり資産形成への関心が一段と高まる中、運用の相談役としてロボットアドバイザー(ロボアド)が注目を集めている。国内の預かり資産残高は1兆円を超えた。金融各社が投資初心者を取り込もうと競争を激化させる中、ロボアドは「全自動でNISAも」のうたい文句で働く世代の心をつかむ。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)は2024年2月、ロボアド最大手のウェルスナビ(7342)に約150億円を出資し、持ち分法適用会社にすると発表した。楽天証券もウェルスナビと提携し、同社の知見を生かしてサービスの提供を目指す。

金融大手が注目するロボアドは金融とテクノロジーが融合したフィンテックの1つで、人間の代わりにプログラム(アルゴリズム)が顧客の資金の投資先を決めて運用するサービスだ。資産運用の知識が乏しくてもインターネットやスマートフォンのアプリから年齢や金融資産、どれくらいの資産の価格変動に耐えられるかといった簡単な質問に答えると、その人にあった投資先を選んでくれる。

国内のロボアドを手がけるウェルスナビやお金のデザイン(東京・千代田)など主要5社の預かり資産残高は、23年12月末時点で前年比4割増え1.4兆円となった。24年1月にはウェルスナビ1社で1兆円の大台に達した。国内市場は16年にウェルスナビやお金のデザイン(東京・千代田)がサービスを始めて以降、右肩上がりの成長を続けてきた。

少額でも投資一任

日米の資産運用に詳しい明治大学の沼田優子専任教授は「証券会社などの伝統的な対面チャネルだけでは、少額から低コストで資産形成を始めたい若年層にとって活用しにくい面もあった」と指摘する。「資産運用への関心の高まりと同時に投資初心者が増える中、ロボアドは従来のサービスが行き届いていなかった層の受け皿となっている」という。

日本のロボアドは「アドバイス型」と「投資一任運用型」に大別される。アドバイス型は、最適な資産配分の「助言」だけするタイプだ。利用者自身が必要な金融商品の買い付けなどをする必要がある。

投資一任運用型ではロボアドの提案内容を了承した後は「すべてお任せ」が可能だ。買い付けや運用のほか、相場環境や利用者の年代に合わせた資産配分の変更、自動で税金を最適化する。その分、アドバイス型と比べ手数料はやや高い。

ウェルスナビのロボアド「WealthNavi」やお金のデザイン「THEO(テオ)」など、特に投資家からの人気が高まっているのが投資一任運用型だ。両社とも利用者の8割以上が20〜50代の働く世代という。利用者に専門的な知識がなくとも、ロボが自動でポートフォリオ(資産構成)をつくる。新NISAに対応したサービスも順次増えている。

手軽に分散投資

ロボアドでは株式や債券など金融資産だけでなく、不動産や金といった実物資産へも、上場投資信託(ETF)を通じて分散投資できる。最低投資金額は1万円程度、手数料は預かり資産に対し年率1%程度となっている場合が多い。

ウェルスナビの牛山史朗リサーチ&クオンツグループ執行役員は「人材や時間など割けるリソースに限界がある対面チャネルと異なり、ロボアドはより多くの人に低コストでサービスを提供できる」と話す。

ウェルスナビでは利用者の7割弱が積み立て投資を設定している。そのため、一人あたりの預かり資産額は平均200万〜300万円程度と、大手証券会社の投資一任契約業務(2000万円程度)と比べ少なくなっている。

ウェルスナビの牛山氏は「退職金などまとまった資産を手にする前の若年層にも『すべてお任せ』で資産形成できる利便性を届けたい」と強調する。

世界で個人向けにロボアドサービスが登場したのは2000年代初頭といわれる。もともと機関投資家の間では、高度な数学的手法を用いて市場を定量的に分析し機械的に投資するクオンツ運用の活用が進んでいた。技術の革新とともに個人向けにも機械による投資判断の提供が進み、初期は確定拠出型年金に特化したサービスが展開された。

ロボアドが拡大の転機を迎えたのは08年のリーマン・ショック後だ。ベターメントやウェルスフロントといった新興のロボアド企業が続々と創業され人気を集めた。その後、現在ロボアドで2強といわれる運用大手バンガードやネット証券大手チャールズ・シュワブも参入した。

ロボアドは運用だけでなく、総合的な金融サービスの提供に動いている。三菱UFJから出資を受けたウェルスナビは25年にも、利用者がスマートフォンから年齢や家族構成、資産データなど簡単な質問に回答するだけで、家計の資産形成を丸ごと自動で提案するサービスの実現を目指している。住宅ローン、年金、保険の見直しに至るまで資産管理の全てをロボットに一任できる近未来を描いている。

ロボ対ヒトの軍配は
ロボアドのように運用を一貫して「お任せ」できるサービスと、人による対面の投資アドバイス――。ロボ対ヒトの運用はどちらが優れているのか。

「ロボアドに運用を任せれば仕事中に値動きを気にしなくて済む」。40代の会社員の女性はこう語る。

運用を始めた当初はネット証券経由で個別株や外国為替証拠金取引(FX)に投資していた。ただ、仕事中にも投資した資産の価格が下落する不安に駆られてしまい、運用を一任できるロボアドに切り替えた。「口座から自動で、自分にあった資産に積立投資をしてくれる。知らないうちに資産が増えるのが魅力」と話す。

ロボアドは経験が浅く投資する資産をうまく選べない層の需要を取り込んでいる。利用者が運用を任せる投資一任契約を結べば、ロボアドが資産を取引してくれて、買い時や売り時を気にする必要がなくなる。株や債券、不動産投資信託(REIT)など複数資産に投資した場合に求められるリバランス(資産配分の調整)も、ロボアドがやってくれる。

いつでもサービスを受けられるメリットもある。人を介さずオンライン上で運用の手続きなどが完結するため土日や夜間などにも利用できる。仕事や家庭などに時間がとられる現役世代でも利用しやすい。フィンウェル研究所の野尻哲史代表は「資産形成層にはロボアドを使うメリットが大きい」と語る。

一方、ファイナンシャルプランナー(FP)や独立系アドバイザー(IFA)などの人による金融助言サービスを利用した方がよい場合もある。住宅購入や退職金の受け取り、相続などのより状況が複雑で、個人に寄り添ったきめ細かい助言が必要になる場合だ。

退職世代の保有資産の取り崩しや相続など運用以外に検討すべき事項が多くなれば、ロボアドでは対応できなくなる可能性も高まる。「年齢が高くなるにつれ、人によるアドバイスが必要になるケースが増える」(フィンウェル研究所の野尻代表)といえそうだ。

顧客の状況を理解し、琴線に触れる言葉でアドバイスできるのは、人ならではの強みといえる。金融助言会社ファイナンシャルスタンダードの福田猛代表は「人のアドバイザーと話し合うことで、投資家はライフプランニングや運用のゴールを明確にしやすい」と話す。人のアドバイザーは投資家が相場下落時にやみくもに資産を売却したり、上昇時に利益確定売りしたりしないようにサポートできる。

ただ人のアドバイザーはロボアドに比べコストが高いという。ロボアドの手数料は預かり資産に対して年1%程度。一方、設定した目標に向け資産形成をめざす「ゴールベースアプローチ」に取り組むIFAなどの手数料は1%超のことが多い。

ロボアドで先行する米国では、人によるアドバイスへの需要が根強い。米バンガードによる投資家向け調査で、現在ロボアドを利用している投資家の約9割が将来は人のアドバイザーによる助言を受けたいと希望した。安心感といった感情面のサポートは人間のアドバイザーの方が長けているという。英国ではロボアドによる助言を受けた人の割合は2022年に1.5%にとどまった。

大和総研の森駿介研究員は「欧米では運用プランの提案や投資後のフォローを人が請け負い、運用はロボを活用するという役割分担をするスタイルが広がっている」と話す。ロボと人それぞれの利点を組み合わせた運用に勝機がありそうだ。


お任せ運用のロボアド、過去5年の運用成績を比較

日本経済新聞社 2023年12月4日

ロボアドバイザー(ロボアド)は、個人投資家がネット上でいくつかの質問に回答するだけで最適な資産配分を提案してくれる金融サービス。初心者でも資産運用を始めやすいとあって、働く現役世代を中心に利用者が多い。過去にどれくらいの運用成果を出せたか、主要なロボアドを比較してみた。

ウェルスナビ、残高9500億円突破

まず、自動で運用まで任せられる投資一任型のロボアド主要5社の預かり資産(契約残高)を2023年6月末時点で比較すると、ウェルスナビが8893億円と断トツで、増加の勢いも強かった(図表1)。同社によると、同11月初旬には9500億円を突破した。

預かり資産の2位はお金のデザインの1911億円、3位には楽天証券の1173億円が続いた。4位はFOLIOの670億円、5位はマネックス・アセットマネジメントの582億円で、この2社は今年に入って順位が逆転した。

過去5年の運用成績はプラス

次に過去5年間の運用成績を比べてみる(23年10月末時点)。18年11月にサービスを開始したFOLIOを除き、過去5年分の開示データがさかのぼれる4社に絞って比較した(図表2)。対象のロボアドはウェルスナビが運営する「WealthNavi」、お金のデザインの「THEO」、楽天証券の「楽ラップ」、マネックス・アセットマネジメントの「ON COMPASS」の4つ。

各社の開示データ(円建てベース・コスト控除後のリターン)を使い、便宜上リスク水準別に5段階に分けて比較したところ、4社の全てのコースで運用成績がプラスになった。各社ともリスクが高いほどリターンが高い傾向となり、リスクが高いコースでは5年のリターンが70%近くになったロボアドもあった。相対的にリターンが低めだった「楽ラップ」は、海外資産に対して部分的に為替ヘッジをしているため、円安が進んだ環境下では運用が伸び悩んだようだ。

積み立て投資でも利益確保

ロボアドで積み立て投資した場合の運用成果も比べてみた。同じく4社で5段階のリスク水準別に過去5年間、毎月末に定額購入したと仮定して「積み立てリターン」を計算し、それぞれ23年10月末時点のリスク・リターンの関係を散布図にした(図表3)。4社とも5コースのほとんどで積み立てリターンがプラスになった。

図表4では、具体的に積み立て投資で資産がいくら増えたかをシミュレーションした。リスク水準が11%前後のコースを各社1つ取り上げ、18年10月末から毎月末に3万円ずつ60回積み立てた場合の運用成果を比べた。

結果は4社とも含み損益がプラスとなった。23年10月末時点の拠出額合計180万円に対し、最も評価額が高かったのは「WealthNavi」の233万円(含み益53万円)。最も低い「楽ラップ」でも、23万円の含み益を確保した。

24年1月にはいよいよ、新しい少額投資非課税制度(NISA)が始まる。一部のロボアドは新NISAに対応する方針を公表済みだ。制度拡充に伴う資産運用への関心の高まりは、ロボアドにも追い風になる。ただ、NISAは1人1口座(金融機関は年単位で変更可能)しか開けず、ロボアドのみを取り扱う運営会社は集客に不利な面もある。新NISA時代の到来にどう順応していくのか、来年以降も各社の動きが引き続き注目される。