プラチナNISA、子供NISA

プラチナNISA、子供NISAの検討が動き始めたようです。


2025年4月19日のYAHOO!JAPANニュースの記事です。

岸田前首相肝いり「プラチナNISA」始まる?話題の毎月分配型投資信託への懸念

65歳以上を対象にして「新しくプラチナNISAができる」と報道されました。岸田前首相が会長を務める資産運用立国議員連盟が提言し、2026年度(来年度)の税制改正に向けて動き出すという。現在の新NISAは65歳以上も対象にしています。なぜ今プラチナNISAなのでしょうか。

■プラチナNISAの概要

65歳以上の年金生活者層に限定し、従来のNISAでは購入できない毎月分配型の投資信託を買えるようにするようです。

金融庁は、毎月分配型投資信託は長期資産形成に不向きと考え、新NISAの投資対象外とした経緯があります。そのため、毎月分配型ではなく、隔月分配や四半期分配など、毎月分配の適用除外となるような商品が開発されています。隔月分配や四半期分配型の投資信託は上手く組み合わせると、実質毎月分配の状態を作り出せます。

年金暮らし高齢層を中心に定期分配型投信信託の買付残高が多いのか、年金暮らしの方からの希望が多かったのかわかりませんが、2026年度以降には高齢者に限り、毎月分配型の投資信託をNISA枠で購入し、分配金の非課税を享受できるようになりそうです。

またしても、高齢者優遇でしょうか。高齢者に限定する必然性がありません。この物価上昇において、毎月分配型投資信託を非課税で受け取りたい現役世代は多いはずです。高齢者だけを対象とした税制優遇で国民は納得するのでしょうか。選挙対策という批判が出そうです。

一方で、証券業界や投資信託を販売する銀行など広義の資産運用ビジネスという観点からは、プラチナNISAでシニア層の投資マネーを取り込むことができれば、直ちに収益獲得のチャンスとなります。問題は、枠をいくらに設定するのかとなりそうです。一括投資で1800万円でしょうか。気になるところです。

それにしても、急ぎすぎだと思います。参議院選挙対策、金融族の応援を期待したポスト石破総理への布石でしょうか。

■現時点での懸念はタコ足配当型の毎月分配型投資信託

現時点では、一般に向けたプラチナNISAの情報は大手メディアでの報道しかありません。先日筆者は、テレビ朝日のニュース番組である、ワイドスクランブルにおいて、4月17日(木)の放送で、プラチナNISAに関して取材を受け、プラチナNISAに対する評価をコメントいたしました。

その際、取材者の方が、現在WEBで見られるような情報以上に、プラチナNISAに関する突っ込んだ情報を持っていました。今後は少しずつ追加の情報が出てくるのでしょう。一次情報はメディアが保有しており、我々は二次情報しか触れることができない段階です。

そのため、毎月分配型投資信託については、ネガティブな評価を出さざるをえません。毎月分配型投資信託の最大の懸念は「利益だけでなく元本の払い戻しを分配金として支払う」こと。

毎月分配型投資信託を知らない人には、何のことを説明しているのかわからないかもしれません。ただ、利益以外の元本の取り崩しを含めて投資家に分配するので、分配金を受け取るごとに投資した資金が徐々に減っていく商品なのです。

問題はこの商品を誤認して買っている人が多いのではないかということ。分配金には普通分配金と特別分配金の二種類があります。普通分配金は利益の分配です。特別分配金は特別な利益なのかと思いきや、元本の取り崩しなのです。元本の取り崩しは利益とはみなさないためそもそも非課税です。

ですから、今最大の懸念は、そもそも非課税の特別分配金タイプの商品を、プラチナNISAで販売するのではないかということ。しかも、証券会社によっては買付時に手数料を徴収することになります。

特別分配金という「そもそも非課税」のお金の受取りを、非課税口座であるNISAで受け取る必要はありません。既存の特定口座や一般口座で十分です。今のままでは、プラチナNISAで特別分配金タイプの投資信託が買えるように見えてしまいます。

ただ、金融庁が進めている関係で、タコ足配当型の投資信託を買えるようにはならないと思います。

■毎月分配型投資信託は現役世代にも需要がある

筆者はプラチナNISAのスタートを目標に、新たに利益の分配である普通分配金を支払えるような、毎月分配金型の投資信託が組成されると考えております。

そのような商品であれば、高齢者に限らず現役世代にも需要はあり、65歳以上に範囲を狭める必要はありません。現役世代にお金がなくとも、親や祖父母世代から資金の贈与を受け、元本を取り崩さない毎月分配型の投資信託を購入することができれば、家計にどれほど役に立つかわかりません。

■まとめ

65歳以上の高齢者向けNISAが最短で2026年度から始まります。現状の毎月分配型投資信託に投資するのは避けた方がいいと思いますが、利益となる普通分配金を配当できるような投資信託が組成できれば、高齢者だけでなく若者にもニーズがあるでしょうから、65歳以上に限定する理由はないと考えます。そして何より、もう少し丁寧に国民に理解できる説明が必要ではないでしょうか。


こどもNISA創設、金融庁が税制改正要望へ 実現には壁

2025年4月16日 の日経の記事です。

金融庁は若年層が使いやすい少額投資非課税制度(NISA)の仕組みを検討する。18歳以上に限定されている現行NISAについて、口座を開ける対象を未成年にも広げる税制改正要望を出すことを視野に入れる。金融経済教育推進機構(J-FLEC)などと連携し、若年層の金融リテラシーを向上させる取り組みも促進する。

「つみたて投資枠」で要請

自民党の資産運用立国議員連盟(岸田文雄会長)は16日にまとめる政府への提言案で、年間120万円が上限の「つみたて投資枠」に限って年齢制限を撤廃し「こどもNISA」を創設するよう求める。

2023年12月までの旧NISAは未成年を対象とした「ジュニアNISA」制度があった。口座を開けるのは0〜17歳で年間の投資上限額は80万円だった。

24年1月の新NISAは対象を18歳以上に限定した。ジュニアNISAは子どもが18歳になるまで原則払い出しができず、広がりに欠いたのが背景だ。23年末の口座数は当時の「一般NISA」と「つみたてNISA」の合計が2124万口座だったのに対し、ジュニアNISAは制度終了前の駆け込み利用を経ても123万口座にとどまった。

新NISAで未成年が対象から外れたのは、子どものNISA口座への事実上の資金の出し手となる親や祖父母の所得や資産によって、子ども世代の資産の格差が大きくなるという懸念が政府や与党内でもあったからだ。

資産運用立国議連は「こどもNISA」の創設を少子化対策の一環と位置づける。従来制度と異なり引き出し可能な年齢の制限を設けなければ、子どもの進学など必要な場面で運用益を柔軟に活用することができる。

口座を持つことになる若年層向けに、J-FLECなどと連携して金融リテラシーを向上させる取り組みを強めるよう求める。

税収減から慎重論も

一方、NISAの対象年齢の下限撤廃のハードルは高そうだ。現行のNISAは未成年を対象としていないので、子どもの名義で株式や投資信託などを売買する場合、売却益に税金がかかる。NISAの対象に加えてこれを非課税にすると、税収減につながる。

運用益などを分配金として毎月払い出す「毎月分配型」の投資信託を高齢者に限って対象に加える方向で創設を検討する「プラチナNISA」はそれまで投資していた商品を入れ替えるのを想定し、税収の増減にはつながらないとみる。未成年への拡大にはこうした背景から慎重論がある。