まさかの時のための備え 1

ボーナスなし、給与引き下げでマンション売却

新型コロナウイルスの影響で、ボーナスが夏・冬とも無くなり、月給も大幅に下がったため、現在住んでいるマンションを売却せざると得ないかもしれない家族の話を、NHKのテレビで放送していました。東京に住むこの家族には中学生と小学生の子供がいて、3000万円のマンションをローンで購入し、毎月の返済額が15万円だそうです。それほど無理をした買い物でも無さそうではありませんが、厳しい状況に追い込まれています。

金銭的苦境への心構え

人生においては、平穏で順調な時期も有りますが、突然苦境にちいる時も有ります。苦境の一つが経済的、金銭的な理由です。これには、共通の心構えや準備があるかもしれません。ニューヨーク・タイムズ紙の2020年11月6日の記事を参考にして考えてみましょう。以下は拙訳です。

より多くの人がまさかのための貯蓄形成に支援を受けている

給料から自動的にお金を天引する仕組み

今回のパンデミックは、いざというときの金銭的な蓄えが必要なことを示しました。現在は、給料から自動的にお金を天引する仕組みを、提案していている会社も有ります。今回のパンデミックによる不況によって、いざという時の金銭的な備えをアメリカ人が必要としていることがはっきりしたので、万が一の場合のための貯蓄を頑張ってしている労働者は、経営者からの支援をますます必要としているようです。

一定程度まで掛け金と同額を経営者が負担

銀行、財団法人、地方自治体だけでなくUPSなどの大企業も、予期せぬ出費に備えて、給与天引きで自動的に現金を貯えることを労働者に促す計画を最近明らかにしました。一定程度まで掛け金と同額を経営者が負担する場合も有ります。

「私たちはみんな金銭面の脆弱さに対応している」と、効果的貯蓄方法を促す非営利団体ザ・コモンウエルスの常任理事で共同創設者のティモシー・フラックは言います。ザ・コモンウエルスの研究によると、緊急時のための貯蓄をしている人は、パンデミックにおいて、老後貯蓄をあまり使っていないようです。

緊急時のための資金

そして、AARP公共政策が金曜日に公表した研究によると、緊急時のための資金を持っていれば、短期的コスト面で役立つだけでなく、長期的金銭状況も支えるとということが明らかになっています。

これとは別に、AARPが調査した成人労働者の半分以上が、緊急用の貯蓄のための給与天引き制度を利用しているようです。

経営者が真剣に受け止め

この制度は、長い間認識していた問題、つまり、「貯蓄に苦労しているアメリカ人はたくさんいる」という問題を、経営者が真剣に受け止めていることを示すものです。連邦準備が繰り返し調査したところ、予期せぬ400ドルの支出を支払うのが難しい家計がたくさんあるのです。

経営者貯蓄プログラム

今回のパンデミックは多くの家計に余計な金銭的追加負担をかけていますが、特に仕事をする場所が入り込む必要があるというのが特徴だ、と非営利組織のファイナンシャル・ヘルス・ネットワークにおける副社長で仕事場の責任者であるマット・バールは言います。「経営者貯蓄プログラムが優位になっている」とバールは言います。

このネットワークとザ・コモンウェルスは、ブラックロックからの出資を伴う貯蓄を勧めている非営利団体で、ブラックロックは去年緊急貯蓄発議を打ち出した投資管理会社です。

これにより、職場の福利厚生を管理する経営者と会社が、緊急用貯蓄制度に労働者が自動的に加入することの許可を求めることを、規制当局が容易にするのに役立ちます。

退職貯蓄プランの経験が経営者にあると、労働者を加入させ、脱退する選択肢を与えることが、従業員が自分で加入する様に任せることよりも、加入促進に効果があることが分かっています。

「行動を変容させるときの難しい部分は、摩擦を少なくすることだ」と、アメリカ消費者連盟の組織的運動であるアメリカ・セイブズの重役ジョージ・バラニーは言います。「貯蓄を始めるのが早いほど良い。」

職場貯蓄制度の手法は様々です。UPSなどの会社は、税引き後のお金を401(k)退職制度の一部として、貯蓄口座に掛けさせます。UPSの制度は、ザ・コモンウェルスと開発し、ボイヤ・フィナンシャルが管理していて、全米の9万の非組合員が利用できます。UPSは、この制度の詳細を議論することを断っています。

先月この制度について語った声明文の中で、UPSの世界退職戦略役員のBJドーフマンは、「我々は従業員を尊重し、金銭面の安定が職場における彼らの成功と会社にとっての成功の重要な要素であると理解しています。」と述べています。

他の制度は独立した選択型として機能しています。例えば、財務テクノロジーの非営利団体であるセイバー・ライフのプログラムは、世界的顧客サービス供給会社であるアロリカの従業員に対して、20ドルの入会特典を提供し、その後、従業員の掛け金に対して毎月最高40ドルのマッチングをしています。従って、6か月で240ドル貯蓄した従業員は、最終残高が500ドルになります。従業員がマッチングをしてもらうには、一か月で最低10ドルの貯蓄をしなければなりません。

<明日に続く>