金融広報中央委員会の2016年金融リテラシー調査 2

<昨日の続き>

金融広報中央委員会の金融リテラシー調査(2016年)の質問項目を題材に、個人のお金のことを考えてみたいと思います。

なお、私の意見は、⇒の後に示してあります。

9.投資や預金をするときには、お金を損することがあってもしかたがないと思う

⇒ お金を損することはあります。具体的には2000年頃、ペイオフの問題が取りざたされて、預金先の分散を図ったのですが、その一部を外貨MMFにしたところ、不運にも円高になり200万円損をしたことがあります。一方で、株式投資信託の利用によって1億円以上の評価益も出ていますので、リスクも取り、リターンもある状態です。しかし、評価損は実際の損ではありませんから、インデックスファンドの場合なら、そのまま何年間か放置しておけば、評価損がなくなり、評価益に代わります。私の連れ合いは、リーマンショックで評価損が7年間続いた後現在は2千万円近い評価益に代わっています。

10.お金を必ずもらえるとの前提で、
(1)今 10 万円をもらう、(2)1 年後に 11 万円をもらう、という 2 つの選択があれば、(1)を選ぶ

⇒ インフレがない状態なら(2)を選びます。しかし、これが10万円でなく1億円なら、今1億円もらって、全額を株式投資信託に投資します。

Q2 ご自身の資産(預金を含む)、負債の現状について、全体として満足していますか。

⇒ 金融資産と自宅の不動産に大きな不満はなく、負債はありませんから、全体として満足しています。

私は普通のサラリーマンで、給料から給与天引きなどでこつこつ貯め、株式投資信託で運用してきました。個別株式は、勤めていた会社の従業員持ち株会で積み立てたもの以外は持ったことがありません。

しかし、20代~40代にかけては主に財形で貯蓄していて、その頃、日本は資産バブルだったので、東京23区内に家を持つことはできないと絶望的になったこともありました。

あわてず騒がず、給料をコツコツと株式投資信託に投資することが最も良い方法だと思います。20代、30代の私の子供たちにも、イデコ、NISA、つみたてNISA、積立投信で、株式インデックスファンドを積み立てることを勧めています。

Q3 1 か月の収入や支出の金額を把握していますか。

収入は把握していますが、支出は特に把握していません。私も連れ合いも、比較的節約家ですから、支出に関してはお互いに信頼しているということです。日本には家計簿がありますが、世界には無いようです。1904年に羽仁もと子が考案し、婦人之友社から発行したのが最初だそうです。「武士の家計簿」という映画がありましたが、何にお金を使ったかをまめに記録したことはあっても、家計簿というしっかりした形にしたのは20世紀に入ってからのようです。

Q4 家計の行動に関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか。(1つだけ)

1. 家計簿などで、収支を管理する
2. 本当に必要か、収入はあるかなどを考えたうえで、支出をするかどうかを判断する
3. 収入のうち、一定額を天引きにするなどの方法により、貯蓄を行う
4. 支払を遅らせるため、クレジットカードの分割払を多用する
5. わからない

⇒ この質問の答えは、常識で考えれば4に決まっています。なぜ適切でないかという理由は、クレジットカードの分割払いの金利が「15%」弱だからです。三井住友カードのホームページに次の表が載っています。

支払回数
支払期限
3回
3ヵ月
5回
5ヵ月
6回
6ヵ月
10回
10ヵ月
12回
12ヵ月
15回
15ヵ月
18回
18ヵ月
20回
20ヵ月
24回
24ヵ月
実質年率(%) 12.00 13.25 13.75 14.25 14.50 14.75 14.75 14.75 14.75

なお、2回払いは手数料がかかりません。しかし、それをきっかけに複数払いへの道を進んでしまうかもしれませんので、2回払いも避けた方が良いと思います。

サンドラッグなど一部のドラッグストアでは、一括払いしかできないルールになっているところもありますが、そういうお店は良心的です。

ところで、この質問に対する回答で、4番を選んだ人は55.1%しかいませんでした。本来であれば、90%以上を期待したいのですが、日本人の金融リテラシーの低さには驚くばかりです。

Q5 家計管理やクレジットカードに関する次の記述のうち、適切でないものはどれでしょうか。(1つだけ)

1. クレジットカードを自分の収入に合わせて計画的に利用する
2. クレジットカードの未決済額は、実質的には借金である
3. 手数料(金利)負担は、リボルビング払いでは生じるが、分割払いでは生じない
4. 利用代金を支払わないと、以降のカード使用ができなくなることがある
5. わからない

⇒ リボ払いは、ご利用の件数・金額にかかわらず、毎月の支払額が一定になるお支払い方法です。リボ払いの実質年率は、15.0%です。つまり分割払いよりも高利ですから、これも利用してはいけません。

この質問に対する回答で、3番を選んだ人は46.9%しかいませんでした。本来であればこれについても、90%以上を期待したいのですが、日本人の金融リテラシーは、本当に低い。

分割払いとリボルビング払いは、とんでもない高利貸しだと覚えておきましょう。

<明日に続く>

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