50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 16

<昨日からの続き>

国内株式が25%、外国株式が75%のパターン

昨日は、国内株式と外国株式に50%ずつ投資するポートフォリオを検討しました。次は国内株式が25%、外国株式が75%のパターンです。ただしその前に、資産の分散化について考えます。

市場別構成比率上位5か国

このブログの現在のシリーズ「50歳代、60歳代のための具体的投資(70歳代以上の方もどうぞ) 13」で、米国を含む全世界の先進国株式市場および新興国株式市場に投資するETFの「VT」を見ましたが、その市場別構成比率 (2020/12/31 現在)の上位5か国を再掲します。

市場    構成比率
米国    56.6 %
日本    7.2 %
中国    4.8 %
英国    4.1 %
フランス  2.6 %

日本の具体的脅威はインフレ

米国は圧倒的なシェアを誇り56.6%で、日本は7.2%しかありません。その日本に投資総額の50%を投入することは、いくら日本に住んでる日本人でも、多すぎるのではないか、という考え方もあるでしょう。しかも、もともと日本の政府債務残高は、世界の先進国の中でも圧倒的に悪かった上に、今回の新型コロナウイルスへの経済対策によって、事態はさらに悪化しています。想定される具体的な問題は、インフレです。

インフレ率は2%で済まない

日本政府・日本銀行はインフレ率2%を目指して金融政策を実施していますが、それでおさまらずに5%あるいは、それ以上のインフレになる恐れがあります。それは円が信用されなくなるということにもつながります。そのような円に50%も投資すべきかということを考える必要があります。

資産の分散化

資産を安全に保有して、増やしていくためには、決定的な方法はなく、①地域、②通貨、③時間、④種類を広げて投資するしかないと考えられます。

① 地域:

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス

世界の株式市場に広く分散投資するのが良いのですが、その割合の参考になるのがETFの「VT」です。VTは、FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスのパフォーマンスに連動しています。

全世界の株式市場、45カ国以上、約7,600銘柄

FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスとは、FTSE社(ロンドン証券取引所とフィナンシャルタイムズが共同設立:Financial Times Stock Exchange)が算出している、全世界の株式市場の動向を表す株価指数です。対象国は、アメリカやヨーロッパ、日本などの先進国だけでなく、中国やインドなどの新興国を含む45カ国以上となっています。世界の有名グローバル企業から中小型株まで、約7,600銘柄から構成されている時価総額加重平均型の株価指数です。

日本の比率 7.2% ⇒ 25%

アメリカ人であれば、アメリカの割合が半分以上を占める、この指標に基づいた地域分散で構わないのでしょうが、日本に住む日本人としては、日本の比率を7.2%よりはもう少し増やしたいと考えるのは、自然な発想です。そこで日本の比率を25%にするポートフォリオを考えてみました。

ここで、地域以外の資産分散についても考えてみましょう。

②通貨

日銀、財務省OBは円を持ちたがらない

日本銀行、財務省に勤めていた人は、退職すると、最近は、退職金の円をドルなどの外貨に換えるそうです。政府債務残高が膨れ上がってしまった日本の通貨である円を持ちたくないのだそうです。リスクを分散させるという意味からは、ドルだけでなく、他の通貨にも分散させたいのですが、買いたいと思うような他通貨の商品があまりないという問題があります。

ユーロMMFは繰り上げ償還

私は、以前ユーロMMFを保有していましたが、超低金利時代に無くなってしまいました。それにMMFの金利は現在極めて低いので、投資しようとすると株式ETFに絞られ、具体的には米ドルの株式ETFに絞り込まれてしまうのが実態です。例えば香港ドル、ポンド、豪ドル、カナダドルなどの通貨もありますが、日本円やUSドルに比べると、信頼性に乏しく、かなり心配です。結局、外国株式ETFへ投資する場合にはUSドルを通過として使うことになります。

③時間

ドルコスト平均法

時間を分散させることは、投資にとって有効です。具体的にはドルコスト平均法があります。ドル・コスト平均法とは、一定期間ごとに、一定金額で、同じ投資対象を買い付ける投資方法になります。例えば、10万円の投資を考えた場合、一度に購入するのではなく、毎月1万円ずつ10回に分けて購入といった具合に複数回に分けて投資することです。この方法なら、高値掴みをすることなく平均的な価格で購入することが可能です。
ドル・コスト平均法のポイントは「定量(口数)」ではなく「定額(金額)」を積み立てることにあります。

平均購入価格を下げる効果

ドル・コスト平均法を利用すると、価格が低いときには多くの口数を、高いときには少ない口数を購入することが可能になるので、平均購入価格を低く抑えられます。

買いのがし防止

投資をしていると、高いときに買ってしまうことで短期間に大きな損失を出してしまったり、買い時を逃してしまって後悔したりといったことも起こります。毎月一定額を自動的に購入する積立投資なら、相場の動きに悩まされることなく投資をすることができます。

まとまったお金もあえて分散購入

50歳以上のシニア層は、今まで貯めた銀行預金や退職金など、まとまったお金がある人もいます。しかし本格的な投資をした経験がなく、株式ETF投資を躊躇している人もいるでしょう。そのような場合には、数年間にわたって分散投資する方法も考えられます。一括投資よりもリターンが減る分、リスクも減ります。そして、投資に自信がつくようになってから、まとまったお金を投資しても、長い老後期間を考えれば、問題ないと思います。

売る時も平均化

そして、この考え方は買うときだけでなく、売る時、つまり、現金に換えるときにも使えます。例えば、老後の生活費に充てるために、毎年100万円ずつ株式ETFを売って現金化するということは、安い時にも売り、高い時にも売ることになりますが、平均すれば損得のない価格で売ったことになり、納得感があります。

④種類

リスク分散を図るためには、株式投資だけでなく、不動産投資、リート投資、金投資などもあります。不動産投資と言っても、不動産を売り買いするのではなく、自宅用に土地・建物あるいはマンションを購入するという意味での投資です。リスク分散のためにリートや金に投資する人もいますが、もし、金融資産保有残高が数億円になれば考え始めても良いでしょうが、とりあえず1億円未満の金融資産であれば、株式ETF投資だけで、十分だと思います。

<明日に続く>

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