若い人のための貯蓄・投資・運用のポイント 3

<昨日からの続き>

4.個人型確定拠出年金

個人型確定拠出年金(イデコ、iDeCo)も、企業型確定拠出年金と同様に税制上のメリットが大きいので、最優先で利用したい制度です。

イデコの限度額は条件によって様々です。例えば、確定給付年金のある会社員の場合、月額上限は12,000円です。また、会社によっては、労使間で協定を結ばないとイデコには加入できないという不都合もあります。

それぞれの場合ごとによって以下の表のように上限額がありますが、あまりに複雑なので2022年10月から簡素化されます。ただし、それでも年金は難しいので、2022年の改正直前に勤めている会社の人事部に確認した方がよさそうです、

企業型
確定拠出年金*1
確定給付型年金*2
なし
個人型確定拠出年金との併用なし 月額 55,000円
年額 660,000円
個人型確定拠出年金との併用あり 月額 35,000円
年額 420,000円
確定給付型年金*2
あり
個人型確定拠出年金との併用なし 月額 27,500円
年額 330,000円
個人型確定拠出年金との併用あり 月額 15,500円
年額 186,000円
個人型
確定拠出年金
第1号被保険者
(20歳以上60歳未満)
日本国内に居住している20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、 自由業、学生など 月額 68,000円
年額 816,000円
(国民年金基金の掛金、国民年金の付加保険料と合算した金額)
第2号被保険者
(60歳未満)
確定給付型年金*2
なし
企業型確定拠出年金に加入していない*3 月額 23,000円
年額 276,000円
企業型確定拠出年金に加入している
(個人型の加入について規約に定められていない場合は除く)
月額 20,000円
年額 240,000円
確定給付型年金*2
あり
企業型確定拠出年金に加入している
(個人型の加入について規約に定められていない場合は除く)
月額 12,000円
年額 144,000円
企業型確定拠出年金に加入していない
公務員、私立学校の教職員
第3号被保険者
(20歳以上60歳未満)
会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養されている 配偶者 月額 23,000円
年額 276,000円

拠出時と受け取り時の節税

確定拠出年金は、ほとんどの人にとって、拠出時の節税になりますし、老後の生活費として大事ですから、優先順位も高いと思いますが、NISA、つみたてNISAは、それに比べると少し優先度は低くなります。それ以外にも、小規模企業共済、国民年金基金、財形貯蓄という制度もあります。

私のイメージしている感じでは次の順位になるでしょうか。

  1. (企業型、個人型)確定拠出年金>
  2. NISA、つみたてNISA>
  3. 課税される投信積立、余裕資金で随時一括購入、固定低金利の住宅ローン>
  4. 小規模企業共済、国民年金基金>
  5. 財形貯蓄

魅力を感じない小規模企業共済、国民年金基金、財形貯蓄

「小規模企業共済制度」は、小規模企業の経営者や役員が、廃業や退職時の生活資金などのために積み立てる制度、「国民年金基金」は、自営業・フリーランスなどの国民年金の第一号被保険者が、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして加入できる制度ですが、現在の予定利率は1%程度なので、低コストインデックスファンドなどに比べて、あまりに不利です。安定を求めるなら、国民年金や厚生年金によって、ある程度担保されますから、ほとんどの人にとって必要がないと思います。財形貯蓄は昭和の時代に流行っていて、私も利用しましたが、現在の予定利率は1%未満になり、ほとんどの金融機関が新規受付を停止していますので、過去の制度となっています。これらの制度は役人の天下り先としての意味が大きいのではないかと思います。

固定低金利の住宅ローンとNISA等のバランス

これらの蓄財制度以外に、NISA、つみたてNISA、投信積立等と競合関係にあるのが、住宅ローンの支払いです。住宅ローンの金利やインデックスファンドのリターンだけ考えた場合、金利2%、リターン6%とすると、早くマイホームを手に入れたい人の場合には、住宅ローンを固定金利でできるだけ長く利用して、その分のインデックスファンドによるNISAやつみたてNISAで投資した方が良いように見えます。一方、当面、賃貸を利用して、マイホームを手に入れるのは、十分な自己資金がたまってからにする場合には、NISA、つみたてNISA等をフルに活用したうえで、課税される投信積立も利用することになるでしょう。

5.NISA、つみたてNISA

NISAとつみたてNISAの使い分け

NISAとつみたてNISAの使い分けに関しては、現在120万円以上現金預金がある場合には、すぐに120万円をNISA枠で低コストインデックスファンドを購入するのが良いでしょう。

例えば、23歳から最初の5年間だけ毎年120万円を積み立てて、6面目以降はロールオーバーだけで新規の投資をしなくても65歳時点では6,192万円に増えます。

NISAに5年間120万円ずつ(合計600万円)積み立てた場合の資産増加

年齢 残高:万円(リターン年6%) 購入(最初の5年で計600万円)・ロールオーバー
23 120 外国株式インデックスファンドをNISAで120万円購入
28 717 新規購入はなく、ロールオーバーのみ
30 806
40 1,443
50 2,584
60 4,627
65 6,192

NISAは毎年120万円を投資することでメリットが十分発揮されますが、毎月40万円程度しか用意できないない場合には、つみたてNISAの利用が有利です。

つみたてNISAに20年間40万円ずつ(合計800万円)積み立てた場合の資産増加

年数 残高 インデックスファンドに投資
1 40 毎年40万円投資
10 527
20 1,471

つみたてNISAは、今のところ20年経つと引き出さなければならないのですが、ロールオーバーの可能性もあるかもしれません。

若い人の推奨銘柄としては、以下のものが考えられます。

  • <購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド
  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • 1306(TOPIX連動型上場投資信託(ETF))

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