人それぞれの事情
若い人の投資というと、イデコやつみたてNISAが良いとかいう一般論はありますが、実際に一人一人の実情にあたると、いろいろなパターンがあります。
イデコ、つみたてNISAの前にやること
そこで、今回は実際のパターンに分けて考えてみます。投資というと、一般的には最初にイデコを優先すべきだという話が多いのですが、ここでは、1番目に国民保険を考えます。
1.国民年金保険料
60歳以降は任意加入で満額受給
私は昭和の生まれで、20歳のころには国民保険料支払いは任意でした。そのため、大学生の時には未納の状態で、60歳を超えてから国民年金に任意加入し、保険料を支払って、480か月に達したので、現在は国民年金の満額を受け取っています。60歳以降も厚生年金に加入していると、国民年金に任意加入できませんが、同じように年金受給額を増やすことができます。
今は追納
現在は20歳になると、学生でも、フリーター・アルバイターでも国民年金保険料の支払いは義務になっていますので、親が支払ったり、自分でアルバイトなどで貯めたお金で支払う場合はよいのですが、払わない場合は、保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間の国民年金保険料を後から納付する手続が必要です。
国民年金は最優先で納める
国民年金は国民の義務でもあり、社会保険料控除もできますし、年金支給にあたっては、国が補填をしてくれるので、イデコやNISAなどより優先して支払う必要があると思います。
2.確定給付年金
大企業や、歴史のある会社・業界に多い
確定給付年金は、大企業や、歴史のある会社・業界を中心に制度導入している場合があります。最近創立された企業は、確定給付年金制度を導入せずに、確定拠出年金だけのところが多いようです。掛金は、原則として事業主が負担しますが、本人同意の上、2分の1を上回らない範囲で本人に負担させることも可能です。
利回りは5.5%から2.5%に減少
年金給付は、原則として終身または5年以上の有期年金とされています。私の場合は20年の給付を選択しました。以前は、5.5%の利回りを保証しているところが多かったのですが、私の場合は2.5%の利回りが保証されています。
3.企業型確定拠出年金
2種類のDC
確定拠出年金(DC)には企業型と個人型があり、個人型はイデコと呼ばれています。
選択制確定拠出年金
企業型の掛け金は、企業が掛金を拠出してくれ、従業員が運用する制度ですが、最近導入する企業が増えているのが、選択制確定拠出年金です。これは、退職金や給与などの一部について、企業型DCの掛金として拠出してもらうか、これまで通り給与として受け取るか、従業員が自らの意志で選択することができる確定拠出年金制度です。
具体的な例で説明します。毎月の給与が30万円の会社員の方について考えてみます(簡単のため、賞与はゼロとしておきます)。
この図のように、選択制DCに加入する場合、給与30万円のうちの一部(この例では2万円)について、
① 企業型DCの事業主掛金として拠出してもらう
② 従来どおり現金で給与として受け取る
という選択肢から選べることになります(実際には上記いずれか以外にも、事業主掛金と現金給与の割合を変えた複数の選択肢が用意されている場合があります)。
上限額まで利用する
選択制のDCの場合には、上限までDCで受け取ることが税制上有利です。例えば、5.5万円まで企業型拠出年金の拠出金を選択できるのであれば、年間で66万円になり、その約2割分の税金を減らすことができますから13.2万円年末調整で戻ってくることになります。
60歳までは引き出せないことに留意
ただし60歳までは原則的に引き出せませんから、そのことも考慮に入れて、できるだけ上限まで利用するのが賢い方法です。
外国株式インデックス(パッシブ)ファンド
この選択制でも、あるいは、企業が全額を拠出する場合でも、運用する銘柄は外国株式インデックス(パッシブ)ファンドが望ましいと思います。その理由は、リターンが多いことと世界の株式市場に分散投資できるからです。もし、外国でなく、日本の株式インデックスファンドなどに投資したいのであれば、期待リターンが低いので、確定拠出年金ではなく、つみたてNISAや、課税される投資信託で利用すべきだと思います。つまり、外国株式インデックスファンドは期待リターンが最も高いので、税制上最も有利な確定拠出年金を優先的に利用した方が得だということです。
ポータビリティ
現在勤めている会社を退職した場合には、次に勤める会社で企業型DC制度を取り入れていれば、そのまま移換することができます。これを、ポータビリティがあるといいます。もし転職先にこの制度がなければ、自分で運用管理会社に移換して確定拠出年金として引き続き運用できます。私も、勤めていた会社を辞めた後、しばらくは同じ運用管理会社であるみずほ銀行で、そのまま運用していましたが、その後コストの安い野村証券に移換しました。現在、運用を始めて19年になりますが、外国株式インデックスファンドで運用して、元金600万円が1600万円に増えました。
信託報酬の目安は、0.2%以下
私が選んだ銘柄は、「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI-KOKUSAI 」で、信託報酬が年0.154%です。最近はみずほ銀行でも同程度のコストの銘柄があるようですが、勤めている会社ごとに、コストが違う場合もあるでしょうから、よく確認してください。信託報酬の目安は、0.2%以下であれば、低コストといえるでしょう。