日経CNBCで「今後のマーケットを展望」という特番がありましたので、その内容を勉強します。
ゲストはマネックス証券 チーフ・ストラテジストの広木隆、ソニーフィナンシャルホールディングス執行役員 兼 金融市場調査部長 チーフアナリストの尾河真紀、大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治です。
テーマ:バリュー株を狙うべき?調整したグロース株を狙うべき?
この数年グロース株が株式成長の最前線にありました。今年から、その雲行きが怪しくなってきました。実際割高だと感じます。今年のグロース株(アメリカ・日本両方で)の見通しは?
広木:僕の答えは循環物色。一つのものだけが長くいくということは考えられない。ところが、近年バリューは低迷が長くて、グロースが長かった。こういうことはあるが、バリューの中でも循環していかないと相場は続かない。なぜなら、バリューは割安株。割安株がずっと買い続けられと割安株でなくなる。
大昔、横浜国大の浅野先生が、バリュー・グロースというスタイル議論が出たときに意味のないスタイル議論という論文を投稿して問題になったことがあった。
バリュー・グロースの決め方は、PERで並べて、下半分をバリュー株、上半分をグロース株としている。結局株価が高くなったらぐるぐるぐるぐる回るだけじゃないの。だからグロースというのは買いっぱなしで、あくまでも高くなり続けるんだけど、バリュー株というのは買われ続けることはない。
ただ、その中身は変わる。つまり銘柄は変わる。PBRで銘柄選択してそれが勝てる。あるいはPERで、割安な銘柄買う。そういう相場がどこまで続くかということですよね。
今はコロナで打撃を受けた空運株、銀行株、鉄鋼株、景気敏感株問う言うセクターが、バリューの性格をしょっちゃってるから、こういったものが今景気回復期待で脚光を浴びている。
それが行くところまで行くと止まる。今のバリュー相場は、景気回復中で買われている景気敏感株なので、これは一度止まると思います。
木野内:4月まではバリューっぽい奴が強いと思います。
去年の秋の安値は10月30日だった。4月30日までは信用のカラ売りがたまっているものの買戻しになりやすい。一方で金利は下がるので、アメリカではグロース色がそこそこ出ていて、その中間で機械株と半導体製造株は4月も行ける。5月以降は日本もグロースっぽくなって行く。
尾川:アメリカの金利が上昇すると、景気敏感やグロース株は調整局面を迎えることはあるが、実体経済の成長を伴った回復による業績相場になると思う。そうなるとITとかDXとかが加速してくると、グロースのハイテクとか情報通信が良くなってくると思う。だから、いったん下がったグロースを買うのは賛成です。
司会:日経平均株価とドル円の相関性がなくなっている要因は?
尾河:為替が長い間安定していた。これから円安になると、為替と株の相関性は戻ってくると思う。
コロナショックから、金利差と為替相場の相関性が崩れた。今年の年初から日米の実質金利とドル円相場の相関は戻ってきた。市場が正常に回復してくると、株が下がるときは円高になったりとか、も戻ってくるんじゃないかと思う。
司会:金利がゼロ近くに張り付いたので、株と円高の関係が見えにくくなったということですね。今はバブルですか?
木野内:ノー。バブルというのは、計測できない上昇がバブル。経済の成長の天井が低いか高いかということです。インフレになるかならないかといえば、インフレにはならない。
雇用のスラックの議論とかいろいろありますよね。
まずはコロナで職を失った人が職を得られるように、というのはまだずいぶん高いところまで天井があるし、そのあとに就職氷河期世代、アメリカでいえば、34歳ぐらいの人たち、日本でいえば45歳くらいの人たち、に就職が厳しかった人たちがいらっしゃるので、そういう人たちがしっかりした雇用に就くまでというのは、まだ天井があるし、アメリカでは人種間でもまだ雇用の余裕があるので、実際問題、インフレになることは全然先だと思う。
そういう意味ではバブルの天井は高く、株価の天井は相当高いと思う。
広木:バブルじゃない。僕がこの商売始めたのは、大学卒業して証券会社に入った1987年4月。NTT株が318万円、東京電力が9420円。大和も野村も証券株はみんなピーク。バブルの真っただ中に証券業界に入った肌感覚からいうと、バブルというのはこんなもんじゃない。
もうちょっと理屈っぽいことを言うと、株価のバブルは理屈で説明できないことが起きるのがバブル。今の日経平均は1年先のPERで見たら、18倍か19倍くらい。きわめて真っ当。だとしたらこんなものをバブルとは絶対言わないよね。バブル経済は、金融機関がレバレッジをかけて、ふくらまして砂上の楼閣みたいなものを作り上げる、だから崩れちゃうし、そうなったら大変なことになるのがバブルなんですね。80年代の土地神話に基づいて銀行が無茶苦茶貸し込んで、そのあと不良債権の山になった。
これが日本の土地バブルだし、アメリカでいえばリーマンショック、本当はそんな人に貸しちゃいけないのに、金融のテクニックを使って、ある意味何重にもごまかして、砂上の楼閣を作り上げて、それが結局はじけた。
今はどこに金融機関がレバレッジをかけて、蜃気楼みたいなものを作っているかといえば、どこにもない。
今はコロナって言う天災みたいなもので苦しみ、政府が政策を売って急回復しているだけ。そういう意味では、全然バブルでない。
尾河:ノーです。
アメリカの金利を見ると、名目は上がっているように見えるけど、実質金利はまだマイナス。金融は非常に緩和的であるということは言えるので、まだバブルという状況にはなりにくい。
株価が上昇する可能性はある。
司会:インフレ懸念はないか。
広木:最大のリスクはインフレ懸念。しかし、それは懸念であって、実際にインフレにはならない。
ただし、マーケットは先走るので、インフレの兆しが出ると金利が上がる、それが一番怖いことだ。しかしメインシナリオではない。