本多清六
日比谷公園を設計したのは本多清六です。この人は苦学して東大教授になり、「月給4分の1天引き貯金」を元手に投資で巨万の富を築き、大学定年退官と同時に全財産を寄付しました。
収入の1/4は必ず貯蓄
勤倹貯蓄は、収入の1/4は必ず貯蓄をし、貯金と株式投資によって40代で、分散投資を実施しました。 孫に、光触媒研究の本多健一がいます。我が家の壁は光触媒なので、16年経過した現在も新品同様にきれいなままです。
給与天引き商品、銀行自動引き落とし
ところで、給料をもらったと同時に貯蓄に回す方法には、大きく分けて2種類あります。
- 給与天引き商品
- 銀行自動引き落とし
です。給与天引きは、従業員の給与口座に入る前に引かれるもので、所得税、住民税、健康保険料以外に、団体定期保険、社内預金、財形などがあります。
所得税、住民税、健康保険料は強制的に引かれますが、団体定期保険等は選択の余地がありますので、どうすべきかを検討しましょう。
団体定期保険
団体定期保険については、コストが非常に安いので、保険に入るのであれば、まず第一に検討すべき保険です。そして、それ以外の保険は、あまり入る価値のない保険であることが多いようです。その理由は、生命保険会社の部長さんたちは、団体定期保険にしか入らないからです。団体定期保険は、会社員の勤めている会社が福利厚生として行っているので、事務手続き、社内での周知広告などはすべて会社負担で行ってくれます。一方、それ以外の医療保険、ガン保険などは膨大な広告宣伝費、人件費を支払って売りますから、コストが高く無駄の多い商品なのです。しかも日本の健康保険では高額療養費制度という素晴らしい制度がありますので、医療保険は、もともと入る必要のない保険なのです。このような仕組みを全部知っている生命保険の部長さんたちは団体定期保険以外には入らないというわけです。
社内預金
社内預金がある会社と、ない会社があります。半世紀前の銀行では、社内預金制度があって、数%の利子がついていました。一方で銀行員の住宅ローン金利は1%でしたから、住宅ローンを目いっぱい借りて、余ったお金は社内預金するということをしていました。しかし、社内預金の問題点は、会社が倒産したときに、預金を保護してくれない恐れがあるということです。市中の銀行などはペイオフ制度によって1000万円までが保護されますが、社内預金はその点の問題点があります。会社が倒産して職を失い、預金もなくなるというのは不幸なことです。
従業員持ち株会
従業員も持ち株会も社内預金と同じリスクがあります。私の連れ合いは、退職して20年後に勤めていた会社が倒産して、積み立てた400万円がゼロになってしまいました。どうしても従業員持ち株会で積み立てなければいけない場合には、数年ごとに引き出して、他の商品にした方が安全です。会社が倒産して、価値がゼロになった時に、「立派だった」とほめてくれる人はいませんが、「馬鹿だな」と言われることはあるでしょう。
財形
財形貯蓄とは、正式には「勤労者財産形成促進制度」のことで、「一般財形」「年金財形」「住宅財形」の3つがあります。私は、1980年代から住宅財形でコツコツ貯め、限度額550万円が近づいてからは一般財形に移行し、数千万円を貯蓄しました。その後、住宅を購入してからは、年金財形に移行しました。1980年代の利回りは5%以上の時もあったのですが、現在は1%以下になるとともに、多くの生命保険で新規受付を停止しています。NISA、つみたてNISA、イデコの制度が導入され、良い商品がどんどん開発された現在、財形を利用するメリットは無くなりました。
企業型選択制確定拠出年金
確定拠出年金には、
(1)わたしたち個人が掛け金を積み立てる「個人型」確定拠出年金
(2)それぞれの企業が掛け金を積み立てる「企業型」確定拠出年金
など、いくつかの種類があります。
(2)の企業型では、本来企業が掛け金を上積みするのですが、従業員の給与から掛け金を捻出する「選択制」という制度もあります。
この「選択制」では、下記のAかBかを選択します。
(A)会社が掛け金を出さず、従業員が給与の一部を減額して掛け金を捻出する。
(B)掛け金を出さずに(選択制の確定拠出年金に加入せずに)その分を給与・賞与などとしてもらう。
Aの「給与の一部を減額して掛け金を出す」を選択した従業員は、その分の給与が少なくなります。
社会保険の等級が下がると……?
確定拠出年金に回すことで実質のお給料が下がると、厚生年金や健康保険などの保険料を決める「標準報酬月額」の等級も下がります。そうすると、目先の社会保険料が下がるメリットがある代わりに、将来受け取る厚生年金の額や社会保険から受け取る給付も減ってしまうデメリットもあるのです。ただし、総合的に見れば、減税の効果の方が大きいような気がします。
銀行自動引き落とし
最近では、以前から有った課税される投信積立以外に、つみたてNISA、イデコなどの優れた制度が導入され、それと同時に低コストインデックスファンドのような素晴らしい商品が発売されたので、それをぜひ利用したいものです。そのためには、銀行の給与振込口座からネット証券口座への銀行自動引き落としの手続き(パソコン操作)をするところまで完了すると、個人の貯蓄に関しては一人前と言えるでしょう。