余生の過ごし方
現代は定年まで勤めて、その後は孫の世話をしたり旅行をしたりして、余生を過ごす時代ではなくなってきたようです。
恵まれた昭和の時代
高度成長期の時代は、地方都市や工業団地にメーカーが工場を新設して、そこで高卒の職工を採用するということがよくありました。社内結婚をすると、正社員の給料を2人分もらえ、地元ですからその二人の親が孫の面倒を見てくるので、とても裕福な生活を送れました。二人分の給料は、全国を転勤する工場長よりも手取りが多いということも良くあります。そして、高度成長期が終わり、工場を閉鎖することになると、50代で通常の退職金に加え、早期退職一時金まで受け取る例もありました。
非正規社員、核家族、住宅価格高騰
しかし、時代は変わりました。勤務時間内の生産性を上げるために、休みなく労働しなければなりません。パート・契約社員などの非正規雇用も増えました。また、地方には職場がないので、親元から離れて東京などの大都市に就職すると、親の子育て支援は受けられませんし、もし東京出身者であっても、都内に高額な住居を買うほどの収入がありません。このため、東京23区は転出超過になっています。
FIRE
最近、FIREというものが注目されています。「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとった言葉で、直訳すると「経済的自立と早期リタイア」という意味になります。
アメリカでは、ずいぶん以前からアーリー・リタイヤがあこがれでしたので、様々なアドバイスがされています。キプリンガーの2021年12月22日の記事を参考にします。以下は拙訳です。
あなたのリタイヤ計画の数値は?
したいときにリタイヤするためには、その後の貯蓄のために適切な目標を定め、実現計画を実行していくのです。健康アプリを使う人なら誰でも言いますが、ゴールを設定することは価値ある動機付けのツールになりえます。フィットビットやアップルウォッチが、一日分の歩数が不足していたり、運動量の目標にかなり不足していると知らせてくれれば、長椅子にもたれる誘惑を容易に断ち切れるでしょう。
同様にリタイヤ目標を可視化すれば、リタイヤが何年も先であったとしても、ほとんどの人にとって貯蓄する動機づけになります。「妥当な年齢でリタイヤするためにいくら貯蓄すべきであるかという考えを持つことは、年齢にかかわらず、ほとんどの人にとって役立つ、ということを見てきました」と、オハイオ州、メリーズビルの公認ファイナンシャル・プランナーのトム・マッカーシーは言います。「目標が無ければ、いくら貯蓄すべきか、どれくらいのリスクを取るか、どのタイプの投資口座を使うべきかが、どうしてもわかりません。」
リタイヤ計画の数値を推定するのに役立つ計算機はインターネット上にたくさんあります。しかし、どの計算機もそうですが、計算結果は入力する情報によって異なるのですから、必ずしも正確とは言えません。そして、例え、データが目標通りであっても、リタイヤの数値は固定されていません。どれほどたくさん稼ぐか、どれほど長く働くと想定するか、投資リターンはどれほどかと言った数多くの要素によって、快適にリタイヤするために必要な金額は、働いている間中変化します。
リタイヤのための貯蓄は、たくさんの変動要素から成り、「数値を決め、その後計画を止めてしまえるほど、将来の見通しが良いわけではありません」と、マッカーシーは言います。自分は計画通り進んでいるか、人生(あるいはライフスタイル)における変化を反映させるために、調整する必要があるかを、定期的――理想的には1年ごと――に、これらの目標数値を見直す必要があるでしょう。この作業は50代、60代になると特に重要になり、その頃には生活水準を維持するために必要なお金について、より良い考えを思いつくことができるようになります。
もしあなたが20代なら、短距離ではなくマラソンをして、リタイヤのための貯蓄を考える必要があります。40代か50代でリタイヤするのに必要な金額に焦点を当てるのではなく、プロセスを逆にするのです。複利計算のシミュレーションをしてくれるホームページは、401(k)のわずかな増額でも役立つし、別のリタイヤ貯蓄計画も、長い間には複利で増えます。
例えば、もし25歳で、年収が5万ドル、401(k)に収入の5%を掛け金にして、67歳でリタイヤする計画だとします。もし、年収の6%について50%のマッチング掛け金があるとすると、リタイヤするときに百万ドル以上貯まります(給与の上昇が3%、投資の年平均リターンが6%だとします)。掛け金を6%に上げれば125万ドル貯まります。
この年齢では、わずかな掛け金でもリタイヤの時に引き出すまでに成長し、複利が無税なので、時間が最大の味方です。20代に貯蓄を始めれば、リタイヤの時に貯蓄した金額の60%から70%が掛金ではなく、投資による利益だと、401(k)プランを創設したとされる給付金コンサルタントのテッド・ベンナは言います。貯蓄開始を40歳まで待つとすると、こうはいかず、投資による利益より掛金から多くを受け取ることになる」と言います。