株式ETFと低コストインデックスファンド
私はプロフィールのページで紹介したように、確定拠出年金、確定給付年金、厚生年金基金、生命保険の責任者等を経験し、自分の金融資産の運用についても勉強しました。その結果は、個別株式ではなく、外国の株式ETF、低コストインデックスファンドで運用するというものになりました。
良い成績を収めた人の特徴?
一方で、最も良い成績を収めた投資家についてフィデリティ証券が調べた結果は、フィデリティ証券に口座を作ったことを忘れてしまった人たちでした。
留意点
ただし、このフィデリティ証券の調査結果は、おそらく数多くの口座開設者の、合計、あるいは平均だと思われますから、市場全体の値上がりの恩恵を受けたものでしょう。一方で、個別株式を1銘柄しか保有しない人は、倒産や大幅な株価下落に陥っているでしょうから、全く知識が要らないということにはなりません。
1銘柄だけならS&P500のETF
個別銘柄を1つだけ持つのではなく、S&P500のETFを1銘柄だけ持てば、取り残しなく全員が最も良い成績を収めたはずです。知識がほとんどなくても最高の成績を収めることはできるということです。
もし、金融リテラシーが中途半端にあると、個別株式に手を出して、大損を被るかもしれません。
金融リテラシーと資産運用の関係について、ブルームバーグオピニオンの2022年1月24日の記事で勉強しましょう。以下は拙訳です。
人々は困っている
お金に関する知識を改善したいという要望はたくさんあります。しかし最も脆弱な部分を、本当に助けてくれる道具で改善してくれることはほとんどありません。
ファイナンシャル・リテラシーを改善したいという要望を聞かない週はほとんどありません。先週ファイナンシャル・サービシーズのEUコミッショナーであるメイリード・マクギネスは、この教育がヨーロッパにとって優先すべきであると提唱しました。EUの家計の3軒に1軒が、通常の所帯のお金の変動に対処することができず、今回のパンデミックは状況を一層悪化させたと言いました。
より良いファイナンシャル教育には誰もが賛成です。しかし知識が欠けていることは、お金に関してこれほど苦しんでいる家があることの主要な理由では、まずありません。低所得、経済環境、インフレーションはすべて、家計問題を悪化させ、すぐに借金へと向かわせてしまいます。もし為政者が人々のお金の健全性を改善したいのであれば、これらの問題に取り組むところから始めなければなりません。
おそらく、ファイナンシャル・リテラシーに注目した調査は、不動産、相続税の計画、年金の掛け金に対する傷害の最大受取額のような難解な問題をテストするのでしょう。例えば、大ブリテン・ファイナンシャル・テストは2000人以上の人に、数多くの金融に関する頭辞語の正確な意味についての問題を出し、48%が不合格という判断をしました。リタイヤに関する問題についてはこの率が80%に跳ね上がりました。
イギリスは決して異常値ではありません。S&Pグローバルは、北アメリカや最も富裕なヨーロッパの国々も同じレベルだと言います。同社の「フィンリット」調査によれば、大人3人うち2人がファイナンシャル・リテラシーがないという結果です。
問題はこれらのテスト主催者が、狭い範囲の知識を測定する傾向にあることで、人々がお金の状況を理解するのに役立つことをしていないことが多いのです。お金に関して困難なことは、ファイナンスの知識が無くて起こるのではなく、収入が低かったり予測できないことによるのです。
実質賃金が低い人にとっては、リタイヤの計画をすること以前に、予算管理することだけでも難しいのです。今年は7%以上のインフレ進行がほぼ確実ですから、実質賃金が落ちる時には特に難しいのです。こんなことが起こると、以前は無理のなかった借金がすぐに手に負えなくなります。
12月にイギリスでは今世紀初めてクレジットカードの平均利子率が21%を超え、状況は改善されていません。困窮しているクレジット・カードの借り手について、昨年発表された報告書によると、アメリカ人の3人に1人以上が借金を膨らませ、収入減少、インフレ上昇、借り入れコスト上昇が、借金地獄をより深刻にしています。
ファイナンシャル・リテラシーを向上させるための伝統的な方法では、こういった状況を改善するようにはなりそうもありません。手に負えない借金に対処することは困難であり、特に純資産がすでにマイナスで、取り組んでくれる独立したアドバイザーがほとんどいないなら、落胆するのも無理はないでしょう。イギリスでは、ファイナンシャル・アドバイザーの84%が、クライアントに少なくとも100,000ポンド(136,000ドル:1564万円)の資産保有を要求します。
どうすれば改善できるでしょうか。借金を管理する特定の戦略を学ぶことが良いスタートになり、これは基礎的なファイナンシャル・リテラシーでは解決できません。というのは、人間は系統だったやり方で問題に取り組むよりは、最も大きな声で叫ぶ貸主に支払うという人間の傾向があるからです。
以上が拙訳でした。お金に関しては、まず第一に借金をしないこと。そして借金があったら、それを速やかに返すことです。