昨日は、老後のために40代で何をすべきか、を考えました。今日は、50代でどうすべきかを考えてみようと思います。
経済状況によって変化
私は現役のサラリーマン時代に、会社の研修で2回ライフプランを受けました。1回目は1980年代でしたが、その時の結果は、資産が増えすぎて相続の心配をしなければいけないというものでした。ところが、その10年後に同じようなライフプラン研修を受けたところ、このままでは老後の資金が足りなくなるという結果でした。この結果の違いは何でしょうか?バブルの最中とバブルの崩壊後で経済の前提が大きく変わったことでした。
ライフプランを立てても10年後、20年後に状況が大きく変化するかもしれません。
確定拠出年金の評価は変動
2010年頃、確定拠出年金を外国株ファンドで投資していた人は、リーマンショックの影響で評価額が半分程度に激減しました。その時、TBSの女性アナウンサーは、「そういう人は今大変なことになっている」と放送しました。しかし、それから10年余りたった現在、その人たちは元本の3倍になり、銀行預金で預けた人は元金のままです。
あまり悲観的にならず、あまり楽観的にもならず、できることをコツコツとやるしかないようです。
金融広報中央委員会の資料を下に、50代でなすべきことを考えてみましょう。
⇒ は、私のコメントです。
人生100年時代に向けて、新たなステージへの準備を始めましょう
日本人の平均寿命はこの30年で5~6年延びており、現在男性が81.41歳、女性は87.45歳です。しかし、年齢ごとの平均余命で見ると、もう少し長くなり、男性の4人に1人、女性の2人に1人は90歳まで生きています。まさに、人生100年時代が近づいているのです。
人生100年時代には、50代は人生半ばの充実期と言えます。これまでの生き方、仕事、生活を振り返りつつ、新たなステージに向けて、長く働き続けるための方法を探したり、ライフワークにつながる活動を見つけたりするのにちょうどいい時期ともいえるでしょう。50代から始める「リタイアメントプランニング」とは、従来のライフプランにとらわれず、自分なりの、家庭ごとの今後のライプフランを長期的な視点で考えることなのです。
1.リタイア後の暮らしをイメージ
リタイアまでの期間で可能な準備を検討する
どんな暮らしをしたいですか?:ライフデザイン(リタイア後の計画)を作ってみましょう
- どこで?
- 誰と?
- どんな暮らしをしている?
- 仕事、習い事、趣味は?
リタイア後の暮らしにかかるお金は?
高齢者世帯の消費支出(月平均額)
⇒ 食料費は全体の25%しかかかっていません。
支出項目 | 高齢単身無職世帯 | 高齢夫婦無職世帯 | 比率 |
食料費 | 35,883 | 66,458 | 1.85 |
住居費 | 12,916 | 13,625 | 1.05 |
光熱・水道費 | 13,055 | 19,983 | 1.53 |
家事用品・被服費等 | 9,340 | 16,165 | 1.73 |
保険医療費 | 8,445 | 15,759 | 1.87 |
交通・通信費 | 13,117 | 28,328 | 2.16 |
教養娯楽費 | 16,547 | 24,804 | 1.50 |
交際費 | 15,258 | 25,749 | 1.69 |
その他 | 15,178 | 29,076 | 1.92 |
合計 | 139,739 | 239,947 | 1.72 |
2.リタイア後のイベントにかかるお金
- 子供の結婚費用に対する援助:50~500万円程度、結婚資金援助の平均額は約192万円
- 住み替え:2,000~5,000万円程度、中古マンションの購入価額の平均は約3,110万円
- 自宅のリフォーム:100~1,000万円超まで幅広く分布、リフォームの契約金額の平均は759.6万円
- 車の買い替え:50~200万円程度/回
- 海外旅行:50~300万円程度/回 ⇒300万円は高過ぎ
- 学び直しの費用:数万~200万円程度/年 ⇒ 勉強熱心
自分や家族の将来のイベントを書きだす
イベントの金額を見積もってみる ⇒ 私は2年前の自宅の修理には350万円かかりました
3.リタイア後にかかる医療費や介護費
- リタイア後の不安の上位は医療や介護のこと
- 医療費の自己負担額は1~3割
- 更に上限を超えた部分は戻ってくる
- 居宅介護サービス費等の支給限度額と自己負担額は認定区分で変わる
- 施設サービスを利用すると自己負担は多くなる
- 医療保険と介護保険を合算した年間の自己負担額にも上限がある
4.リタイア後に受け取れる年金
- 日本の年金制度を理解しておく
- あなたはどんな公的年金を受け取れる?
- 老後年金はいつから受け取れる?
- 世帯によって受け取れる年金は変わる
- 年金定期便や年金事務所で自分の年金を調べる
5.退職金・企業年金・私的年金も忘れずに
どのような制度になっているか、事前にチェック
企業年金のチェックポイント
- 掛け金は会社負担のみか従業員拠出もあるか
- 確定給付型か確定拠出型か
- 何歳から受け取ることができるのか
- 一時金でなく年金(分割)で受け取るための要件
- 今すぐ退職した場合、いくらくらい受け取れるのか
- 離職・転職をした場合のポータビリティ(持ち運び)はあるか
⇒ 私(江戸庄蔵)の息子は、選択制企業型確定拠出年金だったので、拠出額を満額にして外国株式パッシブファンドを勧めました。
退職金・企業年金の平均額
勤続年数 | 大学卒 | 高校卒 | ||
金額(万円) | 月収換算(月分) | 金額(万円) | 月収換算(月分) | |
全体 | 1,983 | 38.6 | 1,618 | 40.6 |
20~24年 | 1,267 | 26.0 | 525 | 16.8 |
25~29年 | 1,395 | 26.3 | 745 | 21.4 |
30~34年 | 1,794 | 35.4 | 928 | 26.8 |
35年以上 | 2,173 | 42.2 | 1,954 | 46.3 |
何歳からいくら受け取ることができるのか、書き出してみましょう
- 厚生年金基金
- 確定給付企業年金
- 中小企業退職金共済
- 小規模企業共済
- 国民年金基金
- 個人年金保険
6.セカンドライフの収支をチェック
プランのイメージができたら、差し引きを確認
リタイア後に必要なお金の基本的な計算式
リタイア後の支出 ー リタイア後の収入 ― リタイア時点の貯蓄 =リタイア後に必要なお金
⇒ 以上は、捕らぬ狸の皮算用みたいなもので、実際にはどうなるか分かりません。明日のアクション編で行動に移すことが重要です。
<明日に続く>