老後資産と株式ETF
私も連れ合いも60代半ばで、老後資産のほとんどを外国株式ETFで運用しています。60代になると、現金・預金や債券で運用した方が良いということが、長年言われてきたようですが、私はそうは思いません。日本銀行はインフレ率2%を目標としていますし、2%を超えてもすぐに金利を上げるとは言っていません。現に、最近消費者物価指数が2%を超えましたが、現状の政策を維持しています。このため、インフレ率2%、3%が続くと現金預金、債券では、価値が減少しして行きます。
全額を株式ETFにするのが合理的
私の場合、厚生年金と確定給付年金だけで、贅沢をしなければ通常の生活ができますので、この二つの年金は、いわば、現預金の代わりになります。したがって、それ以外に余分な現預金を持つ必要はないと考えます。また債券は、超低金利のままですから、倒産の可能性もある社債をわざわざ買う気にはなれません。変動金利国債についても、インフレの34%分は損をすることが確定していますから、買う気になりません。つまり、論理的に消去法で考えると、ポートフォリオは、全額が株式ETFになってしまうのです。もし、住宅の修繕など臨時の出費があれば、株式ETFを売却することにしていますので、その時に損をすることもあれば、株価が高くて利益が確定することもあるでしょう。ただし、基本的に外国株式ETFは10年で2倍になると考えていますので、できるだけ長く株式ETFの形で保有するつもりです。
アメリカにおいては、日本よりはるかに高いインフレになっていますので、老後資金の保全は重要な問題です。2022年7月27の記事で、老後資金を守る方法を勉強しましょう。以下は拙訳です。
歴史的な高インフレから老後資金を守るための4つの方法
経済の先行きが不透明なこの夏、退職を目前に控えた人たちが最も熱気を感じているのが、インフレです。インフレ率(直近では9.1%)は驚異的な数字です。海外との紛争や金利の上昇など、退職を控えた人たちにとって、決して良いとは言えない現実が待ち受けています。
一般的に言って、退職前の人や既に退職した人が、お金の保有方針を変更する場合にできることは多くありませんが、退職後の生活を楽にするためにできることはあります。I-bond(アイボンド:インフレ連動債)を検討する、社会保障を遅らせる、退職後に働く、国際分散投資を再開するなどは、その戦略の一部です。
ここでは、異常に高いインフレの中で老後を守るための4つの方法について説明します。
1. I-bondをポートフォリオに加える
米国政府を通じて電子的に提供されるI-bondは、現在年率9.62%の利息を支払っています。この債券は、米国政府への融資を意味し、金利は現在のインフレ水準に連動しています。購入する場合は、少なくとも1年間は所有する必要があり、購入限度額は1万ドルです。
1万ドルでは投資ポートフォリオに占める割合が少ない場合でも、I-bondを中心に工夫する方法があります。例えば、1万ドルの上限は、あなたが結婚している場合、あなたの配偶者もI-bondを購入することができます、つまり、一人ずつに適用されます。あるいは、たまたま取消可能信託を作った場合、その信託もここでは人とみなされ、債券を購入することができます。
2. ソーシャル・セキュリティの申請を遅らせる
ソーシャル・セキュリティは、インフレ調整後の収入を、ただ待っていれば良いだけの数少ない方法です。完全退職年齢(full retirement age :FRA)まで受給を待つと、現役時代に納めた給与税額に応じた年金を生涯受け取ることができます。
FRAから受給を1年遅らせるごとに、1年あたり8%、さらに70歳までは生活費関連の調整も受けられる。つまり、受給を遅らせることで、比例配分よりもはるかに多くの給付を受けることができ、しかも一生インフレ対策が施された状態で給付を受けられるのです。
3. 働き続ける
これは健康状態に左右されるので、言うは易く行うは難しですが、早期退職の時期まで、そして退職後も働き続けることで、家計への負担を軽減することができます。1万ドル、2万ドルのパートタイム労働でも、貯蓄を守るのに非常に有効です。経済的な逆風が吹く中、ポートフォリオから資金を引き出す必要性を減らすことは、絶対に必要なことです。
そのためには、働くことの非金銭的な側面も非常に重要です。職場環境が悪かったり、通勤時間が長かったりすると、仕事を続けることが億劫になるかもしれません。しかし、有意義な仕事や我慢できる仕事(リモートワークなど)を見つけることができれば、何らかの収入を積極的に確保することは、さまざまな面で有意義なことです。
リタイア後の生活を充実させるためには、仕事を続けることが重要であり、経済的、非経済的な面でも、仕事をすることは大きな意味を持つのです。
4. 分散投資の再徹底
2010年代の長引く強気相場では、多くの人が株式一辺倒のポートフォリオに固執していました。振り返ってみると、直近の強気相場では、株式リターンが常に競争力を持ち、金利が世代を超えた低水準にあったため、株主は債券保有者よりもはるかに良い成績を収めました。次の10年は全く異なるものになる可能性があるため、ポートフォリオの分散化の必要性は最も重要になります。
株式、債券、不動産で構成されるグローバルな分散ポートフォリオは、ほとんどの経済環境に対応できるように設計されています。経済が混乱する中で、卵をさまざまなバスケットに分散させることは、知的な投資の必然なのです。
コントロールできるものはコントロールする
一般に、自分でコントロールできることは自分でコントロールし、その後のことは成すがままにしましょう。そのためには、投資運用の方法論を確立しておくことが重要です。