四住期は、人生の道しるべを示す古代インドの考え方です。
読み方と由来
四住期は「しじゅうき」と読みます。古代インドの社会的な規範を記した聖典「マヌ法典」により、四住期という考え方は生まれました。人生を、学生期(がくしょうき)・家住期(かじゅうき)・林住期(りんじゅうき)・遊行期(ゆぎょうき)の4つにわけて、それぞれのステージにおける規範に即した生き方をすることで、幸せな人生を送れるとされています。
インドのヒンドゥー教社会において、四住期は理想的な生き方として有名です。その考え方はインドに留まらず、日本を始めとした世界中の人に影響を与えていると言えます。
第1ステージ:学生期(がくしょうき)
生まれてから25歳頃が学生期に当てはまります。目上の人の元で身体と精神を鍛え、生きるための術を学ぶ時期です。一人前の人間として確立しておらず、さまざまな学びを通して独り立ちを目指します。
学生期に当てはまる年代は、現代においても身体の成長や人間関係を通してさまざまな悩みを抱えることも多いです。1人では解決できず、八方塞がりになることも……。そんなときに周りの大人のサポートを受け、視野を広げながら人生を切り開くノウハウを身に付けることが重要だということを学生期の考え方は教えてくれます。
第2ステージ:家住期(かじゅうき)
25歳~50歳頃、もしくは定年頃までを家住期と呼びます。この年代を迎えると社会人としての力を備え、パートナーとの結婚を考える人が多くなるでしょう。家族を養う責任が生まれ、貯蓄にも意識が芽生えます。
このため家住期は、一家の大黒柱として働き、仕事で成果をあげるために頑張る時期と考えられます。学生期を経て身に付けた知識や技術が家住期で花開けば、きっと充実した人生を送れるはず。子育てや仕事などを通して、変化に富んだ日々を楽しめます。
林住期(りんじゅうき)
50歳~75歳頃になると、林住期に入ります。家住期で家族や社会のために働いた人も、林住期ではその役目を終え、新たなステージを迎えます。古代インドでは、社会的な義務のみならず家族とも離別して、林の中で修行や瞑想をすると言われています。現代では家族と離れるほど厳格に林住期の生き方を全うするのは難しいですが、自分の内面と向き合い成熟を目指す段階と捉えられます。
また林住期は「第2、第3の人生」や「収穫期」「黄金期」とも称されます。子どもが自立し、定年を迎えた後にどのように生きるかじっくりと考えることが大切です。これから新しい人生のスタートを切っても、まだ遅くありません。社会のしがらみから離れた上で自分が本当にやりたいことを見つけ、充実した人生を送るためのチャンスをつかんでください。
第4ステージ:遊行期(ゆぎょうき)
75歳からは、四住期における最後のステージである遊行期に入ります。これは、人生の終焉に向けて準備をする時期です。この世に対する執念をなくし、巡礼を通して死ぬ場所や悟りを求めます。インドのバラモン教では、居住地すら捨てて乞食として遊行をおこなうとされています。
ここまで徹底した生き方は困難ですが、近年は「終活」として遊行期に近い生き方を目指す人が増えていますね。人生における悔いをなくし、気持ち良くお別れができるように、元気なうちから身辺整理や葬儀について考えることも重要です。
三収入期
最近私は、人生において3段階の収入期があると考えるようになりました。
- 第1ステージ:親の庇護期(0~20歳前後)
- 第2ステージ:給与収入期(20歳前後~60歳前後)
- 第3ステージ:自立収入期(60歳前後~90歳前後)
第1ステージ:親の庇護期
生まれてから大人になって収入を稼ぐまでは、どうしても親の庇護が必要です。この時期は通常0歳から学校を卒業する15~20代前半まででしょう。中には、20代後半、あるいはそれ以降もなかなか自分で給料を稼げない人もいますので、親はその時のための経済、精神的な覚悟が必要です。
第2ステージ:給与収入期
通常は、20代前半までに会社や組織に就職して給与収入を稼ぐようになります。弁護士や医師になっても若いうちは独立せず、組織に所属して給与をもらう形です。
第3ステージ:自立収入期
会社員や公務員など普通の人は、給与収入期が非常に長いので、収入に関しては給与収入期が終わると、人生についても余生と考えがちですが、そうではありません。この時期の収入は主に、年金、株式配当金、投資信託分配金、株式・投信のキャピタル・ゲインがあります。
精神的に解き放たれた感覚
給与収入期は、どうしても組織の中の人間関係や上司との関係を気にしがちですが、分配金や配当金にはそんなわずらわしさはありません。投信や株式には相場変動が伴いますが、給与収入期のストレスに比べれば、たいしたことはありません。精神的に解き放たれた感覚を持ち、自由な人生を味わえているという感覚になります。人生における自立収入期を大いに謳歌したいものです
年金
国民年金、厚生年金、企業年金はもらうものと考える人もいますが、元々は自分で支払った分を取り戻しているだけなのです。政府の補助があると言っても、自分で運用していれば、もっと増えていたかもしれないのです。現に私は確定拠出年金を自分で運用することによって、掛け金額の3倍に増えました。
投資信託分配金、株式配当金
投資信託分配金、株式配当金は、欲張りすぎず、正しい選択をすれば、年金による収入を補って余りある収入を確保することができます。
株式・投信のキャピタル・ゲイン
通常は投資信託の分配金よりもキャピタルゲインの方が金額が大きいのです。例えばS&P500のトータルリターンは、平均8%以上ですが、分配金は年率2%以下ですから、キャピタルゲインは6%以上ということになります。キャピタルゲインは実現した利益ではなく、売却して利益を実現しなければ意味がない、という人がいますが、その考え方は間違いです。
もし、収入が100万円あって、それをそのまま銀行預金で遊ばせておくのはもったいないので、投信を購入する場合、100万円に対する所得税等20%を支払った後の80万円で購入することになります。
キャピタルゲインなら、元々に100万円に係る所得税等20万円を支払わずに、100万円を丸ごと投資できるのですから、非常に効率が良いのです。